男性の欲望とは何かわかりますか?
もちろん、複数の女性と関係を持つことです。
江戸城に大奥があったのも、一夫多妻制を認めている国があるのも、星の数ほど風俗店があるのも、多くの男性が複数の女性と関係を持ちたいという願望を抱いているからです。
そんな男性の欲望を丸裸にしたのが、東野圭吾さんの小説『恋のゴンドラ』。
複数の女性と関係を持ちたいと願っている男性にとって、妻や彼女には読んで欲しくない一冊です。
おすすめ度:
こんな人におすすめ
- 男性の欲望が丸裸にされる物語に興味がある人
- ミステリー要素のある恋愛小説を読んでみたい人
- 短編集に見せかけた長編に興味がある人
- 東野圭吾さんの小説が好きな人
あらすじ:婚約した女性がいるのに浮気をする会社員の物語
物語の主人公は、結婚を約束をした美雪と同棲中の広太。
彼は美雪に押し切られる形で婚約したものの、まだまだ遊びたいと思っていました。
そんなとき、誘われた合コンで好みの女性・桃実と出会います。
広太は、懸命にアプローチをして、桃実とゲレンデデートの約束をこぎつけ、泊まりで旅行に行けることになりましたが…。
里沢温泉スキー場について、ゴンドラに乗ると、なぜか婚約相手の美雪が乗ってきたのです。
公太は、ゴーグルで顔は隠せていたので、喋らずに何とかやり過ごそうとしますが、美雪は、女友達と「浮気をする男性は許せない」などと話し始めました。
まるで公太が同じゴンドラに乗っていることを知っているかのように…。
公太はこのピンチを乗り越えられるのか!?という物語が楽しめる小説です。
感想①:7つの短編が1つの長編として繋がっていく
この小説は、先ほどあらすじで紹介した物語を含めて、7つの短編で構成されていますが、
物語の舞台や登場人物は同じで、フォーカスされる人物だけが変わっていきます。
つまり、短編集に見せかけた長編なんですよね。
たとえば、『リフト』では、あるホテルで働く同僚5人組の恋愛模様が描かれていきますが、
そこに登場する日田が、次の短編『プロポーズ大作戦』で、公太と美雪と関係していきます。
さらには、公太の浮気相手だった桃実とも関係していくことに…。
伊坂幸太郎さんの小説『アイネクライネナハトムジーク』でも、異なる短編がつながっていく楽しさが味わえましたが、

こういった物語を読むと、物語同士のつながりがわかったときに、難しい問題が解けたような快感が味わえるので、一気読みしてしまいます。
感想②:ミステリーと恋愛要素が楽しめる
恋愛小説といえば、感動をテーマにした物語が多いように思います。
たとえば、有川浩さんの小説『植物図鑑』。
この物語では、主人公の女性がイケメンで家事全般が得意な男性と恋に落ち、ある出来事がきっかけで会えない日が続くけれど…。
というように、まるで少女漫画のような恋愛模様が描かれているので、感動した人も多いと思います。

しかし、『恋のゴンドラ』では感動する要素はまったくありません。
むしろ、これまでの東野圭吾さんの小説のように、どんでん返しが味わえる物語なんですよね。
恋愛とミステリーが掛け合わされた物語なので、恋愛小説が苦手な方にもおすすめの物語です。
感想③:男性の恋愛戦略が丸裸に!?
さて、この物語では男性の恋愛戦略を丸裸にしていきます。
公太のようなモテる男性は結婚を先延ばしにして、出来るだけ多くの女性と関係を持とうとする一方で、
モテない日田のような男性は、浮気はしません(できません)が、女性と見れば手当たり次第に告白していきます。
もちろん、この2つの戦略は極端に描かれていますが、大きく捉えると、男性はこのどちらかの戦略をとっている人が多いように思うんですよね。
三上延さんの小説『ビブリア古書堂の事件手帖』で描かれているような偶然から発展していく恋愛が出来れば理想的なのでしょうが、
合コンや出会い系で男性と知り合いになろうとしている女性は、この2つの戦略を頭に入れておくと、必要以上に騙されたり、傷つかずに済むかもしれません。
まとめ
今回は、東野圭吾さんの小説『恋のゴンドラ』のあらすじと感想を紹介してきました。
男性の欲望が丸裸にされる恋愛ミステリーが楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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