知念実希人『硝子の塔の殺人』感想/どんでん返しに驚かされる!本格ミステリー

おすすめ小説

面白い本格ミステリーの条件として、「驚きがあること」が挙げられます。

たとえば、我孫子武丸さんの小説『殺戮にいたる病』では、猟奇的なシーンが続くので、あまりの気持ち悪さに読むのをやめたくなりますが、ラストのどんでん返しで、これまでの気持ち悪さが吹き飛び、もう一度読み返したくなるほどの驚きが味わえます。

今回、紹介する知念実希人さんの小説『硝子の塔の殺人』も、「衝撃的!」とまではいきませんでしたが、まんまと驚かされました。

「謎解き」「トリック」「頭脳派名探偵の活躍」という本格ミステリーの要素を散りばめながら、これまでとは一味違う展開が楽しめる小説です。

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『硝子の塔の殺人』の情報

タイトル 硝子の塔の殺人 
著者 知念実希人 
おすすめ度 3.5 
ジャンル ミステリー 
出版 実業之日本社 (2021/7/30) 
ページ数 504ページ (単行本) 
2022年本屋大賞ノミネート作品です。

おすすめポイント

  • 序盤から惹き込まれ、ラストはどんでん返しに驚かされる
  • イメージしやすい個性的なキャラクターに惹き込まれる
  • 作者のミステリー愛に触発される

『硝子の塔の殺人』のあらすじ

ミステリーを愛する大富豪・神津こうづ島太郎しまたろうは、名探偵やミステリー作家、刑事、霊能力者、ミステリー雑誌の編集者などを、雪深き山奥にある「硝子の塔」に招待し、あることを発表しようとしていましたが、その直前に殺害されます。

犯人は、彼のお抱え医師だった一条遊馬でしたが、なぜか一条には身に覚えのない第二、第三の密室殺人が起こりました。

そこで一条は、名探偵を自称するあおい月夜つきよの助手として、誰よりも早く第二、第三の犯人を特定し、自分の罪をなすりつけようとしますが…。

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『硝子の塔の殺人』の感想

序盤から惹き込まれ、ラストはどんでん返しに驚かされる

『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』のように、犯人または犯行の一部がわかっている状態で展開するミステリーのことを「倒叙とうじょミステリー」と言います。

『硝子の塔の殺人』も、一条遊馬が神津島太郎を殺すシーンから始まるので、「倒叙ミステリー」と言えますが、他と一味違うのは、一条には身に覚えのない第二、第三の密室殺人が起こるところです。

しかも、一条が自分の罪をなすりつけるために、名探偵を自称する碧月夜の助手として犯人捜しをするという展開に、序盤から惹き込まれました。

その後、物語の中盤から後半にかけて、第二、第三の密室殺人のトリックが明かされるのですが、あまりのしょぼさにショックを受けます。

しかし、このしょぼさがラストの仕掛けへと繋がっていく…という構成だったので、驚きました。

残念ながら、犯人の動機にはあまり共感できませんでしたが、「どんでん返しに驚かされる本格ミステリーが読みたい!」という人にお勧めの小説です。

イメージしやすい個性的なキャラクターに惹き込まれる

『硝子の塔の殺人』に出てくる登場人物は、『逆転裁判』に出てくるキャラクターのように、一癖も二癖もあります。

たとえば、探偵役である碧月夜は、登場して早々に自分のことを名探偵だと偉そうに言い出すので好きになれませんでした。

しかし、物語が進んでいくにつれて、実際に名探偵ぶりを発揮していくので、徐々に嫌悪感がなくなっていきます。

そればかりか、いつの間にか、次はどんな推理を披露するのだろうと期待するように変わっていきました。

文章が上手く、すっと入ってくることもあり、碧月夜の魅力に徐々に惹き込まれたのだと思います。

彼女以外にも、ネガティブ思考の胡散臭い占い師や、やたら偉そうな刑事など、一癖も二癖もあるキャラクターたちが出てくるので、彼らの魅力に惹き込まれました。

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作者のミステリー愛に触発される

ミステリー好きを自称する人たちは、一体どれほどの作品を読み込んでいるのでしょうか。

50冊?100冊?いやそれ以上?

『硝子の塔の殺人』では、ミステリーマニアの登場人物たちが、40冊ほどの本格ミステリーについて語ります。

この展開は『そして誰もいなくなった』と同じだとか、このダイイングメッセージは『館シリーズ』の登場人物を示している…などなど。

特に、碧月夜が語るマニアックな内容を読むと、作者である知念さんが本当にミステリー好きだということが伝わってきます。

そのため、本格ミステリー好きにはたまらない内容ばかりですが、たとえ未読でも、知念さんのミステリー愛に触発されて、それらの作品を手に取ってみたくなります。

ちなみに、私は『硝子の塔の殺人』で紹介されたミステリーはすべてメモをとったので、時間をかけて順番に読んでいこうと思います。

まとめ

今回は、知念実希人さんの小説『硝子の塔の殺人』のあらすじと感想を紹介してきました。

「謎解き」「トリック」「頭脳派名探偵の活躍」という本格ミステリーの要素を散りばめながら、これまでの本格ミステリーとは一味違う展開が楽しめる小説です。

読み始めると、序盤から惹き込まれ、中盤から終盤にかけては、謎解きのしょぼさにショックを受けますが、それがラストの仕掛けへと繋がっていく構成に驚かされること間違いなしのミステリーです。

気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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