同じ授業を受けて、同じように勉強しても、子供によって差がつくのはなぜだと思いますか?
私は才能によるものだと思っていましたが、『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』を読んで、才能だけではないことに気づきました。
ある能力を鍛えれば、どんな子でも、賢くなれることがわかったんですよね。
『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』の情報
おすすめ理由
- 勉強よりも鍛えておきたい能力があるとわかる
- 具体的な取り組み方法がわかる
- 子供への接し方を見直したくなる
- 文章が少しまわりくどい
『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』の簡単な紹介
今回は、『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』を紹介します。
同じ授業を受けて、同じように勉強しても、子供によって差がつく理由がわかる本です。
しかも、その理由を才能だと切り捨てるのではなく、親の問いかけを変えるだけで、必要な能力が鍛えられると紹介しています。
努力や根性、気合いに頼ることなく、実践できる具体的な方法も載っているので、小学生の子をもつ親に、ぜひ読んでほしい一冊です。
『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』の要約と感想
ここからは、『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』の一部要約と感想を紹介していきます。
できる子は勉強している時間以外も学んでいる
要約
同じ授業を受けて、同じように勉強しても、子供によって差がつくのはなぜだと思いますか?
もちろん、生まれもった才能も影響していますが、アメリカの心理学者・ジェンセンによると、「遺伝と環境は相互に作用する」ことがわかっています。
すなわち、後天的に才能を伸ばすことができるので、才能という言葉で片付けるのはもったいないということです。
では、才能ではなく何が差を生み出しているのでしょうか。
結論から言えば、考える力です。
そもそも勉強しているフリをしている子や、授業中にしか学ばない子に比べて、賢い子たちは寝る時間以外、常に何かを学んでいます。
人と話すときも、テレビを見ているときも、街を歩いているときも、感じ、考え、自分の意見を持つ習慣があります。
実際、東大生と話をすると、
- ボキャブラリーが豊富
- 集中して人の話を聞く
- 自らの意見を必ず語る
ということを日常的にやっていることがわかります。
彼らにとって、生活は勉強の一部であり、日常の友達との会話も、授業中のやり取りも同じなのです。
感想
できる子と聞くと勉強ばかりしているイメージがありますが、その考えを覆すのが本書の面白いところです。
努力や根性、気合いで乗り越えようとするのではなく、パソコンでいうところのOSをバージョンアップしようと提案しています。
もう少し詳しく説明すると、考える力がWindows10などのOSで、そこに中1数学、中2数学というアプリをインストールすると考えます。
このとき、OSのバージョンがWindows95などと古ければ、どれだけ頑張ってアプリをインストールしても使い物になりません。
だからこそ、必死になって勉強するよりも、OSのバージョンを上げる、つまり考える力を鍛えることが大切だというんですよね。
「確かに!」と心から納得できる内容でした。
考える5つのアプローチ(疑問を持たせる編)
要約
では、どうすれば子供の考える力を鍛えることができるのでしょうか。
本書では全部で10の問いかけをして子供の考える力を鍛えるアプローチが紹介されていますが、この記事では5つのアプローチについて紹介していきます。
ここでは、その中でも疑問を持たせるアプローチ(①原因分析力、②自己表現力、③問題解決力)について説明します。
①原因分析力を鍛える問いかけ「なぜだろう?」
まず疑問を持たせる一つ目の問いかけは、「なぜだろう?」です。
「あなたの住所はどこですか?」と聞かれて答えるのは知識ですが、では「なぜその家に住もうと思ったのですか?」は知識では答えられません。
つまり、「何」「どこ」「誰」「いつ」「どっち」といった問いでは考える力は身につかないということです。
だからこそ、「なぜ?」と問いかけることで、原因分析力を鍛えます。
②自己表現力を鍛える問いかけ「どう思う?」
二つ目は、「どう思う?」です。
「この家、どう思う?」と聞かれると、何かしら考えて言葉で表現しなくてはいけませんよね。
その結果、自己表現力がついていきます。
③問題解決力を鍛える問いかけ「どうしたらいい?」
