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あらすじ
右大臣の娘・春姫様が鬼に襲われそうになったとき、最近お屋敷に仕え始めたばかりの一寸法師が鬼を退治すると言い出します。その後、鬼はすぐに一寸法師を飲み込みましたが、一寸法師が腹の中で針の刀を刺し続けたので、降参しました。こうして一寸法師は、鬼からもらった打出の小槌で大きくなり、春姫様と婚約しますが、結婚式の当日に、黒三日月と名乗る検非違使がやってきて、冬吉という男を殺した犯人を探していると言います。しかも犯人は…。
昔話をミステリ仕立てにした物語です。
『一寸法師』や『花咲爺さん』、『つるの恩返し』や『浦島太郎』、『桃太郎』といった誰もが知っている昔話を、ミステリ仕立てにした物語に引き込まれました。
また、トリックには、打出の小槌や花咲か爺さんの灰、鶴が織った着物など、昔話ならではのものが使われていたので、昔話の世界観を味わいながら謎解きが楽しめました。
さらに、昔話の舞台設定はそのままですが、一寸法師や桃太郎が悪役になるなど、本家とは一味違う視点で描かれているのも面白いところです。
他にも、倒叙トリックやフーダニットなど、さまざまなジャンルのミステリが用意されていたので、最後まで楽しめました。
これまでなかった昔話ミステリに興味がある方におすすめの小説です。
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