芦沢央『悪いものが、来ませんように』は毒親の恐ろしさが味わえる驚きと感動のミステリー

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毒親の恐ろしさをご存知ですか?

私は身近に毒親がいるので、その恐ろしさを知っていますが、

芦沢央さんの小説『悪いものが、来ませんように』を読んで客観的に毒親の恐ろしさを眺めることができました。

それだけでなく、ラストに驚きと感動が味わえる物語なんですよね。

おすすめ度:4.0

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こんな人におすすめ

  • 毒親の恐ろしさを客観的に眺めてみたい人
  • 二つの大きな謎が楽しめるミステリーを読みたい人
  • ラストに驚きと感動が味わえる物語が好きな人
  • 芦沢央さんの小説が好きな人

あらすじ:仲の良い女性二人がある事件を起こす物語

物語の主人公は、柏木奈津子と庵原紗英。

彼女たちは、「紗英」「なっちゃん」と呼び合うほど仲良しでしたが、それぞれ悩みを抱えていました。

奈津子には娘がおり、おっぱいとオムツ替えと抱っことお風呂と寝かせつけの毎日に嫌気がさしていました。

「6ヶ月を過ぎると楽になる」という母の言葉が信じられないほど疲れ切っていました。

仕事を見つけ、専業主婦から抜け出したいと願っていたのです。

一方の紗英は、食事の支度、買い物、掃除、洗濯、洗い物、育児をすれば、仕事をしなくてもいい毎日を羨ましく思っていました。

子供が欲しくて仕方がなく、はやく専業主婦になりたいと願っていたのです。

それだけでなく、夫の浮気で悩んでいたんですよね。

そこで、浮気の悩みを奈津子に相談したところ…。という物語が楽しめるミステリー小説です。

感想①:家族や友人、知人の証言で物語が進んでいく

この小説では、ある事件が起きるまでの物語を、紗英と奈津子それぞれの視点で描かれていきます。

それだけでなく、事件発生後の家族や友人、知人の証言で、事件の全貌が少しずつ明らかになっていくんですよね。

たとえば、紗英の元彼は、彼女がいつも「なっちゃん、なっちゃん」と言うのをおかしいんじゃないかと指摘したことで関係が終わったと証言します。

紗英はそれほどまでに奈津子のことを大切にしていたことがわかります。

一方、奈津子の近所に住んでいたおばさんは、彼女が幼い頃にピアノを習っており、テレビに出演するほど上手かったけれど、

父が亡くなってからはピアノを辞めさせられて可哀想だったと言います。

それだけでなく、奈津子の母は悪い人ではないけれど、世間知らずで、人に何かしてもらうのが当然だと思っているようなわがままな人間だと言うんですよね。

この証言により、奈津子の母は毒親なのでは?という思いが湧き上がってきます。

湊かなえさんの小説『白ゆき姫殺人事件』では、事件関係者の悪意ある証言で物語が進んでいきましたが、

湊かなえ『白ゆき姫殺人事件』は小さな悪意が大きな悪意を生み出すことがわかるミステリー小説
他人をあれこれ評価していませんか? 私もついつい評価してしまうことがありますが、 湊かなえさんの小説『白ゆき姫殺人事件』を読んで、悪意ある評価はしないでおこうと思いました。 こうした小さな悪意が、大きな悪意へと繋がっていく...

この小説では、事件関係者の証言で真実が浮かび上がってくるように描かれています。

感想②:毒親が子供を苦しめる姿が描かれている

先ほども紹介したように、奈津子の母は自分のことばかり考えるわがままな人間でした。

奈津子の夫である柏木貴雄の証言によると、奈津子は母親にスポイルされてきたことがわかります。

奈津子がピアノを始めたのも母が強要したからですが、少しでも上手く弾けないと「どうして?」と詰問されました。

それでも頑張り続けた奈津子でしたが、才能の限界を感じて自殺しようと思い始めたところ、父が亡くなったので、自殺を思いとどまります。

それほどまでに追い詰められていたんですよね。

その後も、手に職をつけろと言われたので美容専門学校に行くことにした奈津子でしたが、入学すると「筑波大学に行って欲しかったのに」と言われました。

そこで、筑波大学の学祭に行き、出会った貴雄と付き合ったことで初めて母に褒められた奈津子でしたが、子供を身篭ると「みっともない」と吐き捨てられました。

こうして奈津子は、異常に自己評価の低い大人になったわけですが、

このように、子供のことを何ひとつ考えずに自分の感情だけをぶつける毒親の姿に衝撃を受けます。

山口恵以子さんの小説『毒母ですが、なにか』を読んだときも、毒親の行動に衝撃を受けましたが、

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この物語でも、毒親の恐ろしさを味わうことができました。

感想③:ラストは驚きと感動が味わえる

さて、この物語では、ラストに驚きの事実が明かされます。

実は謎は二つ用意されています。

まず、一つ目の謎である「なぜ奈津子と紗英はここまで仲が良いのか?」については、物語の途中で見抜けるように構成されていますが、

もうひとつの謎である「なぜ奈津子が事件に手を染めたのか?」については、驚きの事実が隠されているんですよね。

とはいえ、ある程度は予測できる内容なのですが、それでも最後はグッときました。

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ラストで驚きと感動が味わえます。

まとめ

今回は、芦沢央さんの小説『悪いものが、来ませんように』のあらすじと感想を紹介してきました。

毒親の恐ろしさが客観的に眺められるだけでなく、驚きと感動が味わえる物語でもあるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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