古内一絵『女王さまの夜食カフェ マカン・マラン ふたたび』感想/他人の目を恐れずに自分らしく生きようと思える物語

おすすめ小説

他人の目を気にしていませんか?

私は昔と比べると気にならなくなりましたが、古内一絵さんの小説『女王さまの夜食カフェ マカン・マラン ふたたび』を読んで、改めて他人の目を恐れずに、自分らしく生きようと思えました。

他人の目が気になって悩んでいた人たちが、ドラァグクイーン(女装をした男性)であるシャールの言葉に励まされ、自分らしく生きようと決意する姿が描かれていたからです。

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『女王さまの夜食カフェ マカン・マラン ふたたび』の情報

タイトル 女王さまの夜食カフェ マカン・マラン ふたたび 
著者 古内一絵
おすすめ度 4.5
ジャンル ヒューマンドラマ
出版 中央公論新社 (2016/11/16)
ページ数 268ページ (単行本)
「マカン・マランシリーズ」の2作目です。

おすすめ度の理由

  • マカン・マランのような温かい気持ちになれる場所を探したくなる
  • シャールの言葉が心に沁みる
  • ラストは感動で涙がこぼれ落ちそうになる
  • 話の展開が読めてしまう

『女王さまの夜食カフェ マカン・マラン ふたたび』のあらすじ

他人の目を極端に恐れていませんか?

個人情報を管理する職場で働く西村真奈は、同じ派遣社員として働く中島美知香を恐れていました。

美知香は派遣としては最も古株で、課長にも意見を通すほどの力を持っていたので、真奈は彼女から体よく雑用を押し付けられても黙って引き受けたり、美味しくもないランチを一緒にとったりしていました。

ところが、同じく美知香の言いなりになっていた同年代の鶴見綾乃が結婚することになり、退職します。

こうして真奈は、これまで以上に美知香の目を気にするようになりましたが、綾乃の代わりに派遣されてきた峯山晶子は、美知香をまったく相手にしませんでした。

誰よりも遅くやってきて、ヘッドホンで音楽を聴きながら仕事をしていましたが、誰よりも早く仕事をこなしていたので、美知香も文句が言えなかったのです。

そんな晶子の姿を見た真奈は、美知香に振り回されていた自分を恥ずかしく思い、凹みます。

そこで、偶然立ち寄った夜食を提供するお店「マカン・マラン」の店主であり、ドラァグクイーンでもあるシャールにそのことを話すと…。という物語が楽しめる小説です。

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『女王さまの夜食カフェ マカン・マラン ふたたび』の感想

この小説では、全部で4つの物語から構成されていますが、どの物語も他人の目を気にせず、自分らしく生きていこうという気持ちにさせてくれます。

たとえば、あらすじで紹介した『蒸しケーキのトライフル』では、古株の派遣社員・美知香の言いなりになっていた真奈が、自分はただの派遣で、つまらなくて、自分がないんです…というと、シャールは、

「あなたも、自分のことを”ただの”とか”つまらない”とか言っちゃ駄目。それは、あなたが支えている人や、あなたを支えてくれている人たちに対して、失礼よ」

と、優しくも厳しい言葉をかけました。

関係のない人から見れば、誰でも何とでも言えるので、他人の目なんて気にせず、自信をもって自分らしく生きることが大切だと教えてくれます。

また、『秋の夜長のトルコライス』では、発達障害かもしれない息子・圭をもつ伊吹未央が、母の呪縛から逃れられずに、追い立てられるように自分に負荷をかけてしまい、疲れ果てていました。

未央を支配してきた母は、今では圭を甘やかせていますが、発達障害のような症状が出るのは「ちゃんと躾けていないから」だと叱られたからです。

それだけでなく、PTAの役員を引き受けている同じクラスのママから「授業中に立って歌わせるな」というプレッシャーを感じた未央は、圭に対して一生懸命になりますが、どれだけ頑張っても、圭は思うようには振る舞わなかったからです。

そんな未央の話を聞いたシャールは、

「がんばらなくていいんじゃないかしら」
「目一杯がんばったなら、もうそれ以上、がんばる必要なんてないのよ」

と言うんですよね。

どれだけ頑張っても、親子関係だって、夫婦だって、恋人だって、思うようにはいかないことばかりなので、一旦力を抜かないと、新しい力が湧いてこないからだと言います。

また、そうして他人の目を気にして頑張ることが、圭のためにも、未央のためにもなるとは思えなかったからです。

このように、シャールの言葉をきっかけに他人の目を気にせず、自分らしく生きようと決意する人たちの姿が描かれていたので、私も他人の目を恐れずに自分らしく生きようと思えました。

まとめ

今回は、古内一絵さんの小説『女王さまの夜食カフェ マカン・マラン ふたたび』のあらすじと感想を紹介してきました。

シャールの言葉をきっかけに自分らしく生きようと決意する人たちの姿に励まされる物語です。

気になった方はぜひ読んでみてください。

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