『目の前の惨劇で前世を思い出したけど、あまりにも問題山積みでいっぱいいっぱいです。』感想|信念を行動に変えるネオンの強さ

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おすすめ度:4.0

『目の前の惨劇で前世を思い出したけど、あまりにも問題山積みでいっぱいいっぱいです。』は、前世で看護師だった記憶を取り戻した主人公ネオンが、負傷した騎士たちを救うために奮闘する物語だ。

ネオンは伯爵家に無理やり嫁がされ、夫のラスボラからも一方的に拒絶されてしまう。そんな中、騎士団を視察した際に、戦えなくなった負傷者たちが十分な治療も受けられず、放置されている現実を目にする。その光景をきっかけに、前世で看護師として働いていた記憶を取り戻したネオンは、目の前の患者を救うために行動を始める。

この作品で最も心を動かされたのは、ネオンの生き方だった。

理不尽な価値観や扱いに屈することなく、看護師としての信念を貫き、それを実際の行動に移していく姿に強く惹かれた。

しかも、ネオンは一人で頑張り続けるだけではない。自ら率先して行動することで、周囲の人たちも少しずつ協力するようになっていく。

信念を持つだけでなく、それを行動に移すことが、人の心を動かすのかもしれない。

そんなことを考えさせられる作品だった。

※この記事は第19話まで読んだ時点の感想です。以下、物語の展開に触れています。

1.患者を見捨てないという、看護師としての信念

最初に心を動かされたのは、ネオンが負傷した騎士たちを助けようとする場面だ。

騎士団では、戦えなくなった負傷者たちが役に立たない存在として扱われ、十分な治療も受けられずに放置されていた。しかし、前世で看護師として働いていたネオンにとって、目の前にいるのは助けを必要としている患者だ。

周囲の使用人たちが協力してくれなくても、ネオンは一人で処置を始める。私は、この場面に強く惹かれた。

医療設備も人手も不足している。自分一人でどこまでできるのかもわからない。それでも、目の前に患者がいる以上、逃げ出すわけにはいかない。そんな看護師としての強い思いが、ネオンを動かしているように感じた。

特に印象的だったのは、ネオンが周囲の価値観に流されなかったことだ。騎士団では、戦えなくなった人間には価値がないという考え方が当たり前になっている。しかし、ネオンはその考え方を受け入れない。

周囲がどれほど理不尽な価値観を持っていても、自分が正しいと思うことを曲げない。

私が魅力を感じたのは、そんなネオンの強さだった。

2.理想どおりにいかなくても、今できる最善を尽くす

ネオンの魅力は、強い信念を持っていることだけではない。その信念を、実際の行動につなげているところにある。

前世の看護師としての知識があっても、この世界では現代日本と同じような治療ができるわけではない。医療技術も十分に発達しておらず、必要な物資も人手も不足している。

それでもネオンは、できないことを嘆くだけではなく、今ある環境の中で何ができるのかを考える。必要な物資を手配し、戦えなくなった元騎士たちを雇い、看護班と物資班を設けて、患者を支える体制を整えていく。

私は、この姿勢がとても好きだ。

理想を語ることはできても、それを実現するのは簡単ではない。特に、周囲の価値観が自分と大きく異なる環境では、反発されることもあるだろう。それでもネオンは、自分の信念を曲げることなく、現実に向き合いながら行動を続ける。

しかも、ネオンが最善を尽くしても、すべての患者を救えるわけではない。実際に、治療していた患者が亡くなってしまう場面もある。それでもネオンは、悲しみをこらえながら前を向く。

この場面も印象に残った。

どれほど努力しても、必ず望んだ結果が得られるわけではない。自分にできることをすべてやっても、どうにもならないことはある。それでも、次に助けを必要としている人のために行動を続ける。

結果を変えられないことがあっても、最善を尽くそうとする姿勢まで失う必要はない。

そんなネオンの姿に、看護師としての責任感と強さを感じた。

3.自ら行動するからこそ、周囲の人たちも協力する

もうひとつ魅力的だったのは、ネオンの行動によって、周囲の人たちが少しずつ協力するようになることだ。

最初は、誰もネオンを手伝おうとしなかった。それでもネオンが一人で患者の処置を始めると、侍女のアルジや医療班のラミノー、エンゼが協力してくれるようになる。さらに、騎士団の隊長たちもネオンの活動を理解し、力を貸すようになっていく。

私は、この変化がとても良いと思った。

ネオンは、ただ周囲に協力を求めているわけではない。自分が最初に行動し、その姿を見た人たちが、手伝いたいと思うようになっているのだ。

もちろん、信念を持って行動すれば、必ず周囲が協力してくれるわけではない。それでも、言葉だけでは伝わらなかった思いが、行動によって伝わることはあると思う。

また、ネオンは自分一人で問題を解決しようとしているわけでもない。周囲の人たちに役割を任せ、協力しながら医療体制を整えていく。自分の信念を貫きながら、他人の力も借りる。その姿勢にも魅力を感じた。

人を動かすのは、立派な言葉よりも、自分自身が本気で取り組む姿なのかもしれない。

ネオンと周囲の人たちの関係を見て、そんなことを考えた。

4.傷つけられた側が、歩み寄る必要はあるのか

ネオンの強さを感じたのは、患者を助けようとする場面だけではない。夫のラスボラとの関係でも、理不尽な扱いを簡単には受け入れない姿が印象に残った。

ネオンは、結婚した当初からラスボラに一方的に拒絶され、別宅で暮らしていた。ところが、周囲の人たちはネオンに対して、ラスボラに歩み寄るよう求めてくる。

それに対してネオンは、なぜ切り捨てられた側から歩み寄らなければならないのかと反発する。私は、この場面にも強く共感した。

相手との関係を良くすることは大切かもしれない。しかし、そのために傷つけられた側だけが我慢し、歩み寄らなければならないのは、おかしいと思う。そもそも、最初に相手を拒絶したのはラスボラの方だ。それなのに、ネオンに関係修復を求めるのは筋が通らない。

ネオンは、患者を助けるためには自分から行動する。しかし、自分を理不尽に扱った相手にまで、無条件に歩み寄ろうとはしない。

私は、この違いが大切だと思った。

誰かのために行動することと、理不尽な扱いを受け入れることは違う。

ネオンは他人を助けようとする一方で、自分自身の尊厳も大切にしている。その姿にも、強い魅力を感じた。

まとめ:信念を行動に変えるネオンの強さ

この作品で最も心を動かされたのは、ネオンが理不尽な現実に屈せず、看護師としての信念を貫こうとする姿だった。

目の前の患者を見捨てない。どれほど厳しい環境でも、今できることを考えて行動する。そして、自分が率先して動くことで、周囲の人たちも少しずつ協力するようになっていく。

そんなネオンの生き方が、とても印象に残った。

私自身、強い信念を持つことは大切だと思う。しかし、それ以上に大切なのは、その信念を実際の行動につなげることなのかもしれない。

ネオンのように、最初からすべてを変えることはできなくても、自分にできることから始めていく。

理不尽な現実に屈せず、自分の信念を行動に変えていく。その姿が周囲の人たちの心を動かしていくところに、ネオンの本当の強さを感じた。

第19話まで読んだ今、これからネオンがどのように周囲の人たちと関わり、問題を乗り越えていくのか楽しみだ。

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toshi

京都市在住のエンジニア。読書好きが高じてブログを始め、現在は数学やAI・ソフトウェアを中心に、おすすめの小説についても記事を書いています。

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