「あの人はこんな人だ」と勝手な決めつけをしていませんか?
私は思い当たるところがあったので、『川のほとりに立つ者は』を読んで、反省しました。
勝手な決めつけで相手を嫌いになったり、配慮しすぎたりしていては、不幸になることに気づいたからです。
『川のほとりに立つ者は』のおすすめポイントとあらすじ
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『川のほとりに立つ者は』の感想
コロナ禍でしばらく会っていなかった彼氏が、友人と喧嘩をして重傷を負った謎に迫る物語です。
いつものんきそうに笑っていた彼氏が、なぜ友人と殴り合いの喧嘩をしたのか、また、なぜ隠れて菅井天音という人に手紙を書いていたのかなど、気になる謎に引き込まれて、ページをめくる手が止まらなくなりました。
一方で、性別やADHD、ディスクレシアなど、誰もが生まれつき同じではないにも関わらず、まわりと同じようにすることを求められ、できないと責められ、頭が悪いと決めつけられる理不尽な現実に心が痛みました。
さらに、誰かを評価するときに、本当はいい人、本当は嫌なやつみたいな言い方をするけれど、誰もが本当の自分など持っておらず、良い部分と悪い部分がコンディションによって濃くなったり、薄くなったりしているだけで、人の本心を知るのは、絶対に不可能だと気づかされました。
彼氏の隠し事の謎に迫る、人との関わり方について考えさせられる物語に興味がある方におすすめの小説です。
『川のほとりに立つ者は』を読んで考えたこと
「あの人はこんな人だ」と勝手な決めつけをしていませんか?
私も勝手な決め付けをしていることがありますが、実は遅刻や忘れ物ばかりするルーズな人が発達障害だとしたら、どうしますか?
私なら、もって生まれたものなので、遅刻や忘れ物も、ある程度、受け入れようと努力するように思います。
しかし、だからといって、勝手にこの仕事はできないだろうと配慮しすぎるのも決めつけです。
また、『川のほとりに立つ者は』の主人公のように、あの人にこの話をするのは重いかな、傷つくかな…なんて必要以上に気をつかって、細かく話題を選ぶのも決めつけです。
とはいえ、決めつけをなくして、本心をダダ漏れにすると、嫌われたときに、かなりショックを受けることになります。
本当の自分が嫌われたように感じるからです。
そのため、誰もが相手はこういう人だと勝手に決めつけ、その決めつけに基づいて配慮しながらコミュニケーションをとっているわけですが、だからこそ、相手の本心が気になります。
本心で言われているのか、配慮されているのかわからないからです。
しかし、相手の本心を知る術などありません。
タイトルにもあるように、川のほとりに立つことはできても、川の底に沈んでいる石がどのような形をしているかは見えないからです。
それなら、相手がどうであれ、必要以上に決めつけたり、配慮したりするのはやめて、できるだけ本心で話した方がいいと思いませんか?
配慮して心の奥底で悩みや不安、怒りがくすぶっていては、不幸になる一方だからです。
もちろん、本心で話したとしても嫌われることもありますが、好きになってもらえた相手とは、長く付き合っていけるはずです。
川の底が見えないなら、自分から本心を話して見えるようにしてしまえ…そんなふうに思える物語でした。
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