人の印象って何で決めていますか?
私はできるだけ相手の内面をみようとしていますが、実際はかなり外見に影響されています。
しかし、『カケラ』を読んで、やっぱりそれではダメだと気づかされました。
『カケラ』のおすすめポイントとあらすじ
おすすめ度:
『カケラ』の感想
今も昔も個性を発揮したければ、強くなくてはいけません。
誰に何を言われても、「自分はこうだ!」と言える信念のようなものが必要です。
とはいえ、信念を持っている人は少なく、また最近では、人と比べないで欲しいという風潮もあり、相手の個性に気づくことが難しくなっているように思います。
そこで簡単に個性を手に入れたいと思う人たちがやりがちなのが、「バカなことをやる」、もしくは「整形で個性を与えてもらう」という方法です。
前者は、回転寿司でしょうゆのボトルを舐めたり、自分よりも弱いと思う人を威嚇したり、無理にでも人と違うことを主張したりして、周りとは違う自分をアピールしますが、それを個性とは言いません。
多くの人が「バカだなー」「ああはなりたくないなー」と思うことをやって、「人がやらないことができる俺はすごい!」と勘違いしているだけです。
一方の後者は、やり方によっては相当の効果があります。
『人は見た目が9割』という本もあるほど、見た目の効果は絶大です。
『カケラ』の主人公は、驚くほど美人なので、人を傷つけるような言葉を口にしても許されてきました。
一方、容姿が悪かったり、太ったりしているだけで、バカにされたり、いじめられたりした過去を持つ人たちは、大人になっても、その傷が癒えず、いつまで経っても卑屈さが抜けません。
それなら、整形して外見を良くし、作り物でも個性を手に入れた方が良い人生が過ごせるように思えてきます。
そもそも、人と広く浅く付き合うことが当たり前になった今の時代では、内面をみることは難しく、外見に大きな影響を受けています。
外見にあまり影響されないSNSのつながりもありますが、大半の人たちはバカなことをやって個性を手に入れようとしていたり、見たくもないネガティブな発言ばかりしているので、嫌いになる一方です。
それでも、外見だけで判断していると、思わぬ落とし穴に落ちてしまいます。
太っている人を見て食べ過ぎだと思ったり、禿げている人を見て性欲が強すぎると思ったり、ブサイクな人を見て不幸だと思ったりするのは、思い込みに過ぎないのです。
『カケラ』では、そうした勝手な思い込みが、心が張り裂けそうな悲劇につながる物語が描かれていたので、これからは意識して内面をみるようにしようと思いました。
美人な美容整形外科医が、外見にこだわる人たちの証言から、太った少女が自殺した本当の理由に迫る物語に興味がある方におすすめの小説です。
コメント