サイボーグとして長生きできる未来がやってくるかもしれない

ライフハック

寝たきりの病気になったら、それ以上生きたくないと考えていませんか?

私は家族にも迷惑がかかるので、延命措置はして欲しくないと考えていましたが、『ネオ・ヒューマン』を読んで少し考えが変わりました。

もちろん、健康でいることに越したことはありませんが、たとえ寝たきりになったとしても、新たな選択ができるかもしれないと期待がもてたからです。

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『ネオ・ヒューマン』の情報

タイトル ネオ・ヒューマン 
著者 ピーター・スコット-モーガン
おすすめ度 4.0
ジャンル 自伝
出版 東洋経済新報社 (2021/6/25)
ページ数 464ページ (単行本)
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おすすめ度の理由

  • 自分らしく生きるには暗黙のルールと戦う必要があることがわかる
  • 寝たきりになっても楽しく過ごせるかもしれないと期待が持てる
  • 自分を信じて新たな挑戦を始めようという勇気が湧いてくる
  • ネオ・ヒューマンの説明が少ない

『ネオ・ヒューマン』の要約

暗黙のルールと戦っていますか?

本書の著者であるピーター・スコット-モーガン氏は、全身が動かなくなる難病・運動ニューロン疾患(MND/ALS)と診断されてから、自らを実験台として「身体のサイボーグ化」と「AIとの融合」に取り組まれています。

とはいえ、この道を切り拓くのは簡単ではありませんでした。

イギリスきってのMNDの専門医に「科学的な知見で先手を打ちたい」と言っても拒否されたからです。これまでのルールを変えることを嫌がられたのです。

では、これまでのMND患者はどうしていたのでしょうか。

歩けなくなる、呼吸ができなくなるなどの問題が起こってから手術をしていたため、助からないケースが多々ありました。

とはいえ、手術をしたところで寝たきりになるだけなので、自ら死を選ぶ人も多くいました。

それほど未来に希望が持てない病気なのです。

もちろん、チャリティやアイスバケツ・チャレンジなどで研究資金を集める活動も行われていますが、この50年で完成したのはリルゾールという薬だけで、それも20年前に登場したもので、平均寿命を2ヶ月しか延ばせません。

5年以内に完成する予定の薬はひとつもなく、このままではMNDと診断された90%の人が、何も手を打てずに亡くなってしまいます。

そこで、ピーターは、MND患者でも楽しく生きられるのだということを証明するために、地元の医師にアクセスし、寝たきりになっても困らない身体を手に入れようと動き始めました。

胃に直接栄養を送り込む「インプットのチューブ」と、排尿用・排便用につなぐ「アウトプットのチューブ2本」を身体に通そうと考えたのです。

これで、食事とトイレに困ることはありません。

また、早めに気管切開を行い、肺に空気を送り込んでいる筋肉が機能しなくなっても、息ができるようにしようと手術をしました。

もちろん、これだけでは延命措置にしかならないので、ロボティクスやAI技術などを活用し、自分の意思が反映できる身体や場所を手に入れようと行動していきます。

その一つの方法が、AIに話をさせるというものです。

スマホの予測変換よりも高度な機能を導入し、AIが提案した文章をボイスシンセサイザーにしゃべらせておいて、その間に目の動きを追跡する技術(眼筋は麻痺しないため)を使って、定型文の間にカスタマイズした文章を挿入する方法を取ろうと考えたのです。

こうすれば、人と自然に会話できます。

他にも、五感を働かせるためにセンサーを活用したり、自動運転の車椅子を活用して、自由に移動できる手段を用意したり、アバターを作って、VR上で自分の声や動き、考えなどを再現させるなど、現実世界だけでなく、バーチャルな世界でも自分の意思が反映できるようにしようと考えました。

もし、これが本当に実現すれば、現実世界では機械化した身体で五感を働かせ、目的地までは自動的に車椅子で移動でき、バーチャルな世界ではこれまでと同様に自分の意志で、自由に行動できる未来がやってきます。

そんな未来が実現できれば、自ら死を選ぶような悲しい選択をしない人が増えるだろう…と考えて行動する著者に勇気がもらえる本です。

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『ネオ・ヒューマン』の感想

まず、本書を読んで、映画『マトリクス』の世界を現実世界で実現しようとしている人がいることに驚きました。

とはいえ、『マトリクス』では、AIやロボットに人間が支配される世界が描かれていますが、ピーターは自分を存続させる場所としてバーチャルな世界を実現しようとしています。

それだけでなく、現実世界にいるのか、バーチャルな世界にいるのか、という枠組みを潰そうとしているんですよね。

現実世界でもバーチャルな世界でも、AIやロボティクスの技術を駆使して、五感を機能させ、自分らしく振る舞える、生きている実感をもてるようにしようと考えています。

このようにピーターはALSという重い病気になっても、新たな未来を描いて行動していますが、彼と同じ状況になれば、多くの人は絶望に押しつぶされ、自暴自棄になると思います。

では、なぜピーターは絶望するような状況に追い込まれても、ワクワクするような未来が描けたのでしょうか?

それは、彼自身が若い頃から「ゲイ」として迫害されてきたことに反発してきたからです。

高校時代は、ゲイという理由で、フェンシング部の主将から外され、寮の監督生にもなれず、校長から鞭で叩かれ、両親からも情けないと言われました。

それでも彼は、自分の信念を守り、行動し続けてきたからです。

その信念を本書では、次のように書かれています。

「これからの僕は、不公平な現実に耐えることを拒否する。代わりに現実を変えてみせる。殴られて降伏させられるのも、選択肢を奪われて服従させられるのもごめんだ。弱みを強みに変えて、新たな選択肢を創造するんだ。
いじめに屈することも徹底的に拒否する。たとえ相手がどれほど大きな権力を持っていても。これからの僕は、エスタブリッシュメントの世界に攻撃されるたびに、何度だって、何度だってやり返してやる。いつかやつらが降伏するまで」

だからこそALSという難病が襲いかかってきても、自分らしく生きるために、AIやロボットを駆使して、徹底的に戦っているんですよね。

そんなピーターの姿を通して、たとえどのような状況になっても、自分の信念と異なるルールとは徹底的に戦うことが大切だと励まされました。

また、そのルールを打ち破って新たな選択肢を生み出すことこそが、人間らしい生き方だと教えられました。

自分を信じて新たな挑戦を始めようという勇気が湧いてくる一冊です。

まとめ

今回は、『ネオ・ヒューマン』の要約と感想を紹介してきました。

たとえ寝たきりになるような病気になったとしても、テクノロジーの進化のおかげで、新たな選択ができるかもしれないと期待が持てる本です。

また、どのような状況になっても、未来は自分の行動次第でどうにでも変わるのだと励まされる一冊です。

気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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