ブレない生き方をしていますか?
私は悩むとすぐにブレてしまいますが、心理学者のアルフレッド・アドラーによると、人間の悩みは、すべて対人関係の悩みに行き着くそうです。
つまり、人との「つながり」や「しがらみ」の中で、どうやって自分のやりたいことと折り合いをつけていくか?が、ブレない生き方をする上で重要なんですよね。
ありのまま?なるがまま?
2014年に映画『アナと雪の女王』が公開されると、多くの人たちが「ありのままに生きよう」と言い始めました。
では、ありのままに生きるとは、どういうことでしょうか。
それは、自分を前面に押し出して自己主張していく生き方のことです。
組織やグループの一員として活動していると、「もっとこうしたほうがいいのに」「自分はもっとこんなことがしたいのに」という思いがたくさん出てきますよね。
その思いを他人や周囲の目を気にせず、どんどん打ち出し、自分がやりたいことを推し進めていく生き方…それが、ありのままです。
一方の「なるがまま」は、自分を押し殺して他人や周囲に従っていく生き方です。
組織やグループの一員として過ごしていると、「これは間違っているのではないか」と思うことがありますよね。
しかし、そういうことがあっても、あえて口にせず、他人や周囲との協調を大切にしながら流れに身を任せます。
つまり、自己主張を控え、自分をぐっと抑えて、置かれた状況に身を任せる生き方…それが、なるがままです。
私たちが他人との関係や組織との関係で悩んだときは、基本的にこの2つのどちらかの道を選ぶしかありません。
要するに、思い切って出ていくのか、出るのを控えてじっとしているのか。流れに逆らうのか、流れに従っていくのか。
この二者択一なんですね。
では、ブレない生き方をするには、どちらの道を選ぶべきなのでしょうか。
「ありのまま」と「なるがまま」のメリット・デメリット
もちろん、それぞれにメリット、デメリットがあります。
「ありのまま」の自己主張モードになっているときは、自分の思うように行動できますが、
交感神経が優位になっているので、アクセルがかかりすぎて失敗する確率が高くなります。
反対に、「なるがまま」の他人まかせモードになっているときは、他人から嫌われる可能性は低くなりますが、
副交感神経が優位になるので、ブレーキがかかりすぎて停滞してしまいがちです。
そのため、「ありのまま」も「なるがまま」も、どちらか一方に偏ってしまってはダメなんですよね。
クルマの運転と同じように、アクセルとブレーキをバランスよく使い分ける必要があります。
必要なときにアクセルを踏み、ブレーキをかけて、臨機応変にコントロールしていく…。
それができれば、自分という「車体」をうまく乗りこなすことができます。
つまり、自分の成し遂げたい夢に向かってブレずに生きていくには、「ありのまま」も「なるがまま」も必要なのです。
「ありのまま」と「なるがまま」を上手く活用する方法
では、次に「ありのまま」と「なるがまま」を上手く活用する方法を紹介します。
ここでは、3つのケースで考えてみましょう。
1. 「キャリアをスタートした直後」や「行動が空回りしている」とき
仕事やスポーツなど、キャリアをスタートした直後は、自分のプライドをかなぐり捨てて技術やコツを身につけていかなくてはいけません。
少しでも早く一人前になるには、上司の指示にすべて従い、先輩から学べることをどんどん吸収していく必要があります。
こういった修行の時期には、身も心もすべて「なるがまま」に捧げてしまうくらいでいいでしょう。
そのほうが仕事でも、スポーツでも早く上達できます。
それだけでなく、徐々に全体の流れが見えてくるんですよね。
仕事の大きな流れがどこに向かっているのか、今の自分はその流れのどのあたりにいるのか、ということが読めるようになります。
すると、自分の進むべき道がみえてきます。
どれだけ頑張っても、空回りして結果が出せないときも、「なるがまま」に身を任せたほうが解決が早くなるでしょう。
こういった時は、もがけばもがくほど自分を見失うことが多いからです。
反対に、流れに身を任せてまわりを見渡すことができれば、いろいろなことに気づき、また力を抜いて行動できるようになるので、良い結果が出やすくなります。
このように、「キャリアをスタートした直後」や「行動が空回りしている」ときは、なるがままに振る舞う方が成果に結びつきやすいんですね。
2. 「あまりにもひどい組織」や「悪意のある相手」と付き合う場合
一方で、「あまりにもひどい組織」や「悪意のある相手」と付き合う場合は、「なるがまま」に身を任せると、取り返しのつかないダメージを被ってしまいます。
たとえば、「ブラック企業」とか「ブラックアルバイト」が社会問題にもなっていますが、こういった組織に身をゆだねてしまい、「なるがまま」で働いてはいけません。
会社にいいように使われたあげく、潰されてしまうからです。
そのため、危険を感じたら、ダラダラと結論を出すのを先延ばしにしたり、無理に頑張ろうとしたり、何とか関係を修復しようとしたりするのではなく、
「こりゃダメだ」と思った相手や組織に対して、こちらから見切りをつけて「No!」とはっきりと伝えていく、縁を切ってしまうことが大切です。
つまり、「ありのまま」の自分を前面に出して、次に向かって行動することが大切なんですよね。
3. 転職するかどうかで悩んでいる場合
いまの会社で仕事を続けるべきか、それとも転職をして別の会社に行くべきか…。
とても難しい悩みですが、悩みぬく作業をする際に、
- 自分の何が通用して何が通用しないのか
- 自分の力はどういう環境で生かせるのか
- いまの会社の何が不満で、次の会社に何を求めているのか
- 自分にリスクをはね返していけるだけの力があるのか
といったことを徹底的に考えます。
こうして、合理的に自分の力量を分析すれば、おのずとどちらの道に進むべきか見極められるはずです。
「ありのまま」にチャレンジするには自分はまだ力不足だ…ということが見えてきたのなら、とりあえず現状維持の道を選択し、「なるがまま」でがんばって力を蓄えます。
「まだ自分には足りないものがたくさんあるんだ」「まだ自分にはチャレンジは時期尚早なんだ」と思い、目の前の仕事や練習をやり抜いていくのです。
そうすれば、いつか自分らしい「ありのまま」の道へとつながっていきます。
反対に、自信があるのなら今すぐ「ありのままの道」を選べば良いでしょう。
このように、「あるがまま」であれ、「なるがまま」であれ、自分の達成したい目標に向かってブレずに挑戦していくことが大切なんですね。
まとめ
今回はブレずに生きるためには、「ありのまま」と「なすがまま」を状況に応じて上手く活用することが大切だと紹介してきました。
とはいえ、どれだけ上手く活用できたとしても、人生はどう転がるかわかりません。
時には安泰に思えた現状維持が失敗につながることもありますし、危険に見えたチャレンジが成功につながることもあります。
ある意味では「運次第」だとも言えるでしょう。
しかし、そういった運に左右されずに生きていくには、「ありのまま」を選ぼうとも、「なるがまま」を選ぼうとも、自分らしく輝いていける「ブレない軸」が必要です。
つまり「信念」が必要なのです。
正しいか間違っているかではありません。「自分はこうやって生きていくのだ」という強い一念を持つことです。
では、どうすれば信念が持てるのでしょうか。
それは、人づきあいの中でもまれ、悩みに悩みぬいていくしかありません。
ぜひ、悩みから逃げずに、「ありのまま」と「なるがまま」を上手く活用しながら「ブレない心」を育てていきましょう。
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