部下が思うように育たないことを悩んでいませんか。
私はよく悩んでいます。
一緒に仕事をしている人たちが同じような失敗をしたり、無駄な仕事を繰り返しているからです。
しかし、その原因が上司である私にあるのだとしたら…。
そこで今回は、『正統派リーダーの教科書』を参考に、リーダーに求められる3つの要件を紹介していきます。
1. 方針を明らかにする
仕事をお願いするとき、方針を明らかにしていますか。
ここでいう方針とは、「基本理念」と「最終目標」、「具体的目標」の3つです。
それぞれ簡単に説明すると、
最終目標:何を目指すのか、どのような成果を最終的に出すべきか
具体的目標:最終目標を達成するために、今何をすべきか
この3つの方針を明確に打ち出していないからこそ、部下は同じようなミスをしたり、無駄な仕事を繰り返してしまうのです。
もちろん、小説『のぼうの城』で描かれている主人公の成田長親のように、基本理念だけ定めて、後は部下にお任せというリーダーシップもありますが、
その場合は、部下の失敗も含めて責任を取る覚悟が必要です。

そんな覚悟がないのであれば、上司自らが次の手を決めるしかありません。
常に最新の情報を集めてお客様の心に響く商品やサービスを考えるのです。
それをサボって部下に責任を押し付けているようでは上司失格。
部下を叱る前に方針を示しましょう。
2. 何があっても成し遂げる覚悟を持つ
もちろん、方針を示すだけでは誰も動いてくれません。
「何があってもこの仕事を成し遂げるのだ!」という強い覚悟がなければ、部下の心に響かないため、行動につながらないからです。
ここである女性の話を紹介します。
彼女は老人ホーム・介護ホームを建てたいと思っていました。一人で両親の介護をするのが大変だったからです。
しかし、お金は一円もありません。
そこで彼女は銀行に融資を頼みに行きましたが、担保がないので断られました。
市長にも頼みましたが、市が赤字で予算が組めませんでした。
ところが、彼女の熱意に触発された市長が、ある国有地の話を思い出します。
早速、国に尋ねてみたところ、数十年の期限つきでしたが、無償で土地を提供してくれることが決まりました。
こうして彼女は土地を確保することに成功したのです。
とはいえ、ホームの建設費には5億ほど必要でした。そこで彼女は再び必死に考えます。
「そうだ。老人ホーム・介護ホームの入居優先権を買ってもらい、一口50万円の寄付を募ろう」
このアイデアをもって彼女は、50代、60代の人たちに戸別訪問をしました。
すると、1年で2億円もの資金が集まったのです。
さらに、この事実に驚愕した銀行から3億円の融資が下りました。
こうして彼女は、夢にまでみた老人ホーム・介護ホームの建設を実現したのですが、それだけでなく、その隣に保育園を建てることにします。
園児と老人を交流させることで、お年寄りも喜び、子供たちもお年寄りを大切にするようになると考えたからです。
すると、彼女の一生懸命さ、熱意に触れた人たちが集まって来るようになりました。
近くの病院に勤めている栄養士たちがボランティアで老人たちの食事レシピを作ったり、
暇を持て余しているお年寄りがホームに入居している老人の相手やちょっとしたお手伝いを自主的にするようになったのです。
もちろん、手当などありません。
こうして彼女は、最小限の職員で老人ホーム・介護ホーム、さらに保育園まで経営できるようになったのです。
まるで古川智映子さんの小説『土佐堀川』の主人公・広岡浅子さんのような成功体験ですが、

この話からわかることは、事を成すためには、まず念じ祈るほどの熱い思いが必要だということです。
「なんとしても成し遂げるのだ」という熱意と行動があれば、多くの人たちが協力してくれることがわかります。
私たちも、部下を奮い立たせるほどの熱意を持って仕事に取り組んでいきたいですね。
3. 人が集まってくる雰囲気、優しさ、魅力をもつ
先ほど説明したように、仕事をうまく進めるには、部下のやる気を引き出す必要があります。
ところが、やる気を削ぐようなことをしてしまいがちなんですよね。
たとえば、部下が一生懸命仕事をしているのに、その努力を考えず、結果が出ないと怒鳴りまくる…これでは誰でもやる気が出ません。
では、どうすればいいのでしょうか。
「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助さんは、松下政経塾のメンバーを決める選考基準を「運が強いこと」と「愛嬌があること」の2つに決めました。
ここでいう「運」とは、『運は操れる』の感想にも書きましたが、
宝くじのような確率的なものではなく、自分の力で再現できるもののことです。

リーダーには、運は自分で切り開いていくのだという強さと行動力が必要なんですよね。
そして、愛嬌とは、漫画『ONE PIECE』の主人公・ルフィのような人が寄ってくる、人が集まってくる雰囲気、優しさ、魅力のことです。

こうした愛嬌がなければ、衆知が集まらない、情報が集まらないという悲しい状況に陥ります。
もう少し現実的にいえば、浅田次郎さんの小説『おもかげ』の主人公・竹脇正一のような圧倒的な優しさをもつことだと思います。

死ぬ間際に大勢の人が詰めかけてくるほどの優しさをもって、人と接する必要があるんですよね。
つまり、部下であっても上から目線で接するのではなく、同じ目線で接すること。
そうすれば自ずと愛嬌が出てきます。
まずは部下を叱る前に自分の態度を見直してみてはどうでしょうか。
まとめ
今回は『正統派リーダーの教科書』を参考に、リーダーに求められる3つの要件を紹介してきました。
今の私はどれも十分に実践できていないので、耳がいたい話ばかりでしたが、心を入れ替えて実践していきたいと思います。
より詳しい内容が知りたい方は、ぜひ本書を読んでみてください。
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