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偏屈な書店主・フィクリーが、母親に置き去りにされた女の子と出会ったことで、人生が劇的に変わっていく物語です。
妊娠2ヶ月の妻を交通事故で亡くしたフィクリーは、生きる意味を見失い、偏屈になり、まともに人付き合いをしなくなりましたが、二人の女性と出会ったことで人生が劇的に変わります。
まず一人目は、母親に置き去りにされた2歳の女の子・マヤです。
フィクリーは、自分には子どもの面倒はみれないと思っていましたが、マヤの母が意図して本屋に置き去りにしたことを知り、またマヤと接することで徐々に愛情がわいてきたので、彼女を養子にすることを決めました。
すると、町の人たちは、偉ぶった冷たい人間が女の子を養子にしたと噂をするだけでなく、マヤが放ったらかしにされないか心配になり、頻繁に店に立ち寄って助言をしたり、小さな贈り物をしたり、そのついでに本を買ったりするようになります。
一方のフィクリーも、町の人たちと会話をするようになり、彼らが好む本を仕入れたり、子どものために絵本を仕入れるなど、友好的に変わっていきました。
そんなフィクリーの姿を通して、子どもがもつ影響力の大きさに改めて衝撃を受けました。
フィクリーの人生を変えたもう一人の女性は、出版社に勤めているアメリア・ローマンです。
はじめはアメリアに強くあたっていたフィクリーでしたが、徐々に彼女の魅力の虜となり、恋心を抱くようになります。
とはいえ、彼女には婚約者がいたので、奪おうとは思いませんでしたが、彼女の幸せを願うなど、自分以外の人に目を向けられるように変わっていきました。
このように、自分は不幸だと思い込んで、他人に八つ当たりをしていたフィクリーが、二人の女性と出会い、愛情を注ぐことで人生が劇的に変わっていく姿に、人を愛することの大切さが「これでもか!」というほど伝わってきました。
また、物語としては、ラストにちょっとした驚きが味わえるような仕掛けが用意されていたので、最後まで楽しめました。
偏屈な書店主が二人の女性に愛情を注ぐことで、人生が劇的に変わっていく物語に興味がある方におすすめの小説です。
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