行列式の求め方|2次・3次からn次の行列式まで

数学
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はじめに

行列について学んでいると、「行列式」というものが出てきます。

たとえば、2次の行列

$$
A=
\begin{pmatrix}
a_{11}&a_{12}\\
a_{21}&a_{22}
\end{pmatrix}
$$

に対して、その行列式は

$$
\det A
=
\begin{vmatrix}
a_{11}&a_{12}\\
a_{21}&a_{22}
\end{vmatrix}
=
a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21}
$$

と計算します。

2次の場合は、「左上と右下を掛ける」−「右上と左下を掛ける」という計算なので、それほど難しくありません。

しかし、ここで一つ疑問が生まれます。

なぜ、行列式はこのような式になるのでしょうか?

3次になると、

$$
\begin{aligned}
\det A
&=
\begin{vmatrix}
a_{11}&a_{12}&a_{13}\\
a_{21}&a_{22}&a_{23}\\
a_{31}&a_{32}&a_{33}
\end{vmatrix}\\
&=
a_{11}a_{22}a_{33}
-a_{11}a_{23}a_{32}
-a_{12}a_{21}a_{33}
+a_{12}a_{23}a_{31}
+a_{13}a_{21}a_{32}
-a_{13}a_{22}a_{31}
\end{aligned}
$$

となり、6つの積が現れます。

さらに4次、5次……と行列が大きくなったら、どの成分を組み合わせればよいのでしょうか。

実は、2次・3次・\(n\) 次の行列式は、それぞれ別々の公式を覚える必要があるわけではありません。

「各行から1つずつ成分を選び、各列も1回ずつ使って積を作る」という共通した考え方があります。

そして、その選び方を順列で表し、さらに順列の偶奇によって「+」と「−」の符号を決めると、\(n\) 次の行列式まで一つの式で表すことができます。

この記事では、まず2次の行列式から出発し、3次でその仕組みを確認します。その後、順列・偶順列・奇順列・\(\mathrm{sgn}\) を使って、\(n\) 次の行列式へと一般化していきます。

1.2次の行列式の求め方

まずは最も基本的な2次の行列式から見ていきましょう。

$$
A=
\begin{pmatrix}
a_{11}&a_{12}\\
a_{21}&a_{22}
\end{pmatrix}
$$

の行列式は、

$$
\det A
=
\begin{vmatrix}
a_{11}&a_{12}\\
a_{21}&a_{22}
\end{vmatrix}
=
a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21}
$$

です。たとえば、

$$
A=
\begin{pmatrix}
2&3\\
1&4
\end{pmatrix}
$$

なら、

$$
\det A
=
2\times4-3\times1
=
8-3
=
5
$$

となります。

ここで、\(a_{11},a_{12},\ a_{21},a_{22}\) という添字に注目してみましょう。

\(a_{ij}\) の

  • 最初の数字 \(i\) は「何行目か」
  • 2つ目の数字 \(j\) は「何列目か」

を表しています。

たとえば、\(a_{12}\) なら「1行2列目」の成分です。

すると、\(a_{11}a_{22}\) は、「1行1列目」と「2行2列目」を選んで作った積です。
一方、\(a_{12}a_{21}\) は、「1行2列目」と「2行1列目」を選んで作った積です。

ここで重要なのは、どちらの場合も各行から1つずつ、しかも各列を1回ずつ使っていることです。

2次の場合、この条件を満たす成分の選び方は、\(a_{11}a_{22}\) と \(a_{12}a_{21}\) の2通りしかありません。

つまり、2次の行列式に現れる2つの積は、突然決められたものではなく、「各行から1つ、各列から1つ選ぶ」というルールから出てくると見ることができます。

さらに、列番号だけを見ると、\(12\) と \(21\) という2通りの並び方になっています。

この「数字の並べ替え」が、後で登場する順列につながります。

1.1.2次の行列式を図で見る

2次の行列式は、2本のベクトルが作る平行四辺形の面積とも関係しています。

たとえば、

$$
A=
\begin{pmatrix}
3&1\\
1&3
\end{pmatrix}
$$

とすると、

$$
\det A
=
3\times3-1\times1
=
8
$$

となります。このとき、行列の列ベクトル

$$
\vec{u}=
\begin{pmatrix}
3\\
1
\end{pmatrix},
\qquad
\vec{v}=
\begin{pmatrix}
1\\
3
\end{pmatrix}
$$

が作る平行四辺形の面積も \(8\) になります。

2次の行列式と平行四辺形の面積

このように、2次の行列式は単なる \(a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21}\) という計算ではなく、2本のベクトルが作る平行四辺形の面積とつながっています。

ただし、正確には行列式そのものは「符号付きの面積」と考える必要があります。

ここではまず、\(|\det A|\) が平行四辺形の面積と関係している、と押さえておきましょう。

この「なぜ行列式が面積を表すのか?」という話については、次の記事で詳しく扱います。

▶ 2次の行列式が面積になる理由が知りたい

(準備中)

2.3次の行列式では何通りの選び方があるのか?

