どんでん返しがあるミステリーはお好きですか?
私は驚かされるのが大好きなので、どんでん返しがあると聞くと、できるだけ読むようにしていますが、
知念実希人さんの小説『仮面病棟』は、事前にある程度予想できる結末でしたが、それでも騙される楽しさが味わえました。
それだけでなく、医療問題についても描かれていたので、いろいろ考えさせられたんですよね。
おすすめ度:
こんな人におすすめ
- 散りばめられた謎とその回収に夢中になれる物語が好きな人
- どんでん返しがある物語を読みたい人
- 医療ミステリーが好きな人
- 知念実希人さんの小説が好きな人
あらすじ:病院の籠城事件に巻き込まれた外科医の物語
物語の主人公は外科医の速水秀吾。
彼は、療養型病院である田所病院で、週に一度の当直バイトをしていましたが、
担当の日でもないのに、このバイトを紹介してくれた先輩医師から当直を代わってくれと頼まれます。
速水は仕方なくそのバイトを引き受けましたが、運の悪いことに、ピエロの仮面を被ったコンビニ強盗犯が押しかけてきました。
それだけでなく、その強盗犯は、人質として連れてきた女性の手術をしろと言い出します。
コンビニ強盗でヘマをして銃で撃ってしまったその女性を、殺人犯になりたくないので何があっても助けろと言うのです。
こうして速水は、田所病院で手術をすることなりましたが、なぜか手術室には療法型病院には相応しくない最新設備が揃っていました。
それだけでなく、院長の田所は警察への通報を妨げるような行動ばかりとります。
また、二人の看護師も何かを隠しているように見えました。
その理由は…。というミステリーが楽しめる小説です。
感想①:籠城事件の謎に迫るミステリー
あらすじでも紹介したように、この物語はコンビニ強盗犯が田所病院に立て篭もる籠城事件が描かれているのですが、
ピエロの仮面を被った強盗犯だけでなく、田所院長や看護師たちも怪しく思えてきます。
田所院長が全員のスマホを取り上げたり、内線電話の回線を切ったり、
入院している患者に会わそうとしなかったりと、不自然な行動ばかりとっていたからです。
そんな田所の姿をみた速水は、強盗犯に撃たれた女性・川崎愛美と協力して、彼らが隠している謎を解き明かそうとします。
その結果、ある入院患者に新しい手術痕があり、しかも誰かが傷口を縫った糸を意図的に切って殴った形跡があることが明らかになったり、
その男性のカルテを調べると、
<三階 神崎浩一 山本真之介 新宿11 明石洋子
四階 池袋8 川崎13 南康生
調べろ>
というメモが見つかったりしました。
このように、次々と気になる謎が提示されるので、ページをめくる手が止まらなくなるんですよね。
籠城事件で次々と気になる謎が提示される物語といえば、伊坂幸太郎さんの小説『ホワイトラビット』が思い浮かびますが、

この物語でも、それと同じくらいのドキドキ感を味わうことができました。
感想②:無駄な医療行為で金を稼いでいる医者がいる?
田所病院は、療養型病院だと紹介しましたが、寝たきりで、身寄りのない患者を集めて治療していました。
好意的に考えると入院先が見つからない患者に救いの手を差し伸べているとも言えますが、
速水は別の見方をしていました。
何があっても家族からクレームが入らないので、過剰診療をしても問題がない「おいしい患者」として扱っていると考えていたのです。
意識のない患者に点滴で栄養を与えたり、透析を繰り返したり、熱が出れば抗生剤を打つなどして医療費を稼いでいると考えていたんですよね。
海堂尊さんの小説『チーム・バチスタの栄光』は、解剖の代わりにCTやMRI解析の導入が必須だと訴えかける物語でしたが、

この物語では、多くの医療費がムダに使われている可能性を示唆しているように思えます。
感想③:ラストでどんでん返しが味わえる
さて、この物語では、ラストにどんでん返しが用意されています。
ある程度、結末を予想できる構成になっていますが、それでも騙される楽しさが味わえました。
東野圭吾さんの小説『ゲームの名は誘拐』でも、ラストでどんでん返しが楽しめましたが、
こういった物語は、読んでいて爽快な気分になれるので、病みつきになります。
それだけでなく、終わり方もよく似ていたので、『ゲームの名は誘拐』を読み返したくなりました。
まとめ
今回は、知念実希人さんの小説『仮面病棟』のあらすじと感想を紹介してきました。
坂口健太郎さんが主演で映画化もされている面白い物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。
コメント