つらい現実から目を背けていませんか?
もちろん、目を背けたくなる気持ちはわかりますが、『さいはての家』を読んで、つらい現実と向き合わないと、まっしぐらに不幸に突き進んでしまうことがわかりました。
逃げたり、引き返したりする方がよっぽどよくて、目を背け続けていると、いつまで経ってもつらい現実を変えることができないからです。
『さいはての家』のおすすめポイントとあらすじ
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『さいはての家』の感想
つらい現実に直面したとき、多くの人は目を背けがちです。
『さいはての家』に登場する人たちも、つらい現実から目を背けて生きていました。
たとえば、あらすじで紹介した野田と夜逃げをした私は、彼が働かずに、一日中家でゴロゴロしていても、まったく怒りませんでした。
キャバクラで3ヶ月分の給料を踏み倒されたときも、飲み屋でビルのオーナーが勝手にレジからお金を抜いたときも、義父が退院後も仕送りを要求してきたときも、怒ったことがありませんでした。
なぜなら、理不尽な出来事にまともに向き合うと、手に負えないほど深い穴へ落ちるような気がしていたからです。
しかし、野田と二人で暮らすようになり、読書の習慣がついてからは、嬉しいとか、悲しいとか、自分が何を感じているのか、少しずつわかるようになっていきます。
こうして、野田にいいように利用されていることに怒りを覚えた私は…。
という物語が5編楽しめたので、ページをめくる手が止まらなくなりましたが、理不尽な目に遭っているときこそ、その出来事から目を背けるのではなく、向き合うことが大切だとわかりました。
もちろん、理不尽な出来事から逃げたり、引き返したりしても問題ありません。
何も考えずに、流されて、つらい現実を維持し続けるのが問題なのです。
自分が感じたことを大切にしないで、周囲の正しさに感覚を合わせて思考停止になったり、幻想を信じたり、引きこもったり、与えられた役割を演じたりしていれば、まっしぐらに不幸に突き進んでしまいます。
誰よりも自分は自分の味方でいるべきなのです。
私も周囲に流されがちなところがあるので、『さいはての家』に登場する人たちを反面教師として、自分が感じたことを大切にし、自分らしく生きていこうと思いました。
人生に行き詰まった人たちが、自分の心の奥底と向き合い、新たな一歩を踏み出すまでを描いた物語に興味がある方におすすめの小説です。
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