人生の良し悪しを決めるのは自分!/青山美智子『月の立つ林で』感想

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人生は思うようには進みません。

だからこそ、誰もが悩み苦しんでいるわけですが、『月の立つ林で』を読んで、自分次第でどうにでもなるのかもしれないと思いました。

起きた出来事は変えられませんが、捉え方を変えるだけで、人生は大きく変わるように思えてきました。

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『月の立つ林で』のおすすめポイントとあらすじ

おすすめ度:3.8

  • 登場人物たちが抱える悩みに共感できる
  • 自分もまわりの人たちも楽しくなるような行動をとりたくなる
  • ラストは感動で涙がこぼれ落ちそうになる
あらすじ
41歳まで看護師として働いてきた朔ヶ崎さくがさき玲花は、ある出来事があり、仕事を辞めました。実家暮らしをしていたので、生活には困りませんでしたが、まわりからは恵まれていると思われていたので辛くなり、早く仕事を見つけたいと思っていました。そんなとき、隣に住む樋口夫妻から猫を預かって欲しいと言われます。弟の佑樹が約束をしたのに、連絡がつかないので、代わりに世話をして欲しいと言うのです。玲花は、納得できないものの預かったところ…。

『月の立つ林で』の感想

人生は、本当に思い通りには進みません。

『月の立つ林で』に登場する人たちも、思い通りにはいかない現実に苦しんでいました。

たとえば、あらすじで紹介した看護師の朔ヶ崎玲花は、夜勤や超勤がしんどくなってきただけでなく、指導する部下も増え、上司からも圧力をかけられていたので、プレッシャーで身も心もくたくたになっていました。

それでも、看護師長になるために踏ん張ってきましたが、玲花ではなく別の同期が看護師長に選ばれます。

こうして、想像とは大きく異なる道を歩むことになった玲花は、看護師を辞め、他の道に進もうとしますが、思い通りにはいきませんでした。

これまで真面目にやってきたのに、なぜ自分だけがこんな目に遭わなければいけないんだ!と自暴自棄になった玲花でしたが、そんな姉の姿をみた弟の佑樹から、「姉ちゃんが勝手に自分を窮屈にしているんだろう?好きなことをしたらいいじゃないか」と言われます。

この言葉にハッとした玲花は、どのような状況になっても、好きな行動がとれるはずなのに、いつの間にかまわりの期待に応えようと自分で自分を雁字搦めにしてきたことに気づきました。

一方で、ハンドメイド作家として活躍していた北島睦子むつこは、落ち着いた場所で作品作りに没頭したいと考え、夫の承諾をもらってアパートを借り、一人で仕事をしていました。

家よりもアパートにいることが多くなり、自由に仕事をしていましたが、夫がハンドメイドに関心を持っていないことに、また凄いことをしているのに、それよりも身体の心配をされることに苛立っていました。

しかし、ある出来事があり、とても恵まれた環境にいることに、また、才能よりもまわりの人たちと豊かな関係を築くことの方が大切だと気づきます。

起きたことが良い悪いと判断するのではなく、起きたことが自分にとっても、まわりの人たちにとっても良いことになるように、願い、信じ、行動することが大切だと気づいたのです。

とはいえ、私もそうですが、玲花や睦子のように、起きた出来事に対して、いちいち良い悪いを判断して、気づけばまわりに振り回されています。

しかし、これではいつまで経っても、自分の人生を生きることなんてできません。

だからこそ、『月の立つ林で』に登場する人たちが気づいたように、どんな出来事が起きても、自分もまわりの人たちも少しでも楽しくなるように願い、信じて、行動していこうと思いました。

さまざまな悩みに直面している人たちが、自分と誰かの幸せを願って行動することで、人生が大きく変わっていく物語に興味がある方におすすめの小説です。

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