毎日の食卓を意識していますか?
私は当たり前のように、家族と食卓を囲んできましたが、『ゆうべの食卓』を読んで、意識が変わりました。
毎日の食卓が、人生に彩りを与えてくれることに気づいたからです。
『ゆうべの食卓』のおすすめポイントとあらすじ
おすすめ度:
『ゆうべの食卓』の感想
子どもからお年寄りまで、幅広い世代の人たちの日常を、「食卓」を切り口に描いた短編集です。
恋人にフラれたことをきっかけに料理教室に通い始めたサラリーマンや、実家の片づけをしているときに母の家計簿を見つけ、幼い頃の記憶が母の手料理と共に蘇ってきた主婦など、食卓を切り口に描かれた物語に引き込まれました。
また、あらすじで紹介した短編では、「おせち」を通してバラバラになった家族を嘆く主婦を描き、娘と一緒に夜食に「インスタントラーメン」を食べたことで、バラバラになったのではなく、変わっていっただけだと気づく姿を描くなど、登場人物たちの前向きな心情の変化に心が動かされました。
さらに、短編の中でも時間軸をずらしたり、登場人物の視点を変えたりしながら描かれていたので、物語に深みがあるように感じました。
「食卓」を切り口に描かれた心温まる短編集に興味がある方におすすめの小説です。
『ゆうべの食卓』を読んで考えたこと
毎日の食卓を意識していますか?
私は当たり前のように家族と食卓を囲んできましたが、『ゆうべの食卓』を読んで、こうした当たり前の食卓が、人生を彩ってくれるのかもしれないと思いました。
たとえば、あらすじで紹介した短編では、家族がバラバラになったことを嘆いていた主婦が、娘と一緒に夜食にインスタントラーメンを食べたことで、同じ年代だった頃の自分を思い出し、意識が変わります。
他にも、小学生の娘がスイミングの帰りにこっそり友達と買い食いをしていたことに気づいた主婦が、娘を叱りますが、自分も小学生の頃は同じように買い食いをしていたことを思い出します。
また、一人暮らしをするようになった大学生が、風邪で寝込み、母に教えてもらった簡単料理を食べて元気になったことで、久しぶりに母に連絡を返そうと思うなど、食卓が人生の思い出とセットになっていることに気づきました。
とはいえ、私はコロナ禍がきっかけで在宅ワークになり、それまでとは打って変わって家族で食卓を囲む機会が劇的に増えましたが、気づけば、今では当たり前になり、おざなりになりがちです。
しかし、こうした日々の食卓が人生を彩る1ページになるのだと思うと、テレビを見ながら食事をする頻度を減らして、これまで以上に家族と会話をしたくなりました。
いつかきっと、家族で囲んだ食卓のことを子どもたちが思い出してくれる日がくることを信じて。
コメント