ありのままの自分を受け入れていますか?
「もちろん受け入れている!」と答える人も多いでしょう。しかし、実は多くの人が実力以上に自分を評価したり、正当化したり、誤魔化したりして、自分を騙しています。
なぜ、自分を騙すのかといえば、傷つかないためです。ありのままの自分を受け入れるには、勇気が必要なんですよね。
私たちは人に簡単に騙されてしまう
「恐怖管理理論」をご存知でしょうか。
人は恐怖や不安を感じると、無意識に安心できて楽しいものを求めてしまう、という心理学の理論です。
たとえば、中学生が殺害されたニュースを見たあとに、美味しそうなご飯やお菓子、お酒などのCMをみると食べたくなりますよね。
だからこそ、テレビ局は視聴者に恐怖を与えるようなニュースを流した後に、楽しそうなCMを流しているわけですが…、私たちはまんまとこの罠にまっています。
肩書きや羽振りの良さをアピールする人にも注意が必要です。「起業家」と名乗ったり、必要以上に高級ブランド品を身につけたり、外食や旅行に行ったことをアピールする人たちは、「権威付け」を利用している可能性が高いからです。
「権威付け」とは、自分を実際よりもよく見せて、発言や行動を信用させようとする行為のこと。多くの詐欺師がブランド品を身につけているのもこのためです。
カジノのチップが安っぽいプラスチック製なのにも理由があります。もし、現金で勝負する必要があったら、大金を賭けるのに躊躇しますよね。「このお金があれば○○できるかも」と考えてしまい、賭けられなくなります。
そこで、カジノでは安っぽいチップを使うことで心理的な負担を減らしています。
「マーケティングの本質は現状に不満を持たせることだ(そうすることで、商品を買わせるのだ)」と言った人がいますが、ここまで説明してきたように、私たちをとりまく環境は、善意であれ、悪意であれ、絶えず私たちを騙そうとしています。
しかし、私たちが最も騙されてはいけない相手は他人ではありません。自分自身なんですよね。
人だけでなく自分も簡単に騙せてしまう
たとえば、私たちは何も楽しいことがなくても、つくり笑いをするだけで、少し楽しい気分になれますよね。
それは、笑顔をつくることで顔の筋肉が刺激され、脳の記憶に働きかけるからです。脳が「この筋肉が動いたときには楽しかった」という記憶を思い出し、ストレスを低下させるホルモンを分泌するよう指令しているからです。
このように、私たちはほんの少しの刺激でも自分を騙すことができます。それなら、強く思い込めば自分を騙すことなんて簡単ですよね。
たとえば、転職して成果が出なくなった場合、
「この仕事にはどうせたいした価値なんてない」
「転職してすぐに成果を出すなんて無理に決まっている」
「みんなそうじゃないか」
なんて、自分を正当化する言葉を並べがちです。もちろん、これらはすべて思い込み。本来、感じるべき「悔しさ」や「敗北感」を紛らわせるために、自分を騙しているだけです。
ちなみに、心理学ではそれぞれ次のような名前がつけられています。
「すっぱい葡萄」:手に入らないものをけなす
「セルフ・ハンディキャッピング」:自分は不利な状況にあると言い訳する
「確証バイアス」:自分の思い込みと一致した情報ばかりを集める
しかし、このような心理メカニズムで自分を騙し、自分を守ろうとすればするほど、現状以上の未来は望めなくなります。
だからこそ…。
ありのままの自分を見つめる工夫をしよう
具体的には、
- 意識的に第三者に意見を求める
- 強制的に外圧を受ける
ビジネスの世界で「反対してくれる人の意見が大切だ」と言われるのは、「すっぱい葡萄」や「確証バイアス」などの罠にはまったときに、そこから抜け出すキッカケになるからです。論理的な批判は聞いた方が得です。
とはいえ、「批判的な意見は聞きたくない」という人もいるでしょう。
そんな人は強制的に外圧を受けるしかありません。リストラなどのつらい現実に直面してはじめて、自分を騙していたことに気づくでしょう。
◆
私たちは他人に騙されないように警戒していても、自分に対しては無頓着でいることが多いように思います。
その結果、「すっぱい葡萄」や「確証バイアス」などの罠にはまり、「自分が正しい」と思い込んでしまいがちです。
これでは現実をありのままに受け入れることができません。厳しい現実に直面してはじめて後悔することになります。
だからこそ、「他人の意見」を積極的に聞く必要があるんですよね。もちろん、感情的な批判は聞く必要はありませんが、論理的な意見は聞くようにしていきたいですね。
そうすることができれば、ありのままの自分を受け入れることができます。今よりもずっと自分らしく生きられるはずです。
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