「微分・積分」と聞いた瞬間、公式の暗記、意味不明な式変形、テストのための作業…。そんなイヤ記憶がよみがえる人も少なくないと思います。
でも、この本は違いました。「ふたたび」というタイトルが示す通り、これはやり直しの本であり、同時に「本当の出会い直し」の本です。
中学レベルの数学がわかれば、ちゃんと読める
必要なのは、関数・分数・文字式といった中学数学の基礎だけ。高校数学だからといって身構える必要はありません。
難しい概念に入る前に、必ず足場を固めてくれる構成なので、「いつの間にか公式が設定されていた」という感覚がほとんどありません。
なぜその公式にたどり着くのか、全部見せてくれる
この本の最大の魅力は、式変形を「結果」としてではなく、「思考の道筋」として示してくれること。
- なぜここでこの操作をするのか
- どう考えればこの形が自然に出てくるのか
それが一つひとつ丁寧に説明されているので、微分・積分が「魔法の公式」ではなく、人間が考えて積み上げた理屈として理解できます。
「微分は接線の傾き」「積分は面積を求める計算」という言葉が、単なる説明文ではなく、実感を伴って腑に落ちる瞬間が何度も訪れます。
わかっているつもりだった自分に、静かに効いてくる
高校時代、
- テストはそれなりに解けた
- 公式は使えた
そんな人ほど、この本は刺さります。
なぜなら、自分が「理解した気になっていただけ」だった部分が、次々と浮かび上がってくるから。
でもそれは挫折ではなく、むしろ心地いい体験です。「ああ、そういうことだったのか」と、知識がもう一段深い場所に収まり直していく感覚があります。
数式が多いのに、怖くない。不思議な読書体験
ページをめくると、数式は確かにたくさん出てきます。
それでも読み進められるのは、すべての式に「理由」と「居場所」が与えられているから。
途中式を省略せず、既出の公式もその都度呼び戻してくれる。だから、数式の途中で迷子になることがありません。
さらに、歴史やエピソード、ちょっとした余談が挟まれることで、これは単なる数学の解説書ではなく、人類が微分・積分にたどり着くまでの物語として読める一冊になっています。
こんな人におすすめしたい
そして何より、「数学は嫌いじゃなかったはずなんだけどな…」と思っているすべての人へ。
まとめ:公式の向こう側に景色があった
この本を読み終えても、難問が解けるようになるわけではありません。
けれど、
- 数式を見る目
- 「なぜ?」と考える姿勢
- 数学への距離感
それらが確実に変わります。
微分・積分は、決して一部の天才だけのものではありません。丁寧に登れば、誰にでも景色は開かれています。
『ふたたびの微分・積分』は、その登り方を、最後まで手を離さず教えてくれる一冊です。
「今度こそ、ちゃんとわかりたい」そう思った瞬間が、読みどきです。


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