青山美智子『お探し物は図書室まで』感想/世界は信用でまわっている

おすすめ小説

失敗したからって何なのだ?失敗から学びを得て、また挑戦すればいいじゃないか。

とは、ウォルト・ディズニーの言葉ですが、私たちは誰もが失敗して傷つきたくないと思っています。

だからこそ、思い通りにいかない人生に悩み苦しんでいるわけですが、青山美智子さんの小説『お探し物は図書室まで』を読んで、たとえ思い通りにいかなくても、それさえも楽しんで生きていこうと思えました。

それだけでなく、世界は信用でまわっていることが感動と共に伝わってきたので、これまで以上に人との関係を大切にしたくなりました。

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『お探し物は図書室まで』の情報

タイトル お探し物は図書室まで 
著者 青山美智子 
おすすめ度 5.0 
ジャンル ヒューマンドラマ 
出版 ポプラ社 (2020/11/11) 
ページ数 300ページ (単行本) 
2021年本屋大賞 第2位の小説です。
青山美智子さんの6作目の小説です。

おすすめポイント

  • 意外なきっかけで人生が好転していく人たちの物語に惹き込まれる
  • 誰もが自分で壁を作っていることがわかる
  • 今までよりも人との関係を大切にしたくなる

『お探し物は図書室まで』のあらすじ

仕事、子育て、老後。

様々な悩みを抱えた5人の主人公たちが、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室で、まるでベイマックスのような白くて大きな司書・小町さんから「何をお探し?」と問いかけられます。

彼らは本を探しにきたはずだったのに、気づけば、なぜか不愛想な小町さんに、誰にも言えなかった本音や願望を話していました。

こうして彼らの悩みを聞いた小町さんは、一風変わった選書をし、さらにおまけと言って、羊毛フェルトでつくった小物を渡します。

しかし、この「変わった選書」と「羊毛フェルトの小物」がきっかけとなって…。

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『お探し物は図書室まで』の感想

意外なきっかけで人生が好転していく人たちの物語に惹き込まれる

人生が好転した人たちには、驚くようなきっかけがあったに違いない…と思っていませんか?

私はそう思っていました。宝くじに当選するとか、スカウトされるなど、驚くようなきっかけがあったからこそ、人生が好転したのではないかと思っていました。

しかし、何度も起業に失敗してどん底生活を送っていた林修先生が、予備校講師のアルバイトをはじめた結果、今ではタレントとして活躍している姿をみると、驚くようなきっかけなんてないのではないかと思えてきます。

『お探し物は図書室まで』に登場する5人の主人公たちも、ほんの少しのきっかけで、人生が好転していきました。

たとえば、総合スーパーで婦人服の販売員をしている朋香は、責任逃れをする上司と、年上のたくましいパートのおばさんたちに囲まれて、身も心も疲れ果てていました。

だからこそ、転職したいと思っていたのですが、同じ総合スーパーで働く4つ上の桐山くんから、転職したいのなら、エクセルくらい使えた方がいいよと言われ、家の近くにあるコミュニティハウスを紹介されます。

朋香は、早速、パソコン教室に申し込み、その帰りにおすすめされた本を借りに図書室に寄ったところ、小町さゆりさんというベイマックスのような司書から、エクセル本の他に絵本『ぐりとぐら』を勧められました。

さらに、おまけだと言ってフライパンの形をした羊毛フェルトをもらいます。

この「ぐりとぐら」と「フライパンの羊毛フェルト」という意外な組み合わせがきっかけとなって、人生が好転していく姿が描かれていたので、他の主人公はどのような組み合わせで人生が好転していくのだろう…と気になって一気読みしてしまいました。

それだけでなく、ほんの少しのきっかけで人生は好転するのだと励まされました。

誰もが自分で壁を作っている

では、なぜほんの少しのきっかけで主人公たちの人生は好転していったのでしょうか?

それは自分で作っていた壁を壊せたからだと思います。

たとえば、家具メーカーの経理部で働く浦瀬諒は、アンティークショップをいつか開きたいと思っていましたが、踏み出せずにいました。

10歳下で、アクセサリーを作っている恋人の比奈とも、「いつか一緒に店をやりたいね」と言いあっていましたが、仲良くなった比奈の両親からは安定を期待されており、また経営に手を出して失敗したらどうしようと不安に思っていたからです。

ところが、サラリーマンをしながら、猫カフェを経営している人と知り合い、パラレルキャリアという選択肢があることを知ります。

もしかしたら、今の仕事をしながら、アンティークショップを経営できるかもしれないと、自ら作っていた壁にひびが入るんですよね。

もちろん、ほんの少しのきっかけで全てが簡単に好転していくわけではありませんが、思い込みをなくせば、人生は好転していくかもしれないと希望がもてる物語でした。

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世界は信用でまわっている

では、どうすれば思い込みはなくせるのでしょうか?

私たちは、どれだけ努力をしても、思い通りにいかないことに囲まれて生きています。

しかし、その一方で、思いもつかないような嬉しいサプライズに出会えることもあります。

結果的に希望通りにならなくて助かった…という経験がある人も多いでしょう。

そのため、計画や予定が狂うことを、不運だ失敗だと思わずに、そうやって自分も人生も変わっていくのだと思えば、思い込みがなくせると思いませんか?

林修先生のように、予備校講師のアルバイトがきっかけでタレントの道が開けたりするなど、何が起きるかわからない世の中で、今の自分にできることをやるしかないのです。

目の前の仕事で誰かを幸せにするのだと決意し、具体的にみえていなくても、その誰かのために行動すれば、その思いはきっと伝わり、やりたいことを後押ししてくれる人が必ず現れます。

つまり、思い通りにいかない世界で、自分のやりたいことを実現するには、人からの信用を得て、協力してもらうしかないのです。

…と、言葉にしてしまうと心に響かなくなりますが、『お探し物は図書室まで』は、世界は信用でまわっていることが感動と共に伝わってくる物語だったので、これまで以上に人との関係を大切にしたくなりました。

まとめ

今回は、青山美智子さんの小説『お探し物は図書室まで』のあらすじと感想を紹介してきました。

様々な悩みを抱える主人公たちが、「変わった選書」と「羊毛フェルトの小物」という意外な組み合わせがきっかけとなって、人生が好転していく姿に驚き、感動する物語です。

また、思い通りにいかない世界で、自分のやりたいことを実現するには、人からの信用を得て、協力してもらうしかないことがわかり、これまで以上に人との関係を大切にしたくなりました。

気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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