どんでん返しが楽しめるミステリーはお好きですか?
私は大好きなのでよく読んでいますが、相沢沙呼さんの小説『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は、どんでん返しがあるとわかっていたのに驚かされました。
ラスト80ページほどで、次々と伏線が回収されていくので、ページをめくる手が止まらなくなったんですよね。
推理作家と霊媒師が協力して殺人事件を解決するミステリー
『逆転裁判』シリーズをご存知ですか?
弁護士の成歩堂龍一が、師匠の妹で、霊媒師でもある綾里真宵と協力しながら、犯人を追い詰める法廷バトルゲームです。
このゲームでは、言い逃れをしようとする犯人に「矛盾した証言」や「証拠品」を突きつけて、罪を認めさようと追い込んでいく過程が楽しめますが、真宵ちゃんの霊媒が事件を解く鍵になっています。
今回紹介する小説『medium 霊媒探偵城塚翡翠』も、設定としてはよく似ています。
香月史郎という推理作家が、霊媒師である城塚翡翠の証言を元に、論理的に殺人犯を追い詰めるミステリーが楽しめます。
全四話で構成されており、たとえば、第一話『泣き女の殺人』では、香月の大学時代の後輩である倉持結花が、占い師に「女の人の霊があなたを見て泣いている」と言われたため、対処してもらうために、霊媒師である城塚翡翠を紹介してもらいました。
しかし、結花は、霊媒に怪しげな印象を持っており、一人で行って騙されるのが怖かったので、香月について来てもらいます。
こうして彼らは翡翠と出会い、目の前で霊媒の能力を目の当たりにしました。
翡翠は、彼らの職業を言い当てたり、直接触れていないのに、まるで触れているかのような感覚を味わわせたりします。
それだけでなく、結花が何者かに殺害されると、香月の目の前で彼女の霊を呼び寄せて犯人につながる手がかりを伝えました。
とはいえ、霊媒での証言には何の証拠能力もありません。
そこで、翡翠が霊媒をして手に入れた情報をもとに、推理作家である香月が論理的に犯人を特定していくんですよね。
『逆転裁判』シリーズと同じように、ちょっとしたオカルト要素と論理的な推理の組み合わせが楽しめるミステリーです。
ラストはどんでん返しが楽しめる
ここまで紹介してきたように、翡翠と香月が霊媒と論理を組み合わせて殺人事件に挑むわけですが、最終話『VSエリミネーター』では、関東地方を騒がせている連続死体遺棄事件の犯人に挑みます。
犯人は、すでに八人もの女性を殺害していましたが、一切の証拠を残しておらず、捜査は難航を極めていました。
そこで、翡翠がとった作戦は…。という物語が描かれているのですが、ラストはまんまと騙されました。
これまで積み上げられてきた論理を根本的に覆す「どんでん返し」が用意されていたので、ページをめくる手が止まらなくなったんですよね。
これ以上はネタバレになるので書きませんが、「どんでん返し」が好きで、伏線が次々と回収されていくミステリーが好きな方におすすめの小説です。
ぜひ、騙されないように挑戦してみてください。
私は引き続き、本書の続編である『invert 城塚翡翠倒叙集』を読もうと思います。
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