自分を隠して生きていますか?
私はどちらかと言うと自分をさらけ出して生きていますが、米澤穂信さんの小説『春期限定いちごタルト事件』を読んで、自分を隠し通すことは不可能だと気づきました。
自分を隠して生きるよりも、さらけ出した方が楽に生きられるんですよね。
小市民を目指す二人の主人公
では、あらすじから。
物語の主人公は小鳩常悟郎。彼は相棒である小山内ゆきと一緒に船戸高校に合格したので、これまで同様に小市民であり続けようと約束を交わしました。
小山内さんは小鳩の後ろに隠れて、小鳩は笑って誤魔化すことで、目立たない高校生活を送ろうとしていたのです。
ところが、小鳩の小学校時代の同級生である堂島健吾も船戸高校に受かっていたので、彼らの目論見が崩れていきます。
健吾は小鳩の推理好きな性格を知っており、女生徒の盗まれたポシェットを探すのを手伝って欲しいと言い出しました。
そのポシェットは、6時間目の体育が始まる前まではあったそうですが、戻ってきたらなくなっていたと言います。
そこで小鳩は、一緒にポシェットを探すことになった生徒たちの動きを見て犯人を特定するんですよね。
彼が犯人を特定できたのは…。
自転車といちごタルトを盗まれた恨みは深い!?
この続きは実際に本書を読んでもらうとして、米澤穂信さんの小説『春季限定いちごタルト事件』には、このような物語が5編も収録されています。
他の4編について簡単に紹介しておくと、
・本格的な油絵を描くOBが残した塗り絵のようなショボい絵の秘密とは?
・健吾がシンクを濡らさずに美味しいココアを入れた方法は?
・小山内さんが理科のテストで注意力を失ったのはなぜ?
・小山内さんの自転車といちごタルトを盗んだ犯人の結末は?
です。どれも誰も死なない青春ミステリーとして楽しめます。
なかでも、小山内さんの自転車を盗んで壊し、楽しみにしていたいちごタルトを奪った犯人の結末が描かれている最後の短編では、
小山内さんが小市民を目指している驚きの理由が明かされるので、続編が読みたくなるんですよね。
自分を隠そうとしても隠しきることはできない!?
とにかく、米澤穂信さんの小説『春期限定いちごタルト事件』は、小鳩と小山内さんの姿を通して、自分を隠そうとしても隠しきれないことがわかる物語です。
もちろん、誰も死なない青春ミステリーとしても楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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