法律を逆手にとる人たちに恐怖する!/織守きょうや『黒野葉月は鳥籠で眠らない』感想

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法律さえ守っていれば、何をしても大丈夫だと思っていませんか?

もちろん、日本は法治国家なので、法律を守っていれば罪に問われませんが、『黒野葉月は鳥籠で眠らない』を読んで、法律さえ守っていれば何をしてもいいのか…というと、そうとは言えないのではないかと思えてきました。

誰に何と言われようと、他の何を失おうと、誰を傷つけようとも、目的を成し遂げていく人たちの姿に、恐怖を覚えたからです。

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『黒野葉月は鳥籠で眠らない』のおすすめポイントとあらすじ

おすすめ度:3.4

  • 目的を成し遂げるために、なりふり構わず行動する人たちに恐怖を覚える
  • 法律は使い方によってどうにでもなることがわかる
  • ラストのどんでん返しに驚かされる
あらすじ
弁護士2年目の木村龍一は、大学生の皆瀬理人りひとを弁護することになりました。容疑は児童法違反で、理人は家庭教師をしていた女子高生・黒野葉月に淫行をしたことを認めますが、どこか他人事で、非協力的でした。そればかりか、木村が葉月の両親に会い、不起訴での示談に持ち込めるように話をつけてきたにも関わらず、「葉月と二度と会わないという約束は守れない」と言い出します。しかし、葉月が木村に直接会いに来て、ある事実を語ったことで…。

『黒野葉月は鳥籠で眠らない』の感想

日本は法治国家なので、法律を守っていれば、基本的に何をしても罪に問われません。

『黒野葉月は鳥籠で眠らない』では、その法律を逆手にとって、目的を成し遂げていく4人の物語が描かれています。

たとえば、あらすじで紹介した物語では、淫行の容疑で逮捕された大学生・皆瀬理人ではなく、被害者である黒野葉月が積極的にアプローチしていたことがわかります。

しかし、葉月の両親がその現場をみて、娘に理人を近づけたくないという理由で、訴えたのです。

それでも、葉月が未成年で、理人が成人しているというだけで、理人が罪に問われることになります。

同意していても、積極的なアプローチを拒否しきれなくても、罪に問われるのです。

成人側が嘘をついて、「同意していた」「積極的にアプローチされた」と主張して言い逃れできないようするためだと思いますが、それでも理不尽だと思います。

痴漢の冤罪などもそうですが、法律を逆手にとれば、誰かの人生を遊び感覚で潰すことさえできるのです。

このように、法律は完璧ではないことがわかりますが、葉月はその法律を逆手にとって、理人が罪に問われずに、彼を手に入れる方法を探し出します。

その方法とは…。

という物語が4編楽しめたので、ページをめくる手が止まらなくなりましたが、いくつかの物語では、誰に何と言われようと、他の何を失おうと、誰を傷つけようとも、目的のために行動し続ける人たちの姿が描かれていたので、恐ろしくなりました。

法律さえ守っていれば、何をしても罪に問われないからです。

だからと言って、私刑をするわけにはいきませんが、少年法であれ、何であれ、悪用する人たちをどうにかして罰せられる仕組みが作れたら…と強く思いました。

目的を成し遂げるためには、法律を逆手に取るなど、なりふり構わず行動する人たちを描いた、ラストにどんでん返しが楽しめる物語に興味がある方におすすめの小説です。

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