\(e, i, π, −1\) 。直感的には何の関係もなさそうな数たちが、たった一行の式で結ばれます。
\begin{align}
e^{iπ}=−1 \\
\end{align}
数学史上もっとも美しい数式と呼ばれるこの等式に、「きれいだな」と感じつつも、どこか遠い世界の話だと思っていませんでしたか。
『文系編集者がわかるまで書き直した世界一美しい数式「 \(e^{iπ}=−1\) 」を証明する』は、そんな距離感を、静かに、しかし確実に壊してくれる一冊です。
中学数学から、オイラーの公式まで一気に駆け抜ける
この本の出発点は、自然数・分数・平方根・関数といった中学レベルの内容。
そこから少しずつ、
- 三角関数は何を表しているのか
- 指数関数・対数関数はどんな振る舞いをするのか
- 微分は「何を見ている操作」なのか
- 複素数とは何か
を積み重ね、最終的にオイラーの公式へとたどり着きます。
いきなり専門用語で置き去りにされることはなく、「必要なことだけを、必要な順番で」学べる構成。
一本道を歩いていけば、気づけば核心に立っている、そんな読書体験です。
「わかっているつもり」を、そっと崩してくれる
読み進めていて何度も感じたのが、自分が理解したつもりになっていた箇所の多さ。
- 関数とは何か
- 指数が実数に拡張されるとはどういうことか
- 極限をとるとはどういうことなのか
一度は習ったはずなのに、説明しようとすると曖昧だった部分が、この本では一つずつ言葉と式で整理されていきます。
「なるほど、そういう意味だったのか」という納得が積み重なり、最後にあの式が現れたとき、ただの記号ではなく「必然の帰結」として見えてくるのです。
他の数学書と並行すると、理解が深まる
この本は単独でも読めますが、『ふたたびの微分・積分』のような「なぜ?」を徹底的に追うタイプの数学書と並行して読むと、理解がさらに立体的になります。
同じ微分や指数関数でも、切り口や説明の角度が違うため、
「あ、こっちはこういう見方をしていたのか」
と視界が広がる感覚があります。
数学が「一本道の知識」ではなく、複数の視点から眺められる風景であることに気づかされます。

「文系でも証明できる」は、甘い言葉ではない
正直に言えば、この本は「何も考えずに読める」本ではありません。
鉛筆を持ち、立ち止まり、問題を解き、ときには首をひねる必要があります。
けれどそれは、読者を置き去りにしないための負荷です。
わかるまで、付き合ってくれる。その姿勢が、全ページから伝わってきます。
こんな人におすすめしたい
そして何より、「わからないままにしておくのは、少し悔しい」そんな気持ちを心のどこかに抱えている人へ。
まとめ:数学の美しさは、理解の先にある
\(e^{iπ}=−1\)という式が美しい理由は、見た目が整っているからではありません。
異なる世界に見えていたものが、一本の線で結ばれる瞬間に、人は美しさを感じます。
この本は、その瞬間に立ち会うための道筋を、文系の読者の目線で整えてくれています。
「数学はもういい」と思っていた人ほど、きっと心に残る一冊です。
あの式を、「わかった」と言えるところまで。その体験を、ぜひ味わってみてください。


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