無心で取り組める好きなことがありますか?
私にとっては読書がそれにあたりますが、『藍色ちくちく 魔女の菱刺し工房』を読んで、好きなことが人生を支えてくれるのだと気づきました。
悩みがあると、どうしても心がかき乱されますが、無心で取り組める好きなことがあれば、落ち着いて自分と向き合うことができるからです。
『藍色ちくちく 魔女の菱刺し工房』のおすすめポイントとあらすじ
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あらすじ
青森県立三津高校2年の武田綾は、進路が決まっていませんでした。クラブ活動もしておらず、家に帰ってSNSを眺める毎日を過ごしていました。しかし、ある日。学校帰りに突然雨が降ってきたので、近くの公民館に寄ったところ、この地域に伝わる南部菱刺しの素晴らしさを目の当たりにします。まるで魔法みたいと思って眺めていると、豊川より子さんが刺したものだと、職員が教えてくれました。これがきっかけで、綾は菱刺し工房に通うようになり…。
『藍色ちくちく 魔女の菱刺し工房』の感想
さまざまな悩みを抱える人たちが、南部菱刺しという伝統工芸を通して、前向きに人生を歩んでいく物語です。
将来何がしたいのかわからない高校生や、結婚を目前に控えた女性、認知症になった親との距離感に悩む女性など、さまざまな悩みを抱える人たちが、豊川より子さんが運営する菱刺し工房に通い、前向きに変わっていく展開に引き込まれました。
また、青森県南の太平洋側に伝わる「南部菱刺し」という、布に糸を刺してカラフルな模様を縫い上げていく伝統工芸にも興味が持て、Googleで検索した写真をいくつか見ていると、その魅力に引き込まれ、実物を見てみたくなりました。
さらに、無心で取り組める何かを持っていると、イライラや苦痛や悩みなどに感情を乗っ取られることなく、自分自身で心を管理し、平穏な状態を保ち、自分が自分として存在していられることがわかり、好きなことが自分を支えてくれるのだと気づかされました。
さまざまな悩みを抱える人たちが、南部菱刺しを通して自分と向き合い、前向きに変わっていく物語に興味がある方におすすめの小説です。
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