未来は政治家や著名人など、一部の人たちの言動で決まると思っていませんか?
もちろん、そういった部分もありますが、東野圭吾さんの小説『ラプラスの魔女』を読んで、私たち一人ひとりの行動で決まるのだと改めて気づかされました。
だからこそ、少しでも望ましい未来に近づくように、日々行動していこうと思える物語でした。
『ラプラスの魔女』のおすすめポイントとあらすじ
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『ラプラスの魔女』の感想
未来を完全に予測することはできません。
量子力学により、粒子の存在は確率的であることが示されたため、どれだけ物理現象を正確にとらえることができても、未来を完全に予測することはできないのです。
だからこそ、天気予報でさえ外れることが多々あるのですが、『ラプラスの魔女』の主人公・羽原円華のように、未来を正確に予測できたとしたら、世界はどのように見えるのでしょうか。
円華は、人の歩く姿を見て腰が悪いことを言い当てたり、紙飛行機や風船を思いのままに操ったり、雨が降ったり止んだりするタイミングを言い当てたりできました。
しかし、出来ることといえば、その程度です。
なぜなら、私たち人間は各々が意志を持って動いているからです。
『ラプラスの魔女』では、人間は誰しも自分にとって楽な方法、得な方法を選ぶので、個人個人は自由な意志で動いているつもりでも、人間社会という集合体として見た場合には、その挙動を物理法則に当てはめて予測することができると書かれています。
たとえば、縁日の行列で、向こうに行く流れと、こちらに来る流れが、自然とできるのもそのひとつだと言います。
とはいえ、縁日でも流れに逆らって歩く人は一定数おり、また形勢が決まっていると思っていた出来事でも、誰かの言動がきっかけで、逆転することは多々あります。
つまり、未来は私たち一人ひとりの行動で確率的に決まるのです。
政治家や著名人など、一部の人たちの言動に流されることもありますが、私たち自身で選び取ることができるのです。
だからこそ、円華のように正確な未来が予測できなくても、少しでも自分が望む世界に近づくように、日々行動することが大切だと痛感させられる物語でした。
未来を予測できる少女と、温泉地で起きた事故の真相に迫る物語に興味がある方におすすめの小説です。
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