石田衣良『池袋ウエストゲートパーク』は軽快なタッチで予想を裏切るミステリー小説

おすすめ小説

名探偵コナンはお好きですか?

私は大好きで全巻読んでいますが、石田衣良さんの小説『池袋ウエストゲートパーク』は、

『名探偵コナン』にダークな要素を取り入れて、軽快なタッチで描かれた雰囲気の物語です。

そのため、読みはじめるとページをめくる手が止まらなくなるんですよね。

おすすめ度:4.0

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こんな人におすすめ

  • 軽快なタッチで描かれた少年たちの物語を読んでみたい人
  • ダークな雰囲気のある物語が好きな人
  • 予想を裏切られるミステリーが好きな人
  • 石田衣良さんの小説が好きな人

あらすじ:池袋西口公園でたむろしている少年たちの物語

物語の主人公は、高校を卒業して無職になった真島誠。

彼は特にやることがなかったので、仲間たちと池袋西口公園(ウエストゲートパーク)で時間を潰す毎日を過ごしていました。

ところが、連続女子高生絞殺未遂事件が起きたことで、事件に巻き込まれることになります。

仲間のひとりだったリカが、絞殺された姿でラブホテルで発見されたからです。

リカは死ぬ直前に、誠に特別な相談があると言いましたが、聞く前に殺されました。

そこで誠は、リカのために出来ることはないかと考え、犯人探しを始めます。

池袋のギャングボーイズを束ねる頭・タカシと繋がりがあった誠は、

彼らに犯人と思われる人物の似顔絵を配り、24時間体制で対象の人物を探しました。

そうして見つかったのは、三十半ばの端正な顔をした男でしたが…。

という物語が楽しめる小説です。

感想①:ギャングボーイズたちの何でもありな日常が描かれている

あらすじで、誠は池袋ウエストゲートパークで時間を潰す毎日を過ごしていると書きましたが、

そこで繰り広げられていたのは何でもありな日常でした。

週末の真夜中になると、ベンチに女たちが座り、男たちが順番に声をかけていき、話がまとまれば繁華街へ消えていきます。

噴水の前には大きなCDラジカセが何台も並び、ダンサーのチームが振り付けの練習をしたり、

反対側では、シンガーたちがギターを抱えて叫ぶように何かを歌ったりしていました。

もちろん、それだけではありません。

水面下ではギャングたちの縄張り争いがあり、薬の売人や売春の女性たちも入り乱れ、ケンカが絶えない日常が流れていました。

こういった世界に縁のない私には、驚きの世界が描かれていましたが、

伊坂幸太郎さんの小説『終末のフール』でも、あと数年後に死ぬことがわかった人たちが自暴自棄になり、好き勝手に振る舞う姿が描かれています。

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この物語と同じように、生きる意味を見出せず、日々をどう過ごせば良いのかわからない若者たちの姿に胸が苦しくなりました。

有り余るエネルギーを吐き出す先が見つからないのは、とても苦しいことなのだと改めて気づかせてくれる物語です。

感想②:他人のために行動する誠が魅力的

そんな何でもありな日常では、ある一線を超える人たちが必ず現れるため、大きな問題が起こります。

『池袋ウエストゲートパーク』は、全4編で構成されている短編集ですが、あらすじで紹介したリカの死に迫る物語以外にも、

ヤクザの娘が行方不明になったので探して欲しいと依頼される物語や、

ヘルス嬢として働く同級生から、イラン人の彼氏がヤクの売人から狙われているので助けて欲しいとお願いされる物語、

ギャング同士の抗争が激化してきたので何とかして止めようとする物語など、

誰もが手を出したくない問題ばかりが描かれています。

しかし、誠はこれらの問題に無償でクビを突っ込み、解決するために奮闘していくんですよね。

なぜなら、

事件を解決してから、ろくでもない依頼が来るようになった。金もなく頭もなく、どうしようもないトラブルを抱えて身動きができなくなったガキを見ているのが耐えられなかったから助けた。鏡を見ているみたいだからだ。

と、自分と同じ境遇の少年を助けたいと思っていたからです。

漫画『サラリーマン金太郎』もそうですが、

どのような世界にも他人のために行動する人たちがいることを教えてくれる物語です。

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感想③:誠が中心となって問題を解決していくミステリー

ここまで池袋ウエストゲートパークでは、日常的に問題が起こっており、その問題を誠が解決していく物語だと紹介してきましたが、

もちろん誠ひとりで解決しているわけではありません。

漫画『名探偵コナン』でいうところのコナンが誠であって、

少年探偵団のような仲間たちと一緒に問題を解決していきます。

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具体的には、絵を描くのが得意なシュンや電波マニアのラジオ、

中学生のときに優等生だったけれど引きこもりになった和範たちが、自分の特技を生かして問題解決に向かって協力してきます。

そんな彼らの姿に惹きつけられ、夢中になっていく物語ですが、

それだけでなく、軽快なタッチで予想を裏切られる結末にもハマるミステリーです。

まとめ

今回は、石田衣良さんの小説『池袋ウエストゲートパーク』のあらすじと感想を紹介してきました。

すでに映画化もアニメ化もされている人気の物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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