森見登美彦『熱帯』感想/小説には魔法をかける力がある!?

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 私は社会人になってから小説を読むようになりましたが、今ではカバンの中に何冊も入れて持ち歩かないと不安になるほどハマっています。

 では、なぜそれほどハマったのかというと、小説には魔法をかける力があるからです。森見登美彦さんの小説『熱帯』を読んでその想いがさらに強くなりました。

 ちなみに、その魔法とは…。




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 小説には不思議な魅力がある

 では、あらすじから。

 物語の舞台は、佐山尚一が書いた小説『熱帯』の謎を解き明かそうとする人たちがいる日本。

 なぜか『熱帯』を最後まで読んだ人が誰もおらず、しかも再び購入しようとしても手に入らないため、その謎を解き明かそうと多くの人たちが躍起になっていました。

 池内さんという輸入家具屋で働くサラリーマンもそのひとり。彼は「学団」と呼ばれる読書会に参加し、メンバーたちとともに『熱帯』の謎に迫っていました。

 しかし、どれだけ記憶をサルベージしても、謎を解き明かせません。半分ほど読むと、小説そのものが消えてなくなるからです。

 ところが、白石さんという女性が学団に参加したことで物語が大きく動き出します。千夜さんという女性が何かに気づき、京都に出かけたのです。

 池内さんも彼女のあとを追いかけますが…。

 というように、小説には「物語の謎が気になって解き明かしたくなる」という不思議な魅力があります。それだけでなく…。

 物語にハマると現実との境目がわからなくなる

 『熱帯』という謎多き物語にハマった人たちは、現実と物語の境目がわからなくなっていきました。

 池内さんは千夜さんを追いかけて京都に行くと、自分が『熱帯』という物語の中にいるような錯覚に襲われます。

 自分の行動が『熱帯』に書かれている物語のように思えて、小説を読んでいるのか、本当に行動しているのかわからなくなるんですよね。

 それだけでなく、東京にいる白石さんの声を聞いたりしました。

 他の登場人物たちも似たようなものでした。ある人物は『熱帯』の謎を解き明かすために暴力的になるなど、手段を選ばなくなります。

 …というのは、極端な例ですが、物語を読んでいると、まるで自分が登場人物になったかのように感じることがありますよね。

 誰かが殺されるシーンを読むと顔が歪んだり、恋愛のシーンを読むとドキドキしたり、あるいは、主人公が活躍するシーンを読むと爽快な気分になったりと、私たちは物語と連動して心が揺れ動いています。

 さらに、ページをめくる手がとまらなくなる小説に出会えれば、現実と物語の境界がわからなくなることさえあります。

 つまり、小説に秘められた魔法とは…。

 私たちは望めば誰にでもなれる

 私たちは望めば誰にでもなれるということです。

 もちろん、現実離れした魔法をかけることはできませんが、物語の主人公たちと同じように勇気と愛情を持って行動すれば現実はどのようにでも変えられます。

 そうした勇気と愛情が湧いてくるほど物語には大きな力があるんですよね。

 そんな物語の偉大な力を教えてくれる小説が森見登美彦さんの『熱帯』。最後まで謎多き物語ですが、読めば『熱帯』の魅力にハマりますよ。

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