三つ目は、「どうしたらいい?」です。
問題に直面すると、通常は「困った」→「悩む」になりがちですが、このように問いかけられると、ポジティブな面に目を向けやすくなるので、考えるきっかけになります。
ここで、「問題」と「課題」の違いを簡単に説明しておくと、
「問題」:ネガティブな状況が発生している状態
「課題」:問題を解決するために必要なことは何か?とポジティブ表現されている状態
たとえば、「子どもがゲームばかりしていて勉強しない」というのは問題で、「ゲームをやっていても勉強するようになること」「ゲームをやらずに勉強するようになること」が課題です。
問題を課題に変えることで、論点がはっきりし、「何をすべきか?」が明確になります。
感想
トヨタでは、トラブルに直面したとき、「なぜ?」を5回繰り返せと言われています。
すぐに思いつく答えを安易に結論とせずに、真の原因を特定することが目的です。
つまり、考え続ければこれまでにない答えに辿り着ける(=賢くなる)ということです。
そのため、たとえば「パン屋さんで買い物をして、なぜ消費税がかかるのだろう?」と疑問に思い、調べたり考えたりすれば、社会の勉強にもつながります。
ゲームだってそうです。「ゲームを作るにはどうしたらいいと思う?」と問いかければ、プログラミングに興味を持つかもしれません。
このように、学校の勉強にとらわれすぎず、視野を広げて物事を眺めるきっかけとなるのが、疑問を持たせるアプローチです。
私も子供たちに時間を見つけては、「なんで?」と問いかけるようにしています。(子供たちの思わぬ質問に答えがわからず困ることもありますが…)
考える5つのアプローチ(まとめさせる編)
要約
ここでは、残り2つのまとめさせるアプローチ(④抽象化思考力、⑤具体化思考力)について説明します。
④抽象化思考力を鍛える問いかけ「要するに?」
まず、まとめさせる一つ目の問いかけは、「要するに?」です。
抽象化とは「ざっくり言うとこんな感じ」と言うものです。
たとえば、チワワを飼っている2人の飼い主がお互いの犬を比較して、「うちのチワワの方が可愛い」と言い争っていたとします。
ここにトイプードルが登場すると、「チワワなんてうるさい犬をよく飼えるわね」とチワワという犬がまとまり、
さらに一段上から見ると、チワワもトイプードルも「小型犬」というカテゴリーに入るので、ゴールデンレトリバーの飼い主から「キャンキャン吠える犬をよく飼えるね」と言われるかもしれません。
このように、「チワワ→小型犬→犬→哺乳類→脊椎動物→動物→生物」と上位の概念へ広げていくことを抽象度を上げると言い、どの視点から物事を見るかで判断が変わります。
これを算数に当てはめると、1ページに10問あって、それぞれ別の問題だと思っている子は抽象化する力が弱いと言えます。
実際は、小数と分数というように、やっていることは同じであるケースが多いからです。
⑤具体化思考力を鍛える問いかけ「たとえば、どういうこと?」
二つ目は、「たとえば、どういうこと?」です。先ほどの「要するに」とは逆のアプローチです。
「今、地球は環境問題で苦しんでいる」という抽象化された問題について考えると、たとえば「ゴミの分別収集ができていない」とか、「クジラのお腹から沢山のプラスチックができてた」といった具体事例が挙げられます。
さらに、「学校の中での環境問題って何かないかな?」と問えば、具体的な問題を探しにいくことにもつながります。
こうして具体的な事例を考えれば、問題意識や好奇心が生まれ、「学びたい」という気持ちに発展することがよくあります。
また、事例をどんどん出せば、新しいアイデアを生み出すためのクリエイティブな力もつきます。
感想
私も最近、会社の上司に「レイヤーを上げて物事を考えろ」と叱られていますが、先ほど紹介した抽象化思考力が足りていないのだと気づきました。
とはいえ、抽象化しすぎると、「誰でも言える内容だ」と指摘されるので、具体化思考力も必要だとわかります。
つまり、応用力というのは、「要するに」で抽象度を高く上げて、「共通点を見出す」コツを掴み、上から下の現象を幅広く見ることなんですよね。
勉強でいえば、抽象化できていないのに、応用問題をいくらやっても、それは具体的な新たな問題が1つ登場したことにしかなりません。
この2つの力をつけることが特に賢さにつながる要素だとわかりました。
まとめ
今回は、『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』の一部要約と感想を紹介してきました。
どれだけ学校の勉強をしても賢くなれるとは限りません。それは考える力に差があるからだとわかる一冊でした。
気になった方は、ぜひ実際に読んでみてください。
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