医療をテーマにした物語はお好きですか?
私は大好きなので、南杏子さんの小説はすべて読もうと思っています。
心揺さぶられる感動の物語が楽しめるだけでなく、過剰な要求をするモンスターペイシェントや、「死にたい!楽にさせてくれ!」と安楽死を求める患者、今後ますます増えていく認知症患者など、身近な問題について考えるきっかけになるからです。
今回は、南杏子さんの小説【全7冊】の読む順番と、おすすめの3冊を紹介します。
南杏子さんのおすすめ小説【3冊】をランキング形式でご紹介
では早速、南杏子さんの小説の中から、特におすすめの3冊をランキング形式で紹介します。
第1位 いのちの停車場
おすすめ度:
「命を救う」ために救急医療に従事してきた主人公が、訪問診療医となり、「命を送る」ために奮闘する物語です。
不摂生が原因で糖尿病が極限まで悪化した男性や、薬を間引いて飲む女性、同居している娘夫婦と一切口をきかずに家庭内独居の状態にある女性など、医療行為だけでなく、生活や介護についても考える必要に迫られる訪問診療医の姿に驚かされました。
また、脳梗塞による後遺症で、少しの接触や振動でも強い痛みを感じるようになった父が、「死にたい」「楽にさせてくれ」と、繰り返し咲和子に迫る姿に、心がかき乱されました。
第2位 ヴァイタル・サイン
おすすめ度:
看護師として10年のキャリアを積んできた主人公が、激務に追われ、悩みながらも、看護師として働く意義を見出していく物語です。
通常業務に加えて、昼食の配膳や食事介助、入浴介助に、夜間のナースコール対応など、業務の異常な多さに驚かされるだけでなく、認知症患者から怒鳴られたり、叩かれたり、セクハラまがいの行為をされるなど、想像を超える過酷な労働環境に衝撃を受けました。
それでも、患者のためを思って行動する看護師たちの姿に頭が下がり、目の前の仕事を頑張ろうと励まされました。
第3位 サイレント・ブレス 看取りのカルテ
おすすめ度:
大学病院から在宅診療医へと転身を迫られた主人公が、秘密を抱える患者たちと向き合い、彼らが望む治療を実現するために、奮闘する物語です。
多くの医師たちにとって、患者の病を治すことは最重要であり、死は負けだと捉えられがちですが、「死は負けではなく、安らかに看取れないことが敗北だ」という指摘に、終末医療のあり方について考えさせられました。
必要以上に延命治療をして、自分も家族も疲弊するよりも、安らかな死に方を選びたいと心から思えました。
南杏子さんの小説【全7冊】の読む順番をご紹介
続いて、南杏子さんの小説【全7冊】の読む順番を(=発売日順に)紹介します。
1. サイレント・ブレス 看取りのカルテ
おすすめランキング第3位の小説です。
2. ディア・ペイシェント 絆のカルテ
おすすめ度:
過剰なサービスを要求する患者と、利益を優先する病院に振り回されて、疲弊していく医師たちの姿に心が痛む物語です。
病院が倒産したときに困るのは、経営者ではなく、やっとの思いで通院している高齢の患者たちで、そのことを知っている医師たちが、ぼろぼろになりながらも奮闘する姿に心が動かされました。
一方で、モンスターペイシェントは、医療の未来を閉ざすだけでなく、本人を含む多くの人たちを不幸に陥れる存在だということに気づかされました。
3. 希望のステージ
おすすめ度:
ある事情で都落ちした主人公が、ピアノの発表会に参加したいという白血病の少年や、自分の足で立ってスピーチしたいという歩行困難な女性社長など、命懸けでステージに立とうとする患者たちを全力でサポートする物語です。
人生最後まで自分らしく生きるために、命懸けでステージに立とうとする人たちの思いに心が動かされ、彼らを必死になってサポートする主人公の姿に、涙がこぼれ落ちそうになりました。
また、医師が発する言葉には、想像以上に重い責任がのしかかっていることに驚き、患者を励ます難しさが痛いほど伝わってきました。
4. いのちの停車場
おすすめランキング第1位の小説です。
5. ブラックウェルに憧れて
おすすめ度:
医学部不正入試問題をきっかけに明らかになった医療業界の女性差別を、5人の女性医師たちの視点を通して浮き彫りにしていく物語です。
女性というだけで見下されたり、教授と寝れば人事も思い通りになるとバカにされたり、脳のつくりが違うから男性よりも劣っていると根拠のない説で非難されたりと、男性医師たちが当然のように女性差別をする姿に怒りが湧きました。
そうした泣き出したくなるような理不尽に直面しても、負けずに、自分の目指す道をひたすら歩もうとする女性医師たちの姿に心が動かされました。
6. ヴァイタル・サイン
おすすめランキング第2位の小説です。
7. アルツ村
おすすめ度:
夜逃げをした主人公が、たどり着いた山奥の村に身を隠しながら、認知症患者ばかりが暮らす、その村に隠された秘密に迫る物語です。
認知症患者だとしても、老人ホームに入るのは難しく、家族が自宅で介護をするなんて不可能な現実に衝撃を受けましたが、その皺寄せを若者に押し付け、彼らの未来ある人生を犠牲にして生きながらえる老人たちの姿に、心がかき乱されました。
一方で、認知症になっても、患者自身が自由と尊厳を持って暮らしていける可能性があるという示唆に、希望がもてました。
まとめ
今回は、南杏子さんの小説【全7冊】の読む順番と、特におすすめの3冊をランキング形式で紹介しました。
心が揺さぶられるだけでなく、身近な問題について考えるきっかけにもなる小説ばかりなので、未読のものがあれば、この機会にぜひ読んでください。
コメント