古内一絵『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』感想/人柄と心のこもった料理に心温まる物語

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美味しい料理を食べていますか?

私は妻のおかげで食べられていますが、古内一絵さんの小説『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』を読んで、心のこもった料理は身も心も癒してくれるものだとわかり、感謝の気持ちが湧いてきました。

それだけでなく、店主・シャールのドラァグクイーン(女装をした男性)としての覚悟を決めた生き方に触発されて、ありのままの自分で生きていこうと思えたんですよね。

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『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』の情報

タイトル マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ 
著者 古内一絵
おすすめ度 4.5
ジャンル ヒューマンドラマ
出版 中央公論新社 (2015/11/21)
ページ数 265ページ (単行本)
「マカン・マランシリーズ」の1作目です。

おすすめ度の理由

  • 心のこもったシャールの料理を食べてみたくなる
  • ドラァグクイーンとして覚悟をもって生きるシャールの姿に惹き込まれる
  • 他人の目を気にしないで自分らしく生きようと思える
  • 物語に入り込むのに少し時間がかかる

『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』のあらすじ

バランスのとれた食事を摂っていますか?

仕事が忙しいと、どうしても偏食になりがちですが、そのせいで身体に負担がかかり、体調がさらに悪くなるという負のサイクルがまわってしまいます。

大手広告代理店で働く城之崎塔子も、仕事が忙しく、しかも早期退職者の対象ということもあり、身も心も疲れ果てていました。

そのせいで、会社帰りに貧血で倒れますが、ドラァグクイーンに助けられます。

彼女(彼?)は、シャールと名乗り、インドネシア語で夜食を意味する「マカン・マラン」という自らが経営するお店で塔子を休ませました。

そして、塔子が陰性の貧血持ちであることを見抜き、春野菜のキャセロールを提供します。

以前、夜遅くにファミレスでパスタを食べて、もどした経験がある塔子は、穏やかな味わいの料理ならどんなに疲れ切っていても喜んで受けつけるのだと驚き、「マカン・マラン」の常連になりました。

さらに、シャールに身の上相談をするようになった塔子は、彼女の温かい言葉に励まされ…。という心温まる物語が楽しめる小説です。

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『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』の感想

明らかに偏見ですが、女装をしている男性、ドラァグクイーンが店主と聞くと、お店に入るのを躊躇しませんか?

しかし、シャールの人柄を知れば知るほど、そんな偏見を抱いていた自分が恥ずかしくなりました。

彼女の魅力にどんどん惹かれていったからです。

この小説では、全部で4つの物語が描かれていますが、どの物語でも、シャールは悩める人たちに心のこもった食事を提供し、温かい言葉をかけます。

そんな彼女の言葉をきっかけに悩みを乗り越えていく人たちの姿が描かれているのですが、彼女の言葉が心に突き刺さるのは、これまで数知れない苦労を乗り越えてきたからだと思います。

たとえば、シャールの苦労を知った中学生が、ドラァグクイーンだけでも大変なのに、病気になるなんて不公平だと言うと、

この世の中に、何から何まで自由な人なんていない。誰だって自分の荷物は自分で背負わなくてはいけないのよ。

と返します。

ドラァグクイーンとして世間から批判的な目で見られても、自分で選んだ道だからと、覚悟を決めて生きる彼女の想いが伝わってきます。

また、これまで他人の言いなりになってきたので、自分は空っぽだと凹んでいたライターには、

最初からなにもかも揃ってる人生なんて、面白くないじゃない。あたしはどう足掻いたって、本当の女性にはなれないけれど、だからって、自分の人生を降りたいとは思わないわ。

と厳しくも温かい言葉をかけるんですよね。

たとえ思い通りにいかなかったとしても、自分の人生を生き切ろうとするシャールの決意に心が動かされます。

そんなシャールの姿を通して、他人の目なんて気にしないで、自分らしく生きようと思える物語でした。

まとめ

今回は、古内一絵さんの小説『マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ』のあらすじと感想を紹介してきました。

シャールの人柄と心のこもった料理に心温まる物語です。

気になった方はぜひ読んでみてください。

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