辛い過去から目を背けるな!/東野圭吾『魔力の胎動』感想

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問題から目を背けていませんか?

特にその問題が辛い過去と結びついていれば、目を背けたくもなりますが、東野圭吾さんの小説『魔力の胎動』を読んで、それではダメだと気づかされました。

辛い過去から目を背けても、何ひとつ解決しないからです。

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『魔力の胎動』のおすすめポイントとあらすじ

おすすめ度:3.8

  • 『ラプラスの魔女』の前日譚が楽しめる
  • さまざまな問題を抱える人たちを後押しする主人公の姿に心が動かされる
  • 問題から目を背けるのはやめて、向き合おうと励まされる
あらすじ
スキージャンパーの坂屋幸広は、5年前に右膝を痛め、鍼灸師である工藤ナユタのもとに通っていました。しかし、全く成績が伸びず、流体工学の研究を行なっている北陵大学の准教授・筒井利之にフォームの解析を依頼します。その後、結果を確認しよう集まったところ、別件で筒井を訪ねてきた羽原うはら円華まどかが、上体の突っ込みが早く、バランスが崩れていると指摘しました。坂屋は引退を決意しますが、円華は子どもに寂しい思いをさせてはダメだと言って…。

『魔力の胎動』の感想

問題と向き合うには勇気が必要です。

だからこそ、多くの人が問題から目を背けて諦めたり、自暴自棄になったりしがちなのですが、『魔力の胎動』の主人公・羽原円華は違いました。

問題から目を背けている人たちに、特別な能力を駆使して問題と向き合わせます。

たとえば、ナックルボールが突然受けられなくなったキャッチャーには、円華が目の前でナックルボールを受けて奮起させたり、息子が川に流されて植物状態になったことを悔いる父親には、川に人形を放り込んで、たとえ川に飛び込んだとしても助からなかったことを示します。

このように、円華が彼らに問題と向き合うように後押ししたのは、特別な能力を持っていたからではなく、少しでも未来を良くしたいという確固たる信念を持っていたからでした。

円華の母は、彼女の目の前で竜巻に巻き込まれて亡くなりました。

だからこそ、竜巻の原理を解明し、同様の事故で悲しみ苦しむ人たちを減らすために、ナックルボールを通して乱流を理解しようとするなど、真剣に竜巻と向き合います。

つまり、円華自身も辛い過去と向き合っていたからこそ、過去に縛られている人たちを解放しようと、後押ししていたのです。

辛いからと言って問題から、過去から目を背けていては、いつまで経っても、望ましい未来はやってきません。

私を含めて多くの人たちは問題から目を背けがちですが、それではダメだ、一歩前に進んでみようと後押ししてくれる、心が揺さぶられる物語でした。

特別な能力を駆使して、過去に縛られている人たちを解放していく少女の物語に興味がある方におすすめの小説です。

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