では、3次の行列式を考えてみましょう。

$$
A=
\begin{pmatrix}
a_{11}&a_{12}&a_{13}\\
a_{21}&a_{22}&a_{23}\\
a_{31}&a_{32}&a_{33}
\end{pmatrix}
$$

2次のときと同じように、各行から1つずつ、しかも各列を1回ずつ使って成分を選ぶと考えてみます。

たとえば、\(a_{11}a_{22}a_{33}\) なら、

  • 1行目から1列目
  • 2行目から2列目
  • 3行目から3列目

を選んでいます。列番号だけを見ると、\((1,2,3)\) という選び方です。

別の選び方として、\(a_{12}a_{23}a_{31}\) があります。これは、

  • 1行目から2列目
  • 2行目から3列目
  • 3行目から1列目

を選んでいるので、列番号は \((2,3,1)\) となります。

同じように考えていくと、3つの列番号 \(1,2,3\) の選び方は、

$$
123,\
132,\
213,\
231,\
312,\
321
$$

の6通りあります。これは、\(3!=3\times2\times1=6\) 通りです。つまり、3次の行列式では、6通りの成分の選び方が存在します。

ここで、「3次の行列式に6つの積が現れる理由」が見えてきます。

3.3次の行列式には「6つの積」が現れる

先ほどの6通りの選び方を、それぞれ実際の成分の積に対応させてみましょう。

$$
\begin{array}{l}
123
\quad\longrightarrow\quad
a_{11}a_{22}a_{33}\\
132
\quad\longrightarrow\quad
a_{11}a_{23}a_{32}\\
213
\quad\longrightarrow\quad
a_{12}a_{21}a_{33}\\
231
\quad\longrightarrow\quad
a_{12}a_{23}a_{31}\\
312
\quad\longrightarrow\quad
a_{13}a_{21}a_{32}\\
321
\quad\longrightarrow\quad
a_{13}a_{22}a_{31}\\
\end{array}
$$

このように、3次の行列式に現れる6つの積は、「各行から1つずつ、各列も1回ずつ使う」というルールから自然に出てきます。

そして、\(3!=6\) なので、3次では6つの積が現れるわけです。

この6通りの選び方は、3つの数字 \(1,2,3\) を並べ替える方法です。このような「数字の並べ替え」を順列と呼びます。

ここで、もう一つ疑問が生まれます。

6つの積があることは分かった。でも、なぜ「+」と「−」がつくのだろう?

たとえば、\(a_{11}a_{22}a_{33}\) には「+」がつきますが、\(a_{11}a_{23}a_{32}\) には「−」がつきます。

この符号を決めるために登場するのが、順列の偶奇です。

3次の行列式に現れる6つの順列と6つの積

4.「+」と「−」をどうやって決めるのか?

ここで問題になるのが、どの積を「+」にして、どの積を「−」にするのか?ということです。この符号を決めるために使われるのが、偶順列と奇順列です。

順列の偶奇を考えるときには、「転倒」と呼ばれるものを数える方法があります。

たとえば、\(213\) を見ると、\(2 \gt 1\) となっている組があります。このように、前にある数字が後ろの数字より大きくなっている組を1つの転倒として数えます。

\(213\) では1つの転倒があります。したがって、転倒数は奇数です。
一方、\(231\) では、\(2 \gt 1,\ 3 \gt 1\) の2つの転倒があります。したがって、転倒数は偶数です。

このように、順列の転倒数が、

  • 偶数なら偶順列
  • 奇数なら奇順列

と呼ばれます。

3次の6つの順列について、転倒数を確認すると、

\(123\) は転倒数 \(0\)
\(132\) は転倒数 \(1\)
\(213\) は転倒数 \(1\)
\(231\) は転倒数 \(2\)
\(312\) は転倒数 \(2\)
\(321\) は転倒数 \(3\)

