40歳という年齢は、「人生の節目」だと言われていますよね。
たとえば、有名な心理学者であるユングは「40歳は人生の正午である」と言いました。人生を太陽の軌道にたとえるなら、40歳は正午(ピーク)であり、それを過ぎると衰えていく一方だという意味が含まれています。
ドイツの哲学者であるショーペン・ハウエルは、「人生はその生涯の40年間で本文を著述し、これに続く30年間において、前述についての注釈を付加する」と言っています。40歳までの人生が本文であり、それ以降の人生は補足だと言っているんですよね。
このように、40歳という年齢は「人生の折り返し地点」であると同時に、これまでの生き方が色濃くあらわれる年齢だともいえます。
とはいえ、40歳からも輝いていたいですよね。どうすればいいのでしょうか。
自分の生き方に自信がなくなった人たちの物語
物語に登場するのは、数ヵ月後に40歳を迎える小学校の同級生たち。彼らは小学生の頃に校庭に埋めたタイムカプセルを掘り起こすために、26年ぶりに再会しました。
ところが、誰もが自分の近況について語ろうとしません。なぜなら、小学生の頃に思い描いていた40歳とは、ほど遠い存在だったからです。
のび太と呼ばれていた克也は、かつては「天才少年」とあだ名されるほど勉強が得意で、小学生の頃は科学者を目指していましたが、今では平凡なソフトウェア会社でリストラに怯える毎日を過ごしています。
ジャイアンと呼ばれていた徹夫は、クラスのアイドル的存在だった真里子と結婚しましたが、根気がなく転職を繰り返し、今では悪徳商法で有名な不動産会社の営業をしています。真理子とも、二人の娘とも上手くいっていません。
クラスで一番の出世頭だった淳子は、予備校の人気講師としてメディアにも取り上げられましたが、今では落ち目を迎え、かつての人気はどこにもありません。信頼できるパートナーもおらず、働く意味を見失っていました。
もちろん、そんな彼らが再会したところで、盛り上がるはずがありません。さらに…。
未来に夢や希望が持てなくなっていた
当時40歳だった担任・白石先生の手紙が追い討ちをかけます。そこには、「皆さんの40歳はどうですか?あなたたちは、今幸せですか?」と書かれていたからです。
克也は、会社からリストラされそうになっていましたが、そのことを家族に言えずにいました。仕事を失った自分には価値が無い、妻や子どもたちと仲良く暮らしていけるはずがない…と思い込んでいたからです。
徹夫は、一発逆転を夢見て転職をくりかえしていましたが、転職すればするほど不安定になり、モチベーションもあがらず、現在はメディアからもバッシングされる悪徳不動産で強引な営業をしています。そんな徹夫に真里子も娘も愛想を尽かしていました。
淳子は、何度かあった結婚のチャンスを自ら拒絶してまで仕事に専念し、予備校の人気講師としてメディアに取り上げられた時期もありましたが、今では人気もガタ落ちで、手元に残ったのは「高層マンションに住む」という一見優雅な暮らしだけです。パートナーがいない不安を隠し切れずにいました。
そんな仕事もプライベートも上手くいかなくなった彼らは、目の前にある問題に向き合おうとせずに、不倫やお酒といった別の手段で不安を解消しようとするんですよね。
もちろん、これでは問題を解決できるはずがありません。むしろ状況は悪くなる一方です。
だからこそ…。
目の前にある問題と向き合い、未来に夢や希望をもとう
目の前にある問題と向き合い、新たな夢や希望を持つことが大切なんですよね。
たしかに、40歳という年齢はこれまで築き上げてきた仕事やプライベートにほころびが生じやすい年齢なのかもしれません。
しかし、目の前にある問題から逃げ出さずに真正面から向き合うことができれば、新たな「夢」や「希望」が描けるはずです。たとえ、トワイライト(人生の黄昏)を迎えたとしても、新たな人生の一歩が踏み出せるでしょう。
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重松清さんの小説『トワイライト』。読めば40歳を節目に新たな夢を描いて歩み出そうと思える物語です。
気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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