カツセマサヒコ『明け方の若者たち』感想/意識高い系の人に寄り添う物語

おすすめ小説

意識高い系の人ですか?

私は意識高い系ではなく、行動派だと思っていますが、

カツセマサヒコさんの小説『明け方の若者たち』の主人公は、典型的な意識高い系だったので、読んでいてバカらしくなりました。

それだけでなく、結末がわかっている彼女との恋愛を引きずっていたので、まったく共感できなかったんですよね。

おすすめ度:1.0

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こんな人におすすめ

  • 意識高い系の主人公と身勝手な女性の恋物語に共感できる人
  • 出来ない自分も評価して欲しいと思っている人
  • カツセマサヒコさんの小説が好きな人

作品の簡単な紹介

今回は、カツセマサヒコさんの小説『明け方の若者たち』を紹介します。

心から愛していた女性にフラれた主人公が、彼女との思い出をひたすら振り返る物語です。

こういった恋愛ものが楽しめるかどうかで、この小説が楽しめるかどうかが決まりますが、

それだけでなく、主人公と彼女の「薄っぺらさ」を受け入れられるかどうかが大きなポイントになります。

意識だけ高くて何も行動を起こさない主人公と、いつも他人から愛されたいと考える身勝手な彼女に共感できるかどうか、

そんな嫌な自分も認めて欲しいと考えているかどうかで、この物語が楽しめるかどうかが決まります。

私の感想は「中身のないペラッペラな物語だった」ですが、薄っぺらい主人公たちに共感できる人には楽しめる物語かもしれません。

あらすじ:飲み会で出会った女性に一目惚れした大学生の物語

物語の主人公は、4月から印刷会社に就職することが決まっている僕。

沖縄料理屋で開かれた「勝ち組飲み会」という嫌な名称のイベントに参加した僕は、同じ飲み会に参加していたある女性のことが気になっていました。

しかし、幹事の自慢話を退屈そうに聞いていた彼女は、すぐに帰ると言い出したので、声をかけようと近寄ったところ、

「ごめん、携帯なくしちゃったみたいで。番号言うから、かけてくれない?」と言われます。

そこで、僕は教えられた番号に電話をかけたところ、彼女のポケットに入っていたことがわかりました。

こうして彼女は、何事もなかったかのように帰っていきましたが、その後、僕の携帯電話に彼女からメールが送られてきて…。

という物語が楽しめる小説です。

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感想①:ちょっとした恋愛気分が味わえる

こうして出会った僕と彼女は、「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」という彼女からのメールがきっかけで、付き合うようになりました。

出会って三日後には、「演劇好き?観に行かない?」と彼女からLINEが来たので一緒に観に行き、

演劇を観終わった後は、サイゼリアでワインを飲み、ラブホテルに行って一晩一緒に過ごします。

その日から僕と彼女は、毎日のように連絡を取るようになり、毎週のように会ってはどこかに出かける関係になりました。

さらに、僕が一人暮らしをすることに決めると、IKEAに行って二人で過ごすための家具を買い、気を許せる会社の同僚・尚人と三人で集まるようになります。

また、彼女に合鍵を渡したので、僕が飲み会から帰ると、風呂上がりの彼女がソファでくつろいでいることも頻繁にありました。

有川浩さんの小説『植物図鑑』では、主人公たちのベタ甘な恋愛模様が描かれていましたが、

有川浩『植物図鑑』は少女漫画好きにおすすめの恋愛小説
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この小説でも、僕と彼女の楽しい日々が描かれていたので、ちょっとした恋愛気分が味わえました。

感想②:身勝手な彼女に共感できない

とはいえ、この小説では、早い段階で僕と彼女が今では別れていることが明かされます。

もう五年も前のことになる。それでも解像度を保ったまま、当時のことを思い出してしまう。あの日から始まった彼女との時間は、底の見えない沼であり、僕の人生の全盛期だった。

と、僕が彼女との思い出を振り返るところから始まるからです。

そして、先ほど紹介したような彼女との楽しかった日々が語られ、なぜ突然別れることになったのかが明かされるのですが、

最初から注意深く読んでいれば、「そういうことかな?」と思える描写が多くあったので、特に驚きはなく、やっぱりかという思いになりました。

それよりも、身勝手な彼女に強い嫌悪感が湧き上がってきたんですよね。

百田尚樹さんの小説『夏の騎士』でも、序盤で結末が予想できる物語が描かれていましたが、

百田尚樹『夏の騎士』は一人では無理でも友達となら勇気が出せるかもと思える物語
 勇気をもって生きていますか?  私はできるだけ勇気を出そうとしていますが、勉強や仕事、家事・育児など、やるべきことの多さに逃げ出したくなることがあります。  しかし、百田尚樹さんの小説『夏の騎士』を読んで、目の前のやる...

この小説でも、序盤で僕と彼女の関係が予想できたので、驚きはなく、むしろ彼女の身勝手さに嫌悪感が湧きました。

感想③:意識高い系の人に寄り添う物語?

しかし、何よりも共感できなかったのは、主人公の僕です。

あらすじでも紹介したように、僕は「勝ち組飲み会」という恥ずかしい飲み会に参加していましたが、

このときすでに、第一志望に掲げていた広告代理店に全敗し、印刷会社に就職することで決着していました。

まったく勝ち組ではありませんでしたが、そうして入社した印刷会社でも、望んでいたクリエイティブな仕事ではなく、総務部に配属されます。

その後も僕は、残念な社員として扱われたり、ミスしないのが当たり前の減点方式の仕事に嫌気がさしたり、

とはいえ、自ら行動を起こすことなく、現状を愚痴ったりと、情けない行動を繰り返していきます。

それだけでなく、彼女と別れてからは、何度も彼女を思い出すことで、「こんなはずじゃなかった」人生を過ごしていくんですよね。

このように、意識だけが高くて何も行動を起こさず、彼女との恋愛も結末がわかっていたのにウジウジし続ける主人公にまったく共感できませんでした。

岸政彦さんの小説『ビニール傘』でも、未来に希望が持てない若者たちが現状をひたすら愚痴る物語が描かれていましたが、

岸政彦『ビニール傘』は人生に希望がもてない若者たちの悲哀を描いた物語
希望ある人生を歩んでいますか? 私は希望を抱いて生きていますが、何のために生きているのかわからないまま、日々を過ごしている人たちも大勢います。 そんな若者たちを描いた物語が岸政彦さんの小説『ビニール傘』。 希望をもたずに生...

この小説でも、意識だけが高くて、現実を受け入れられない主人公の物語が描かれていたので、共感できませんでした。

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まとめ

今回は、カツセマサヒコさんの小説『明け方の若者たち』のあらすじと感想を紹介してきました。

意識体系の人には共感できる物語だと思うので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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