となります。したがって、

\(123\rightarrow\) 偶
\(132\rightarrow\) 奇
\(213\rightarrow\) 奇
\(231\rightarrow\) 偶
\(312\rightarrow\) 偶
\(321\rightarrow\) 奇

となります。そして、行列式では、

偶順列 \(\rightarrow +1\)
奇順列 \(\rightarrow -1\)

という符号を割り当てます。

たとえば、\(123\) は偶順列なので、\(a_{11}a_{22}a_{33}\) には \(+1\) がつきます。
一方、\(132\) は奇順列なので、\(a_{11}a_{23}a_{32}\) には \(-1\) がつきます。

このルールによって、3次の行列式に現れる「+」と「−」を決めることができます。

ここではまず、「偶順列には \(+1\)、奇順列には \(-1\) を対応させる」というルールを押さえておきましょう。

この符号の意味をさらに深く理解するには、行列式の性質や、面積・体積との関係を見ることが重要になります。

5.3次の行列式を実際に確認してみる

ここまでで、3次の行列式に現れる6つの積と、その符号の決め方が分かりました。

順列と積を対応させると、

$$
\begin{array}{l}
123 \rightarrow +a_{11}a_{22}a_{33}\\
132 \rightarrow -a_{11}a_{23}a_{32}\\
213 \rightarrow -a_{12}a_{21}a_{33}\\
231 \rightarrow +a_{12}a_{23}a_{31}\\
312 \rightarrow +a_{13}a_{21}a_{32}\\
321 \rightarrow -a_{13}a_{22}a_{31}\\
\end{array}
$$

となります。したがって、

$$
\det A
={}
a_{11}a_{22}a_{33}
-a_{11}a_{23}a_{32}
-a_{12}a_{21}a_{33}
+a_{12}a_{23}a_{31}
+a_{13}a_{21}a_{32}
-a_{13}a_{22}a_{31}
$$

となります。

つまり、3次の行列式は、6つの「成分の選び方」に、それぞれ \(+1\) または \(-1\) の符号をつけて、すべて足し合わせたものと考えることができます。

ここまで来ると、3次の行列式の式が「突然6項に決められている」のではなく、「成分の選び方+順列の偶奇による符号」から組み立てられていることが見えてきます。

6.3次の行列式を「3つの2次の行列式」として見る

ここで、3次の行列式を実際に計算するときによく使われる形も見ておきましょう。

3次の行列式は、

$$
\begin{aligned}
\begin{vmatrix}
a_{11}&a_{12}&a_{13}\\
a_{21}&a_{22}&a_{23}\\
a_{31}&a_{32}&a_{33}
\end{vmatrix}
={}
a_{11}
\begin{vmatrix}
a_{22}&a_{23}\\
a_{32}&a_{33}
\end{vmatrix}
–
a_{12}
\begin{vmatrix}
a_{21}&a_{23}\\
a_{31}&a_{33}
\end{vmatrix}
+
a_{13}
\begin{vmatrix}
a_{21}&a_{22}\\
a_{31}&a_{32}
\end{vmatrix}
\end{aligned}
$$

と、3つの2次の行列式に分解することもできます。それぞれを計算すると、

$$
\begin{aligned}
\det A
={}&
a_{11}(a_{22}a_{33}-a_{23}a_{32})
–
a_{12}(a_{21}a_{33}-a_{23}a_{31})
+
a_{13}(a_{21}a_{32}-a_{22}a_{31})
\end{aligned}
$$

となります。さらに展開すると、

$$
\begin{aligned}
\det A
={}&
a_{11}a_{22}a_{33}
-a_{11}a_{23}a_{32}
-a_{12}a_{21}a_{33}
+a_{12}a_{23}a_{31}
+a_{13}a_{21}a_{32}
-a_{13}a_{22}a_{31}
\end{aligned}
$$

となり、先ほど求めた6つの積と一致します。

つまり、「3つの2次の行列式に分解する方法」と「6つの順列から積を作る方法」は、別々の結果ではありません。

同じ3次の行列式を、違う見方で計算しているだけです。

この「3次の行列式を、より小さな行列式に分解する」という考え方は、4次以上の行列式を計算するときにも重要になります。

これが、余因子展開につながります。

▶ 余因子展開について知りたい

(準備中)

