死刑制度は必要だと思いますか?
私は絶対に必要だと思っていましたが、『虚ろな十字架』を読んで、少し考えが変わりました。
犯人を死刑にしたところで、誰も救われないことがわかったからです。
『虚ろな十字架』のおすすめポイントとあらすじ
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『虚ろな十字架』の感想
死刑制度をめぐる過去と現在の殺人事件を描いたミステリです。
娘を強盗犯に殺された浜岡小夜子が、その11年後に、たまたま金目当ての犯行で殺される展開に、過去と現在の事件のつながりが気になってページをめくる手が止まらなくなりました。
一方で、娘を失った中原夫妻が、犯人の死刑が確定してからも、心の傷が癒えることはなく、お互いの顔を見ていると幸せだった頃を思い出して辛くなるといって別れ、その後も苦しみ続ける姿に心が痛みました。
さらに、犯人は、死刑を運命として受け入れ、最後まで人を殺したことを反省しなかったという事実に、死刑制度は本当に必要なのか?と考えさせられました。
死刑制度について考えさせられる、心がかき乱されるミステリに興味がある方におすすめの小説です。
『虚ろな十字架』を読んで考えたこと
死刑制度は必要だと思いますか?
私は絶対に必要だと思っていましたが、『虚ろな十字架』を読んで、少し考えが変わりました。
犯人が死刑になっても、遺族の心の傷が癒えることはなく、犯人もまったく反省しないまま最期を迎えることがわかったからです。
とはいえ、犯人が死刑にならなければ、遺族の心の傷は、より一層深いものになります。
大切な人を殺され、想像を絶するような心の傷を受けたのに、犯人は何の痛みも感じずに、のうのうと日々を過ごしているからです。
実際、受刑者の50%程度は、5年以内に再び犯罪に手を染めて、刑務所に戻るそうです。
刑務所でどれだけ過ごしたところで、更生することなどないのです。
これでは、何のための罰なのかわかりません。
そもそも、日本は罪に対して罰が甘すぎるのかもしれません。
誹謗中傷をして裁判で負けても、まったく反省せずに、むしろ煽るように謝罪文を晒して、誹謗中傷を繰り返す人さえいます。
そのため、他人の痛みがわかるような罰を与えるべきなのかもしれません。
たとえば、殺人犯には、戦地で救援活動をさせたり、遺族に対して大金を支払うといった、人生をかけて償う罰を与えるべきなのかもしれません。
もちろん、そうした罰を与えたところで、遺族の心の傷が癒えるわけではありませんが、犯人がのうのうと生きていないことがわかれば、少しは痛みが和らぐかもしれません。
犯人も罰を通して他人の痛みに目を向けることができれば、少しは自分の犯した罪の重さに気づき、反省できるかもしれません。
とはいえ、罪を重くするだけで解決できるほど単純な問題ではないと思うので、引き続き考えていきたいと思います。
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