三毛猫ホームズシリーズを読んだことはありますか?
私は未読だったので、シリーズの始まりである『三毛猫ホームズの推理』から読むことにしました。
軽いタッチのミステリとしてだけでなく、冴えない刑事の恋物語としても楽しめました。
『三毛猫ホームズの推理』のおすすめポイントとあらすじ
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あらすじ
28歳の片山義太郎は、刑事なのに血が苦手で、女性恐怖症でした。そのため、三田村警視から3日前に起きた女子大生殺しの件を調べろと言われたので焦りますが、殺人ではなく、被害者が関わっていた売春の件を調べろと言われます。そこで、森崎文学部長に話を聞きにいきますが、その森崎が密室で殺されました。片山は、森崎が飼っていた三毛猫のホームズとともに犯人を探しますが、怪しい人物が次々と現れ、またしても女子大生が殺されたので…。
『三毛猫ホームズの推理』の感想
「現実では不可能だ!」と思う物語に、人は夢や理想を重ねて惹かれます。
半沢直樹シリーズが人気なのも、傲慢で不正を働く権力者たちに、下っ端のサラリーマンが楯突いて、立場が逆転する展開に、「現実はこうあってほしい!」という夢や理想を重ねているからだと思います。
三毛猫ホームズシリーズが、現在までに55巻も出版されるほど人気があるのも、2つの夢や理想が描かれているからかもしれません。
まずひとつ目は、冴えない刑事が、驚くような美女と恋愛関係になるところ。
『三毛猫ホームズの推理』では、28歳で童顔、真面目だけが取り柄の冴えない片山義太郎が、特別なことをしたわけでもないのに、目を見張るような美女といい関係になります。
現実でモテない人たちに、夢や希望を与えてくれます。
もうひとつは、可愛いらしい猫が事件の謎を解くヒントをくれるところです。
たとえば、三毛猫のホームズが写真を引っ掻いたことで、事件が大きく進展するなど、猫好きでなくても、賢くて可愛いホームズに夢中になります。
こうしたモテない層や猫好き層に突き刺さる要素を取り入れながら、女子大生連続殺人事件と、密室で殺された学部長の事件の真相に迫るミステリが楽しめたので、多くの人たちから愛されているのも納得の物語でした。
本格的な謎解きを期待すると、残念な気持ちになるかもしれませんが、気軽に楽しめるミステリが好きな方におすすめの一冊です。
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