7.\(n\) 次の行列式では「順列」が登場する

2次では2通り、3次では6通りの成分の選び方がありました。では、4次、5次、さらに一般の \(n\) 次ではどうなるのでしょうか。

\(n\) 次の行列

$$
A=
\begin{pmatrix}
a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n}\\
a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n}\\
\vdots&\vdots&\ddots&\vdots\\
a_{n1}&a_{n2}&\cdots&a_{nn}
\end{pmatrix}
$$

を考えます。

ここでも、各行から1つずつ成分を選び、しかも各列を1回ずつ使うというルールを使います。

1行目でどの列を選ぶかは \(n\) 通りあります。
その後、2行目では残った \(n-1\) 個の列から1つを選びます。
さらに3行目では \(n-2\) 個の列から選びます。

このように考えると、全部で \(n(n-1)(n-2)\cdots2\cdot1=n!\) 通りの選び方があります。

つまり、\(n\) 次の行列式をこのルールで展開すると、\(n!\) 個の積が現れます。この「\(n\) 個の数字を並べ替える方法」が、順列です。

8.順列を使って \(n\) 次の行列式を表す

\(n\) 次の行列で、

$$
\sigma=(\sigma(1),\sigma(2),\ldots,\sigma(n))
$$

という順列を考えます。この \(\sigma\) は、「各行で、どの列を選ぶか」を表しています。

たとえば、\(\sigma=(2,3,1)\) なら、

  • 1行目では2列目
  • 2行目では3列目
  • 3行目では1列目

を選ぶことになります。したがって、対応する積は、\(a_{12}a_{23}a_{31}\) です。

一般に、順列

$$
\sigma=(\sigma(1),\sigma(2),\ldots,\sigma(n))
$$

に対応する積は、

$$
a_{1,\sigma(1)}
a_{2,\sigma(2)}
\cdots
a_{n,\sigma(n)}
$$

となります。

ここで、\(a_{i,\sigma(i)}\) は、「\(i\) 行目から、\(\sigma(i)\) 列目の成分を選ぶ」という意味です。

このように添字を使うと、「どの行から、どの列を選んでいるのか」がはっきり分かります。

そして、すべての順列についてこの積を作り、それぞれに \(+1\) または \(-1\) の符号をつけて足し合わせます。

ここで、先ほどの「偶順列・奇順列」が登場します。

9.\(\mathrm{sgn}\) で符号を表す

「偶順列なら \(+1\)、奇順列なら \(-1\)」というルールを、まとめて表すために、

$$
\mathrm{sgn}(\sigma)
$$

という記号を使います。つまり、

$$
\mathrm{sgn}(\sigma)
=
\begin{cases}
+1 & \text{偶順列の場合}\\
-1 & \text{奇順列の場合}
\end{cases}
$$

です。

これを使うと、\(n\) 次の行列式は、

$$
\det A
=
\sum_{\sigma\in S_n}
\mathrm{sgn}(\sigma)
\prod_{i=1}^{n}a_{i,\sigma(i)}
$$

と表すことができます。ここで、

  • \(\sigma\) は順列
  • \(S_n\) は \(1,2,\ldots,n\) のすべての順列の集合
  • \(\mathrm{sgn}(\sigma)\) は順列の符号
  • \(\prod\) は各成分を掛け合わせること
  • \(\sum\) はすべての順列について足し合わせること

を表しています。この式を言葉にすると、

すべての順列について、各行から1つずつ成分を選んで積を作り、その積に順列の符号 \(+1\) または \(-1\) をつけて、全部足し合わせる。

ということです。

これが、\(n\) 次の行列式を表す一般的な式です。

10.2次・3次・\(n\) 次は別々の公式ではない

ここまでの話を整理してみましょう。

2次では、

$$
\begin{vmatrix}
a_{11}&a_{12}\\
a_{21}&a_{22}
\end{vmatrix}
=
a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21}
$$

でした。これは、2つの順列 \(12,\ 21\) に対応しています。

$$
\begin{array}{l}
12\rightarrow +1\\
21\rightarrow -1
\end{array}
$$

なので、\(a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21}\) となります。

3次では、6つの順列があるため、6つの積が現れます。

$$
\begin{aligned}
\det A
={}&
a_{11}a_{22}a_{33}
-a_{11}a_{23}a_{32}
-a_{12}a_{21}a_{33}
+a_{12}a_{23}a_{31}
+a_{13}a_{21}a_{32}
-a_{13}a_{22}a_{31}
\end{aligned}
$$

