瀬尾まいこ『その扉をたたく音』感想/誰かの心に届く作品をつくるには自分の心を磨く必要がある

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誰かの心に届く作品をつくっていますか?

私は仕事でもブログでもそういった作品をつくる必要がありますが、瀬尾まいこさんの小説『その扉をたたく音』を読んで反省しました。

ボンクラな主人公と同じように、自分に酔っていたかもしれない…と気づいたからです。

おすすめ度:3.5

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こんな人におすすめ

  • ボンクラな主人公が成長してく物語が好きな人
  • 後半に盛り上がる物語が好きな人
  • 瀬尾まいこさんの小説が好きな人

作品の簡単な紹介

今回は、瀬尾まいこさんの小説『その扉をたたく音』を紹介します。

もし生まれ変われるとしたら、「お金持ちの家に生まれて、一生遊んで暮らしたい!」と思っていませんか。

私もそんな夢を持っていたことがありますが、この小説ではその夢がぶち壊されます。

なぜなら、お金持ちの家に生まれた主人公が、30歳を目前にして、幼稚園児のような思考回路をしていたからです。

もちろん、お金持ちの家に生まれた子供が全員ボンクラだとは言いませんが、

甘やかされて育ち、何かに本気で取り組んだ経験がないまま大人になると、悲惨な状態になることがわかる物語なんですよね。

ちなみに、物語の前半は淡々と進んでいくので少し退屈な感じがしますが、後半は盛り上がるので、期待して読み進めてください。

あらすじ:ボンクラな主人公が神に出会う物語

物語の主人公は、30歳を目前に控えた宮路。

彼は老人ホーム「そよかぜ荘」にボランティアとしてギターの弾き語りをしにきましたが、誰も真剣に聞いてくれませんでした。

そこで早めに演奏を終わらせたところ、介護士の渡部君が余った時間にサックスを吹きます。

宮路は彼のサックスに衝撃を受け、一緒にバンドを組もうと誘いますが、まったく相手にされませんでした。

それでも何度もそよかぜ荘に通って勧誘したところ…。

という物語が楽しめる小説です。

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感想①:働かなくても暮らしていけるのに羨ましくない主人公

あらすじでも紹介したように、宮路は30歳を目前にしても働きもせず、ギターの弾き語りをしていました。

ミュージシャンを目指してはいましたが、演奏でお金をもらえたことはありません。

それだけでなく、アルバイトをしようと面接を受けても、ことごとく落ちていました。

こうして宮路は、大学を卒業してからの7年間を無職で過ごしてきたわけですが、

それでも不自由なく暮らしていけたのは、お金持ちの両親から毎月20万円が振り込まれていたからでした。

とはいえ、彼自身も自分の不甲斐なさをわかっていながらも、30歳までは…と自分に言い聞かせて音楽に逃げていたんですよね。

額賀澪さんの小説『転職の魔王様』では、他人に認められるために働くと、いいようにこき使われて捨てられてしまうことがわかる物語が描かれていましたが、

額賀澪『転職の魔王様』感想/承認欲求のためではなく自分らしく生きるために仕事がしたくなる物語
誰かに認められたいと思って仕事をしていませんか? 私も周りから認められたいと思って仕事をしていた時期がありますが、 額賀澪さんの小説『転職の魔王様』を読んで、そうした働き方をしていると、いいようにこき使われて捨てられてしまうこと...

この小説では、何の努力もせずに他人に頼ってばかりいると、ボンクラになることがわかる物語が描かれていました。

感想②:自分の世界に閉じこもると良い作品はつくれない

とはいえ、宮路がボンクラになったのは、小学生の頃に同級生からお金をせびられるようになったことがきっかけでした。

彼は小学生の頃に同級生と駄菓子屋に通っていましたが、いつも何も買わない子がいたので、こっそりお金を渡しました。

ところが、次の日には、お金を渡したことがクラス中に広まっており、多くの同級生からお金をせびられるようになります。

こうして、宮路は同級生からパシリとして扱われるようになり、それが嫌でお金持ちということを隠して目立たないように行動するようになったわけですが、

これが原因で人と接する機会が減り、自分の世界に閉じこもって、自分に酔ってギターを弾く今に至るんですよね。

ボランティアや路上で歌う素人が奏でる音は、どこか自分に酔っています。音楽を鳴らしている自分が好きで、音楽の中にいる自分に寄り添っています。

彼もそんな演奏をしていたので、誰の心にも届かなかったわけです。

柚木麻子さんの小説『ランチのアッコちゃん』では、人とつながることで元気になっていく主人公の物語が描かれていましたが、

柚木麻子『ランチのアッコちゃん』感想/人とのつながりが元気の源!?
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この小説では、自分の世界に閉じこもっている限り、誰かの心に届く作品は生み出せないことがわかる物語が描かれていました。

感想③:良い人と出会えれば変わっていける

さて、この小説では、「たとえボンクラなまま大人になっても、良い人と出会えれば変わっていける」をテーマに描かれているように思います。

宮路にとっての良い人とは、介護士の渡部君と老人ホームで暮らす人たちでした。

特に、渡部君は仕事もしないでブラブラしている彼に現実を突きつけます。

たとえば、仲良くなった老人がボケたとき、宮路はショックを受けますが、そんな彼に渡部君は、

ぼくたちが生きているのは現実の世界です。誰も死なない、病気にならない、そんなおとぎ話の中を生きているわけじゃないです。

と言います。

演奏についても、彼自身が感動したり、うっとりするためではなく、曲をきちんと伝えることが目的だと言い、

宮路さんが気持ちよくなりたいなら、カラオケボックスにでも行ってください。

と厳しい現実を突きつけるんですよね。

さらに、あるお婆さんがきっかけとなって、宮路は渡部君の音が澄んでいるのは、たくさん人と交わって、自分の内面にある濁りや汚れが削られてきたからだと気づきます。

こうして現実を知った宮路は…。

東野圭吾さんの小説『ナミヤ雑貨店の奇跡』では、良い出会いがあれば人生は好転していくことがわかる物語が描かれていましたが、

東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇跡』は良い出会いがあれば人生は好転していくことがわかる物語
出会いに恵まれていますか? 私はこれまで周りの人たちに何度も助けられてきましたが、 東野圭吾さんの小説『ナミヤ雑貨店の奇跡』を読んで、改めて良い出会いがあれば人生はプラスに変わっていくことがわかりました。 どのような状況で...

この小説でも、良い人と出会えれば、何歳になっても変わっていけることがわかる物語が描かれていたので、励まされました。

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まとめ

今回は、瀬尾まいこさんの小説『その扉をたたく音』のあらすじと感想を紹介してきました。

誰かの心に届く作品を生み出すには、自分の心を磨く必要があることがわかる物語が楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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