心が揺さぶられる物語はお好きですか?
私は大好きなので、町田そのこさんの小説はすべて読んでいます。
育児放棄や虐待、いじめなど、心がかき乱されるような痛みをともなう物語にも引き込まれますが、悩み苦しむ人たちが、ほんの少し救われていく展開に、感動で涙がこぼれ落ちそうになるからです。
今回は、町田そのこさんの小説【全8冊】と、特におすすめの3冊を紹介します。
町田そのこさんの小説の中から【特におすすめの3冊】をご紹介
では早速、町田そのこさんの小説の中から、特におすすめの3冊をランキング形式で紹介します。
第1位 星を掬う
おすすめ度:
元夫のDVに悩む主人公が、幼い頃に捨てられた母と再会し、互いに傷つけ合いながらも、生きる意義を見出していく物語です。
今の荒んだ生活は、幼い頃に捨てられた母に原因があると考えていた主人公が、男性恐怖症になった女性や、義母に娘を奪われた女性たちと共に暮らしていくことで、誰かの悪意を引きずって自分の人生をおろそかにしてはいけないことに気づき、変わっていく姿に、心が揺さぶられました。
また、母が娘を捨てた理由と、命をかけて娘を守ろうとする姿に感動し、涙がとまらなくなりました。
第2位 52ヘルツのクジラたち
おすすめ度:
虐待する人たちから逃げ出してきた主人公が、過去の自分と同じように虐待に苦しむ少年と出会い、救い出そうとする物語です。
殴られたり、蹴られたりするのは当たり前で、食事も1日1食で、ふりかけをかけた茶碗一杯の白飯をトイレで食べるように強要されるなど、想像を絶する虐待を受ける子どもたちの姿に心が痛みました。
それでも、心の叫び声はいつか誰かに届き、救ってくれる人が現れるかもしれないと思える展開に、感動で涙が止まらなくなりました。
第3位 ぎょらん
おすすめ度:
身近な人の死に悩み苦しむ6人の主人公たちが、死者の思いを知るために、ぎょらんを口にしようとする物語です。
どの短編も、生と死について考えさせられる展開に引き込まれましたが、それだけでなく、母に漫画を捨てられただけで腹を立てて暴れるような典型的なニートの御舟朱鷺が、葬儀屋の仕事を通して、人と関わりながら、少しずつ成長していく姿に、心が揺さぶられました。
特に、引きこもっても、暴れても、朱鷺のことを信じ抜く母の姿に心が動かされ、「人は痛みを乗り越えるほど優しくなれる」というメッセージに感動で涙が止まらなくなりました。
町田そのこさんの小説【全8冊】を発売順にご紹介
続いて、町田そのこさんの小説【全8冊】を発売順に紹介します。あらすじと感想、おすすめ度も参考にしてください。
1. 夜空に泳ぐチョコレートグラミー
おすすめ度:
自分ではどうすることもできない生きづらさを抱えている人たちが、恋愛を通して、なんとかこの世界を泳いでいこうとする短編集です。
おばあちゃん子で、いじめられていた晴子が、突然孵化して高慢な同級生の心を折る物語や、女装する芙美のもとに、惚れていた女性がきて、妊娠したので面倒を見て欲しいと言い出す物語など、生きづらさを抱えながらも、前を向いて生きていこうとする人たちの姿に心が動かされました。
また、どの短編もラストは大胆な仕掛けに驚かされるだけでなく、「流れに負けそうになっても、この世界をなんとか泳いでいけるよ」というメッセージに励まされました。
2. ぎょらん
おすすめランキング第3位の小説です。
3. うつくしが丘の不幸の家
おすすめ度:
うつくしが丘にある「不幸の家」と呼ばれる一軒家で暮らす5つの家族が、自分なりの幸せを見つけていく短編集です。
遅れて反抗期になった高校生の息子と、浮気をする夫に悩まされる主婦の物語や、不妊治療がうまくいかず、妻の身体がこれ以上ボロボロになるのを見てられないと離婚届を渡す夫の物語など、不幸な境遇にいる人たちが、悩み苦しむ姿に心が痛みました。
一方で、「幸せは人から貰ったり汚されたりするものじゃないわよ。自分で作り上げたものを壊すのも汚すのも、自分にしかできないの。他人に左右されて駄目にしちゃうなんてもったいないわ」といった言葉が心に突き刺さり、自分なりの幸せを見つけていく家族の姿に感動しました。
4. 52ヘルツのクジラたち
おすすめランキング第2位の小説です。
5. コンビニ兄弟
おすすめ度:
美容院で働く青年の手があかぎれているのを見ると、「頑張っていたのは、この手をみればわかるよ」と言って、あかぎれを指先で優しくなでるようなフェロモン出しまくりの店長が、さまざまな人たちの悩みを解決する手助けをしていく物語です。
志波はただチャラチャラしているだけでなく、コンビニが入っているマンションに住む老人たちの体調が気になって、休日も自主的に働いたり、珈琲を少しでも美味しくするために、豆を一人で選別したりと、とにかく超真面目です。
そんな超真面目な志波と、超個性的な常連客たちが、コンビニに訪れる客たちの見えない本音に気づき、彼らの悩みに寄り添うことで、前向きに行動しようと変わっていく客たちの姿に心が動かされました。
6. 星を掬う
おすすめランキング第1位の小説です。
7. コンビニ兄弟2
おすすめ度:
自分の痛みには敏感なのに、人の痛みには無関心な3人の主人公が、フェロモンを出しまくりの志波三彦が店長のコンビニで、個性豊かな人たちと出会い、変わっていく物語です。
本当の個性とは、たとえ外見が変わったとしても、埋没しない芯のようなもので、そうした魅力を身につけるには、周りから言われたことを受け入れて流されるのではなく、きちんと自分の頭で考えて悩み、迷う必要があることに気づかされました。
また、たとえ酷いことをしたとしても、後悔と反省をして、二度とやらないようにすることが大人になるということであり、そうした後悔と反省をした人たちに対して、一緒に乗り越えていこうと寄り添う心優しい人たちの姿に、涙がこぼれ落ちそうになりました。
8. 宙ごはん
おすすめ度:
育児を放棄して自分勝手に振る舞う母・花野と暮すことになった宙が、料理人の佐伯泰弘に助けられながら成長していく物語です。
子どもよりも、自分が愛されて守られることに夢中になる花野に怒りが込み上げてきますが、宙が傷つく姿を見て、少しずつ変わっていく展開に心が動かされました。
また、家族から受けた呪いとも言うべき「思い込み」の恐ろしさに驚く一方で、思いがこもった料理など、人の優しさに触れて、少しずつ呪いから解放されていく人たちの姿に涙が止まらなくなりました。
まとめ
今回は、町田そのこさんの小説【全8冊】と、特におすすめの3冊を紹介しました。
心がかき乱されるような痛みをともなう物語に引き込まれるだけでなく、悩み苦しむ人たちが、ほんの少し救われていく展開に、感動で涙がこぼれ落ちそうになる小説ばかりなので、未読のものがあれば、この機会にぜひ読んでください。
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