ウィルスの恐怖に屈するな!/知念実希人『機械仕掛けの太陽』感想

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デマに踊らされていませんか?

もちろん、最新の科学でも全てが明らかになっているわけではありませんが、『機械仕掛けの太陽』に登場する根拠のないデマに踊らされる人たちの姿をみて、悲しくなりました。

陰謀論を信じてしまうと、自分だけでなく、周りにまで多大な迷惑をかけてしまからです。

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『機械仕掛けの太陽』のおすすめポイントとあらすじ

おすすめ度:4.3

  • 新型コロナウィルスの恐怖が伝わってくる
  • 陰謀論に踊らされる人たちの滑稽さがわかる
  • 未知のウィルスに立ち向かう医師や看護師たちの姿に感動する
あらすじ
呼吸内科医の椎名あずさは、ワクチンや治療薬もないのに、病院が新型コロナウィルス感染者を受け入れると聞いて、戸惑いました。高齢の母と気管支喘息の息子と共に暮らしていたので、感染したときのリスクが高かったからです。一方、梓と同じ病院の救急部で看護師をしているはざま瑠璃子るりこは、父や婚約者から見下されていたので、コロナ病棟に入り、尊厳を取り戻そうと考えます。さらに、町医者の長峰邦昭は、70代にも関わらず、現場に立つことを決意し…。

『機械仕掛けの太陽』の感想

SNSで反ワクの人たちを見ていても、どうしてそこまでワクチンを否定することに情熱を注げるのか理解できませんでした。

科学的な根拠を無視して、反ワクの情報をかき集め、鵜呑みにし、ワクチンを推奨する医師たちを攻撃する理由が全くわかりませんでした。

しかし、『機械仕掛けの太陽』を読んで、彼らを突き動かしているのは恐怖ではないか?と思えてきました。

『機械仕掛けの太陽』に登場する医師や看護師たちは、その道のプロですが、そんな彼らでさえ、新型コロナウィルスの恐怖に怯えていました。

新型コロナウィルスに感染したときの肺炎の症状の酷さも理由のひとつですが、何よりも恐ろしいのは、発症前に大量のウィルスを排出するところです。

毒性の高いインフルエンザに罹れば、動けなくなるので、あまり広まりませんが、新型コロナウィルスは、発症前に排出するので、一気に広まります。

つまり、誰もが死の危機に晒されているのです。

だからこそ、医師や看護師たちは、新型コロナウィルスと戦うための武器、ワクチンの開発を心から望んでいたわけですが、なぜかSNSでは非科学的な理由でワクチンを否定する人たちが溢れました。

その理由のひとつは、新型コロナウィルスの恐怖と向き合いたくないからだと思います。

「新型コロナウィルスは普通の風邪と同じだ」と心から信じることができれば、恐怖する必要がなくなるからです。

とはいえ、同じ交通事故でも、かすり傷で済むケースもあれば、死に至るケースもあるように、罹ってみないと重症化するかどうかはわかりません。

そんな危険な確率に身を任せてしまうほど恐怖し、新型コロナウィルスと向き合うことをやめたのです。

もちろん、未知のコロナワクチンに対する恐怖もあると思います。

誰もが未知のものには恐怖を抱きますが、その恐怖と向き合いたくないからです。

だからこそ、これまで別の用途で使われてきたイベルメクチンなどの「実績」があるものを処方すれば治るというデマに踊らされて、安心したくなるのです。

他にも、これまでとは違う生活に嫌気が差し、いち早くもとの生活に戻りたいという思いで反ワクをしている人もいるでしょうし、マスコミや一部の著名人のように、反ワクの情報を流し、煽ることで、ビジネスとして金儲けをしている人たちもいます。

ロシアのように自国のワクチンを買わせるために、あえて欧米のワクチンを否定した国さえあります。

このように、『機械仕掛けの太陽』を読めば、恐怖を煽って儲けようとする人たちと、その扇動に踊らされる人たちの心理が手に取るようにわかります。

もちろん、現在の科学で全てが解明できるわけではありませんが、『機械仕掛けの太陽』に登場する医師や看護師たちのように、恐怖と向き合い、科学的根拠を持って、最善の道を選び続ける人生を歩みたいと思いました。

新型コロナウィルスの誕生から、オミクロン株が発生するまでの医師や看護師たちの命がけの行動に感動する物語に興味がある方におすすめの小説です。

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