強大な力を手に入れたらどう使いますか?
私は自分のために使うと思いますが、漫画『いぬやしき』の主人公は違いました。
弱い人や困っている人たちのために、その力を使うんですよね。
そのため、年老いたサラリーマンが主人公なのに、カッコよく見えてくる不思議な物語です。
おすすめ度:
こんな人におすすめ
- 年老いたサラリーマンが主人公の物語を読んでみたい人
- 機械の体を手に入れた主人公たちの戦いに興味がある人
- マスコミやネットの住人たちの悪意を客観視したい人
- 善と悪がハッキリ描かれた物語が好きな人
あらすじ:家族からも他人からも見下される一家の大黒柱の物語
ここからは漫画『いぬやしき』の1巻から10巻(完結)のあらすじと感想を紹介していきます。
物語の主人公は、妻と二人の子供がいる58歳の犬屋敷壱郎(いぬやしき いちろう)。
彼は家族からも他人からも見下されていました。
たとえば、犬屋敷は、妻と二人の子供を養うためにサラリーマンとして働き、何年もかけてお金を貯め、一軒家を購入しましたが、家族からは「ちっさ」と言われます。
それだけでなく、荷ほどきをするのは彼ひとりで、妻と子供たちは彼をおいてファミレスへご飯を食べに出かけました。
他にも、彼が牛丼屋でご飯を食べていると、息子の友人から「何が楽しくて生きてんだろうな。家族とかいないのかな?」とバカにされます。
そんな犬屋敷が健康診断の再検査に行ったところ、「胃がん」だと宣告されました。
ところが、このことを告げようと家族に電話をしても、誰ひとり電話に出てくれません。
そこで犬屋敷は、ひとり公園で泣いていたのですが…。
そこに宇宙船が墜落してきたんですよね。しかも、その事故を隠蔽しようとした宇宙人のおかげで彼は機械の体を手に入れました。
ここから犬屋敷の新たな人生、人助けの人生が始まる…という物語が楽しめます。
犬屋敷とは正反対の機械化したもう一人の主人公
先ほど紹介したように、犬屋敷は公園で一人泣いていたときに、宇宙船が墜落してきて機械の体を手に入れましたが、
このとき、偶然同じ場所にいた高校生の獅子神皓(ししがみ ひろ)も、犬屋敷と同じように機械の体を手に入れました。
ところが、獅子神は犬屋敷とは反対に人を殺すことで「生きていること」を実感します。
カラスを撃ち殺したり、交通事故を引き起こしたり、適当な家に入って無差別殺人をするなど、攻撃的に振る舞いました。
とはいえ、彼には友人思いな面もあり、親友である安堂を虐めていた人間を次々と殺していきます。
しかし、安堂からは「平気で人を殺す人間は無理だ」と突き放されました。
さらに安堂は、獅子神の恐ろしさに気づき、犬屋敷を呼び出して、彼と協力して獅子神の暴走を止める決意をするんですよね。
こうして獅子神と犬屋敷の戦いが始まります。
悪者は獅子神だけではない!?
ここまで漫画『いぬやしき』は、犬屋敷と獅子神の戦いを描いた物語だと紹介してきましたが、
この戦いをより一層深刻化する動きをかける人たちがいました。
それは、この事件を面白おかしく扱うマスコミとネットの住人たちです。
特にネットの住人たちは、獅子神の家の住所を特定して晒したり、獅子神の親を自殺に追い込んだり、
獅子神をバカにしたり…と獅子神を煽るような発言を繰り返しました。
そんなマスコミやネットの住人たちに腹を立てた獅子神は、次々と彼らを殺していくのですが、ある意味では殺されて当然だと思えてきます。
もちろん、殺人を繰り返す獅子神に問題があるのは当然ですが、
無責任に盛り上がって人を傷つけるマスコミやネットの住人たちにも問題があることに改めて気づかせてくれる物語でした。
まとめ
今回は、ある日突然、強大な力を手に入れたらどう使う?がテーマの漫画『いぬやしき』について紹介してきました。
犬屋敷と獅子神は正反対の行動を取りますが、どちらの考えにも共感できる面白い物語です。
「自分ならどうするかな?」と考えながら読むと、さらに面白くなるかもしれません。
最後まで目が離せない物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。
ちなみに、全10巻で完結済みです。
あわせて読みたい

コメント