そして \(n\)次では、

$$
\det A
=
\sum_{\sigma\in S_n}
\mathrm{sgn}(\sigma)
\prod_{i=1}^{n}a_{i,\sigma(i)}
$$

と表せます。

一見すると、2次・3次・\(n\) 次ではまったく違う公式のように見えます。しかし、その中身は同じです。

各行から1つずつ成分を選び、各列も1回ずつ使って積を作り、その積に順列の符号をつけて全部足し合わせる。

これが行列式の基本的な考え方です。

2次や3次では、このルールを具体的に書くことで、\(a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21}\) や、\(a_{11}a_{22}a_{33} -a_{11}a_{23}a_{32} -\cdots\) という形になります。

つまり、2次・3次・\(n\) 次は、それぞれ別々の公式なのではなく、同じルールを行列の大きさに応じて書き表したものと考えることができます。

11.ただし、実際の計算では別の方法も使える

ここまで説明した \(n\) 次の式は、行列式がどのようなルールで作られているのかを理解するうえで重要です。

しかし、実際に4次、5次、6次……と大きな行列式を計算するときに、すべての順列を書き出すのは大変です。

なぜなら、\(n\) 次の行列式をこの方法で直接展開すると、\(n!\) 個の積を扱うことになるからです。

4次なら、\(4!=24\) 個。
5次なら、\(5!=120\) 個。
6次なら、\(6!=720\) 個。

この方法で直接計算すると、行列が大きくなるほど急激に大変になります。そこで、行列式の計算を楽にするためのさまざまな性質を利用します。

たとえば、

  • 行や列を入れ替えるとどうなるのか
  • 同じ行が2つあるとどうなるのか
  • ある行を何倍するとどうなるのか
  • ある行に別の行を加えるとどうなるのか

といった性質です。

これらを利用すると、大きな行列式を小さな行列式へ変形しながら計算できるようになります。

これらの性質については、次の記事で3次の行列式を使いながら詳しく見ていきます。

▶ 行列式の7つの性質が知りたい

(準備中)

まとめ

この記事では、2次・3次の行列式から \(n\) 次の行列式まで、計算の考え方を見てきました。

ポイントを整理すると、

  • 2次の行列式では、各行・各列から1つずつ成分を選ぶと、2通りの積ができる
  • 3次の行列式では、各行・各列から1つずつ成分を選ぶと、\(3!=6\) 通りの積ができる
  • これらの成分の選び方は、順列として表すことができる
  • 順列の転倒数が偶数か奇数かによって、偶順列・奇順列に分けられる
  • 偶順列には \(+1\)、奇順列には \(-1\) を対応させる
  • この符号を \(\mathrm{sgn}(\sigma)\) で表す
  • \(n\) 次では、\(n!\) 通りの順列を使って行列式を表すことができる

したがって、\(n\) 次の行列式は、

$$
\det A
=
\sum_{\sigma\in S_n}
\mathrm{sgn}(\sigma)
\prod_{i=1}^{n}a_{i,\sigma(i)}
$$

と表すことができます。この式を言葉で表すなら、

各行から1つずつ成分を選び、各列も1回ずつ使って積を作り、その積に順列の符号をつけて、すべて足し合わせる。

ということになります。

そして、この考え方を2次に当てはめれば、\(a_{11}a_{22}-a_{12}a_{21}\) となり、3次に当てはめれば、6つの積からなる3次の行列式が得られます。

つまり、2次・3次・\(n\) 次は、それぞれ別々の公式なのではなく、同じルールを行列の大きさに応じて書き表したものと考えることができます。

ただし、この一般式は「実際に計算するための公式」というよりも、行列式がどのようなルールで作られているのかを表す一般的な式と考えた方がわかりやすいでしょう。

そして、ここにはもう一つ大きな疑問が残っています。

なぜ、このような計算をすると「面積」や「体積」と関係するのでしょうか?

2次の行列式は、2本のベクトルが作る平行四辺形の面積と関係しています。さらに3次の行列式では、3本のベクトルが作る立体の体積と関係します。

次の記事では、行列式の計算方法から一歩進んで、「行列式はいったい何を表しているのか?」を、2次の面積と3次の体積から考えていきます。

▶ 行列式は何を表しているのか?|2次は面積、3次は体積になる

(準備中)

さらにその後、行列式が持つさまざまな性質についても見ていきます。

▶ 行列式の7つの性質|3次の行列式でなぜ成り立つのかを理解する

(準備中)

▶ 行列式についてもっと知りたい

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