横溝正史をご存知ですか?
私は金田一耕助シリーズの著者であることは知っていましたが、
実際に金田一耕助シリーズを読んだことがなかったので、名前だけ知っている程度でした。
しかし、『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ』を読んで、横溝正史の小説を読んでみたくなったんですよね。
おすすめ度:
こんな人におすすめ
- 古書にまつわるミステリーが好きな人
- 横溝正史の小説に興味がある人
- 『ビブリア古書堂の事件手帖』が楽しめた人
- 三上延さんの小説が好きな人
あらすじ:高校生になった扉子がおばあちゃんから呼び出される物語
物語は高校生になった篠川扉子が、祖母である篠川智恵子から呼び出されるところから始まります。
智恵子は、扉子の父である大輔が日記としてつけていた『マイブックー2012年の記録ー』と『マイブックー2021年の記録ー』を借りて、行きつけのカフェに来いと言うのです。
さらに、
「確認したいことというのはね、2012年と2021年に起こった横溝正史の『雪割草事件』について」
と電話で伝えたっきり、詳しい内容を教えてくれなかったので、扉子はこの日記を読みたくてうずうずしていました。
「なぜ、一冊の本で二回も事件が起こったのだろう」と湧き上がる疑問を抑えきれなかったんですよね。
そこで扉子は、智恵子が来るまで父の日記を読むことにします。
まず彼女が手に取ったのは、自分が生まれた年の「2012年の事件手帖」でしたが、そこには…。
という物語が楽しめます。
ビブリア古書堂に幻の本を探して欲しいという依頼が舞い込む
扉子が手に取った「2012年の事件手帖」に書かれていたのは、母・栞子さんと大輔が結婚した直後の話で、
ビブリア古書堂に井浦清美という女性が横溝正史の『雪割草』という本を探して欲しいと依頼をしに来たところから始まります。
その本は、清美の母の姉、つまり伯母である上島秋世が生前に持っていたもので、幻の作品だと言われていました。
書籍化されておらず、また数枚の原稿は見つかっていましたが、
長編なのか短編なのかもわからず、ジャンルも明らかになっていない作品だったからです。
さらに、その本は盗まれており、盗んだ犯人は母の初子だと、母の双子の妹である春子が主張していると言うんですよね。
この話を聞いた栞子さんは、二つの謎があると言います。
それは、
- 存在しないはずの『雪割草』が何らかの形で存在していたのか?まったく別のものがあったのか?そもそも春子の狂言だったのか?
- 仮に存在していたとして誰がどうやって盗んだのか?春子が初子が犯人だという理由は何なのか?
というものでした。
そこで栞子さんと大輔は、幻の本『雪割草』があった上島秋世の家に行ったところ…。
9年越しに謎が解決する物語
この続きは実際に読んでもらうとして、「2012年の事件手帳」では一部の謎が残されたまま幕を閉じますが、
「2021年の事件手帳」では、横溝正史の『病院坂の首縊りの家』という小説をトレースするかのように物語が展開していくんですよね。
さらに、この物語の黒幕が「あの人物」だということがわかって…。
というように、三上延さんの小説『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ』は、横溝正史の小説が謎を解く鍵になっているので、実際に読んでみたくなる物語ですが、
それだけでなく古書にまつわるミステリーとしても楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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