瀬尾まいこ『幸福な食卓』感想/一度壊れた家族関係を修復するのは難しい

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家族と楽しく過ごしていますか?

私は今は楽しく過ごせていますが、瀬尾まいこさんの小説『幸福な食卓』を読んで、家族関係をよくするのは簡単なことではないと改めて思いました。

一度壊れてしまった家族関係を修復するのは、相当な出来事がないと無理だとわかる物語です。

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『幸福な食卓』の情報

タイトル 幸福な食卓 
著者 瀬尾まいこ
おすすめ度 3.5
ジャンル ヒューマンドラマ
出版 講談社 (2007/6/15)
ページ数 288ページ (文庫本)
第26回吉川英治文学新人賞を受賞した作品です。
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おすすめ度の理由

  • 家族の誰もが本当の気持ちを隠して過ごす姿に心が痛む
  • 家族が再生していく姿に心が動かされる
  • ラストは感動で涙がこぼれ落ちそうになる
  • あまりにも不幸が続くので読むのがつらくなる

『幸福な食卓』のあらすじ

物語は、父さんが「今日で父さんを辞めようと思う」と言い出すところから始まります。

中原家では、家族そろって朝ご飯を食べることが決まりでしたが、ややこしいのは重大な決心や悩みをこの時に告白することでした。

先ほどの「父さんを辞める」だけでなく、母さんは一人暮らしを始めるといって一年前に家を出ていき、兄のなおちゃんは近所でも評判の天才児でしたが、大学に進学しないと言い出し、今では青葉の会という無農薬野菜を作る農業団体で働いています。

このように誰もが自由にのびのびと生きているように思える家族でしたが、実は5年前のある事件をきっかけに誰もが本当の気持ちを心の奥底に隠して生きていました。

そのきっかけとは、梅雨の時期に父さんが風呂場で自殺未遂をしたことでした。

その日から母さんは風呂場を必要以上にピカピカに磨くようになり、直ちゃんは何に対しても真剣にならなくなり、妹の佐和子は梅雨になると胃が痛むようになります。

また、父さんも救急車を呼んで助けてくれた佐和子に必要以上に気を遣うようになりました。

こうして、お互いが腫れ物に触れるかのように接するようになった中原家でしたが、佐和子が付き合うようになった彼氏がきっかけで…。という物語が楽しめる小説です。

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『幸福な食卓』の感想

家族はどうあるべきだと思いますか?

中原家では、とくに目立った問題はありませんでしたが、突然、父さんが自殺を図りました。

その理由は詳しく書かれていませんが、悩みを相談できる関係ではなく、一人で抱え込んでしまったからだと思います。

とはいえ、悩みを抱えていたのは、父さんだけではありませんでした。

母さんにも、直ちゃんにも、佐和子にも悩みはありました。特に直ちゃんは、勉強も、スポーツも、すぐに他人よりも上手くできるようになったので、何に対しても真剣になれないことを悩んでいました。

こうして家族の誰もが息苦しさを抱えながら、なんとか生きていたわけですが、その均衡が父さんの自殺未遂をきっかけに崩れてしまうんですよね。

父さんは必要以上に気を使うようになり、母さんはうつ病のような症状が出るようになり、直ちゃんは真剣になれないことを開き直って、彼女に振られてばかりいます。

佐和子も、梅雨の時期が来るたびに胃が痛くなり、学校に行くのもつらくなるほどでした。

このように、誰もが一人で悩みを抱えている状態では、家族関係をよくするのは簡単ではないことがわかります。

しかし、そんな中原家に対してある悲劇が起こったことで、家族がお互いのことを思いやるようになり、再生していく姿が描かれていきます。

こういった家族が再生していく姿をみると、たとえどのような状況になっても、家族が協力して問題に取り組めば、関係は修復できるのだと励まされますが、その一方で、協力するような大きな問題が起きなければ、修復するのは難しいとわかる物語でもありました。

物語全体を通してみると、あまりにも不幸が続くので読むのがつらくなるところもありますが、ラストは感動できる小説です。

まとめ

今回は、瀬尾まいこさんの小説『幸福な食卓』のあらすじと感想を紹介してきました。

父の自殺未遂が引き金となって崩壊した家族が、ある出来事をきっかけに再生していく姿に励まされる一方で、一度壊れた家族関係を修復するのは、相当な出来事がないと無理だとわかる小説です。

気になった方はぜひ読んでみてください。

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