ゾンビと人間が殺人トリックを創る!/今村昌弘『屍人荘の殺人』感想

おすすめ小説

ゾンビものはお好きですか?

私はあまり好きではありませんが、『屍人荘の殺人』は、最後まで一気に読みました。

ゾンビと人間が創り出した殺人トリックの真相が知りたくて、ページをめくる手が止まらなくなったからです。

スポンサーリンク

『屍人荘の殺人』のおすすめポイントとあらすじ

おすすめ度:3.7

  • ゾンビものの要素を取り入れながら描かれた殺人事件に引き込まれる
  • ゾンビと人間が創り出した殺人トリックが面白い
  • 犯人を暴く必要はないという視点が新しい
あらすじ
部員が二人しかいない神紅しんこう大学のミステリ愛好会に所属する葉村ゆずるは、部長の明智恭介が何度も参加の交渉をして断られた映画研究会の夏合宿に参加することになりました。探偵少女の剣崎比留子ひるこが口添えをしてくれたからですが、別荘に着いた初日の夜に肝試しをしていると、近くで開催されていた野外ロックフェスの観客がゾンビとなって襲いかかってきます。しかも、夜が明けると、別荘に逃げ込んだ映画研究会の部員の一人が殺されており…。

『屍人荘の殺人』の感想

ミステリをこよなく愛する大学生2人が、探偵少女と共に参加した映画研究会の夏合宿で、ゾンビの襲撃と殺人事件に巻き込まれるミステリです。

野外ロックフェスの観客たちがゾンビとなって襲いかかってくる「ゾンビもの」の要素を取り入れながら、昨年の夏合宿が原因で自殺した部員の敵討ちとしての殺人事件が描かれているのが新しく、物語に一気に引き込まれました。

また、特定の人物を脅すようなメモを残したり、コーヒーに睡眠薬を混入したりと、人間にしか出来ないことと、身体を喰いちぎるなど、ゾンビによる殺害痕が同時に存在する殺人トリックが面白く、事件の真相が知りたくて、ページをめくる手が止まらなくなりました。

さらに、探偵の剣崎比留子が、危険で奇怪な事件に引き寄せられる「呪い」にも似た体質なので、正義感で謎解きをしているわけではなく、生き延びるために仕方なく探偵をしていると言い、犯人がわかっても、これ以上事件が起きないなら真相を明かす必要はないと言い切るのが新しく、驚かされました。

ゾンビと人間が創り出した殺人トリックの真相に迫るミステリに興味がある方におすすめの小説です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました