自分のアタマで考えて答えを出していますか?
私は自分のアタマで考えているつもりでしたが、その多くは思い込みや他人の意見に左右されているように思います。
それだけでなく、この前のエントリでも紹介しましたが、これまでの思考の繰り返しになっていることも多いんですよね。

思い込みを自分の考えだと勘違いしていませんか?
私たちは、自分の能力を過大に評価する傾向があります。
たとえば、「あなたは運転が上手いですか?」と尋ねると、多くの人が「人並み以上にうまい」と答えました。
他人よりも自分の方が優れていると思い込んでいるんですよね。
他にも、政治的、思想的な思い込みもあるでしょう。
イスラム諸国で暮らす人に、
「9・11のアメリカ同時多発テロ事件は、アラブ人のグループが実行したという報道があります。これは本当だと思いますか?」
と質問すると、20%以下の人しか「本当だと思う」と答えませんでした。
彼らは、アメリカ政府やイスラム教徒以外のテロリストが実行したと思い込んでいたのです。
「知ったかぶり」をしている人たちもいます。
ペンシルバニア大学の心理学教授、フィリップ・テトロックの研究結果でも、このことが明らかになっています。
彼の研究によれば、選り抜きの専門家たちでさえ「自分たちが知っている以上のことを知っている」と思い込んでいたことがわかりました。
彼は政治に焦点を絞り、300人近い専門家をリストアップして、専門家たちが立てた数千の予測を20年にわたって追跡しました。
その結果、専門家たちの予測は「チンパンジーが投げるダーツ」ほどの確率でしか当たらないことがわかったんですよね。
しかも、専門家たちは予測が外れたときでさえ、「圧倒的に自信過剰でいた」そうです。
このように、私たちは客観的に物事を眺めずに、「自分の考えが正しい」と思い込んで生きているわけですが、これでは思うような人生を歩むことができませんよね。
では、どうすれば自分のアタマで考えられるのでしょうか。
自分のアタマで答えを導き出す3つの方法
それは次の3つの方法で、思い込みを排除して考えるクセをつけることです。
- 自分なりに問題を捉えなおす
- さかのぼって根本原因を考える
- 子どものように考える
1. 自分なりに問題を捉えなおす
たとえば、昔に比べて子どもの学力が低下したと言われていますよね。
多くの親たちは、その原因は学校側にあると考えていますが、本当にそうなのでしょうか。
確かに、昔に比べて教師のレベルが低くなったと言われています。女性の職業選択の幅が広がり、優秀な女性が教師になるとは限らなくなったからです。
とはいえ、教師の力量や学校側の問題よりも、家庭学習のほうが学力に大きな影響を及ぼしていることが最近の研究でも明らかになっています。
子どもが学校で過ごす時間は、起きている時間の2割程度だと言われています。実は、学校よりも家庭学習の時間が圧倒的に支配的なのです。
それにも関わらず、なぜ多くの親たちは学校のせいにするのでしょうか。
それは自分のアタマで考えずに、マスコミの言うことを鵜呑みにしているからです。
そこで、「本当にそうなの?」という疑問を持って、自分のアタマで問題を捉えなおすクセをつける必要があります。
自分のアタマで捉えなおすクセがつけば、他人の意見に流されずにいられますよ。
2. さかのぼって根本原因を考える
たとえば、ドイツでは経済格差が問題になっていたことがありました。
しかし、地域によって明確に経済格差が現れていたわけではなく、パッチワークのように分布していたので、何が原因で経済格差が発生していたのかわかりませんでした。
この問題の根本原因を特定したのがヨルグ・シュベンクッヒという経済学者です。
彼はドイツにおける宗教のパッチワークと経済格差のパッチワークを重ね合わせ、見事に一致していることに気づきました。
実は、カトリック地域の住民よりも、プロテスタント地域の住民のほうが稼ぎが多かったのです。
その原因は次の三つでした。
- プロテスタントはカトリック教徒より週あたりの労働時間が数時間多い。
- プロテスタントはカトリック教徒に比べて自営業が多い。
- プロテスタントの女性はカトリック教徒の女性よりフルタイムで働く率が高い。
プロテスタントは、仕事を神から与えられた使命として受け入れているため、カトリック教徒に比べて熱心に仕事をしていたのです。
このように、目の前の問題をどれだけ眺めても解決できないときは、過去にさかのぼって根本原因を考えたり、遠くから眺めるようにすると、解決の糸口が見つかるかもしれません。
この前のエントリでも紹介しましたが、遠くから眺めることがアイデアを思い浮かべるきっかけにもなります。

3. 子どものように考える
子どもはどんな無茶なアイデアでも、臆さず口にしますよね。
私たち大人も子供のように考えることができればアイデアが次々と浮かんできます。
あとで良いアイデアと悪いアイデアを区別できさえすれば、多くのアイデアを思いつくのは、いいことずくめだからです。
とはいえ、私たち大人は子供のように考えることがなかなかできません。
そこで、問題をできるだけ小さく分割して考えるようにします。小さく分割すれば、アイデアが思いつきやすくなるからです。
こうして多くのアイデアを思い浮かべながら、小さな問題を解決していけば、思い込みを排除することができます。大きな問題も解決できるようになりますよ。
最後に
今回はゼロベースで考える方法を3つ紹介してきました。
もし、新しいアイデアが生み出せない、生活がマンネリ化している、他人の影響を受けまくっていると悩んでいるようなら、今回紹介した方法を試してみてはどうでしょうか。
そうすれば、これまでとは違った視点で、問題と向き合えるはずですよ。
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