横関大『罪の因果性』感想/些細なミスでも大きな罪を背負わなければいけないのか?

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問題や事件が起きたとき、責任の所在を明らかにする必要がありますが、些細なミスでも大きな罪を背負わなければいけないと思いますか?

私は大きな罪を背負う必要はないと考えていますが、

横関大さんの小説『罪の因果性』を読んで、些細なミスでも大きな罪を背負わされる女性の姿に心が痛みました。

それだけでなく、自己保身に走る人たちの冷たさと残酷さに怒りが湧く物語ですが、ラストは驚きの展開が楽しめるミステリーだったんですよね。

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あらすじと内容紹介

「私は関係ない、はずだ。」

公務員として働いていた倉田佑美が、些細なミスで大きな罪を背負わされる物語です。

彼女は、「馬場ひとみという女性の住所を教えてほしい」という男からの電話を受けたときに、相手の誘導に引っかかってしまい、住所を特定されてしまいました。

その後、馬場ひとみが殺されたことから、周りから「殺人事件に関与した人間」として冷たい目で見られ、退職に追い込まれます。

それから3年後。

殺された地下アイドル「荻窪ひとみ(本名は馬場ひとみ)」のファンだった星谷隆弘が、佑美の前に現れて、事件の真相を解き明かしていくのですが、

その真相が想像を上回るものだったので驚き、続きが気になってページをめくる手がとまらなくなったんですよね。

ミスリードされること間違いなしのミステリー小説です。

『罪の因果性』の感想(ネタバレあり)

ここからは多少のネタバレありで感想を書いていきます。

物語の核心を突くようなネタバレは避けていますが、それでも気になる方は、本書を読み終わった後に再び訪れてください。

些細なミスでも罪を背負う必要があるのか?と考えさせられる

倉田佑美は、武蔵平市役所で働く公務員でした。

収納課という部署で、税金の収納に関する事務をしていましたが、ある日、ひとりの男から電話がかかってきたことで、人生が一変します。

電話の内容は、「馬場ひとみという女性がどこに住んでいるのか教えて欲しい」というもので、佑美は個人情報なので教えられないと断りましたが、

相手はしつこく、5つの物件を読み上げて、そのときの佑美の反応で、彼女が住んでいる場所を特定しました。

その後、5人組の地下アイドルグループ「中央線防衛軍」のひとり、荻窪ひとみ(本名は馬場ひとみ)が包丁で刺され、遺体となって発見されます。

こうして佑美は、間接的に殺人事件に関わったわけですが、その後のまわりの反応は冷たいものでした。

佑美は心が病んでしまうほど追い詰められます。

そんな佑美の姿を見て、電話の受け答えを少し間違えただけで、ここまで追い詰められる必要があるのか?罪を背負う必要があるのか?と考えさせられました。

自己保身に走る人たちの冷たさと残酷さに怒りが湧く

先ほど佑美のまわりの人たちの反応は冷たいものだと書きましたが、

彼女は、こうなることがわかっていたので、殺人事件がニュースになった後も、馬場ひとみの住所を問い合わせてきた男の電話を受けたことを隠していました。

しかし、誰かがPC端末で馬場ひとみの住所を調べたことが明らかになり、「閲覧者に心当たりのあるものは申し出るように」という、まるで魔女狩りのようなメールが社内に流れます。

このとき、佑美と同じ職場で働く男性が、彼女が誰かの問い合わせ電話を受けて、馬場ひとみの住所をPCで調べたのではないか?と密告しました。

こうして追い詰められた佑美は、犯人から「教えてくれてありがとう」というお礼の電話が入ったこともあり、自分が電話の受け答えをしたことを認めますが、

市の職員や課長、部長たちから面談され、「なんてことをしてくれたんだ」「切腹ものだよ」「共犯者だ」などと想像以上に厳しい批判にさらされるんですよね。

それだけでなく、誰かがマスコミにリークしたので、「Y美という女性職員が個人情報を漏らした」と事実とは違う内容を週刊誌に書かれたり、

市長から呼び出されて、「守ってやれない場合もある」「早々に見切りをつけて結婚でもするがいい」などと冷たい言葉を浴びせられました。

このように、いざという時に、自己保身のために佑美を切り捨てようとする人たちの冷たさと残酷さが描かれていたので、怒りが湧いてきました。

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想像を上回る展開に驚かされる

さて、馬場ひとみが殺された事件は、野上という彼女のファンが手を下したという推測のもとに、裁判が続いていましたが、

事件発生から3年後、彼女の熱烈なファンだった星野隆弘が佑美が働く喫茶店にやってきて、事件の真相を解き明かしていきます。

その真相がこれまでの推理を覆すものだったので驚きました。

たまたま電話をとって周りから非難されることになったと思ったていた佑美でしたが、実は…という展開にページをめくる手が止まらなくなりました。

また、この事件の真相が明かされたとき、改めて、

「些細なミスでも罪を背負う必要があるのか?」
「誰がどこまでの罪を背負わなければいけないのか?」

と考えさせられたんですよね。

些細な行動がきっかけとなり、大きな悲しい事件へとつながっていく展開に心が痛みました。

まとめ

今回は、横関大さんの小説『罪の因果性』のあらすじと感想を紹介してきました。

  • 些細なミスでも罪を背負う必要があるのか?と考えさせられる
  • 自己保身に走る人たちの冷たさと残酷さに怒りが湧く
  • 想像を上回る展開に驚かされる

以上、3つの魅力がある物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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