好きなことしかやらない人に腹を立てていませんか?
私もまわりにそういう人がいれば腹を立てていましたが、宇佐見りんさんの小説『推し、燃ゆ』を読んで、好きなこと以外はやりたくてもできない人がいるという事実に衝撃を受けました。
まわりを見る目が変わる物語でした。
『推し、燃ゆ』のおすすめポイントとあらすじ
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『推し、燃ゆ』の感想
誰もが何らかの生きづらい現実に立ち向かう必要があります。
逃げ出したくなるような問題にぶつかっても、やるべきことを整理し、ひとつひとつ潰していくしかありません。
しかし、『推し、燃ゆ』の主人公・山下あかりは違いました。
高校を留年しそうになっても、アルバイトをクビになっても、就職活動がうまくいかなくても、すべてを推しに捧げて、まったく問題と向き合おうとしませんでした。
あかりの姉が勉強に打ち込んでいるように、全身全霊で推しに打ち込んでいました。
家族のこんな姿を目の当たりにすれば、「ふざけるな!」と怒鳴りたくもなりますが、本人はいたって真面目です。
幼い頃から、どれだけ必死になっても、漢字や九九が覚えられず、今でも、大切なことを覚えようとしてもすぐに忘れていましたが、なぜか推しのことだけは覚えていられたからです。
部屋の片づけはできなくても、推しの写真は整理でき、大切な約束は忘れても、推しが出演するメディアは欠かさず見ることが出来ました。
このように、やる気次第で普段の生活も人並みに出来るように思えるからこそ、まわりも怒りを覚えるのですが、『推し、燃ゆ』を読んで、そうはいかないのだとわかり、驚きました。
発達障害といってもいろいろな症状があると思いますが、自分にとって興味があることしかできない人がいるという事実に衝撃を受け、普通に生きることが、どれほど難しいことなのか伝わってきたので、心が痛みました。
好きなことしか出来ない人たちの本質に触れられる物語に興味がある方におすすめの小説です。
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