メールやLINE、SNSでどれだけやりとりをしても、なぜだか寂しい…。そんなことはありませんか?
私はデジタルな関係だけでなく、アナログな関係も大切にしているので、それほど寂しさを感じていませんが、
ビートたけしさんの小説『アナログ』を読んで、これまで以上にアナログな関係を大切にしたくなりました。
デジタルにはない、アナログの良さを思い出させてくれる物語なんですよね。
おすすめ度:
こんな人におすすめ
- アナログな恋愛関係を描いた物語に興味がある人
- 母親という存在の大きさがわかる物語を読んでみたい人
- 泣いたり笑ったりできる物語が好きな人
- ビートたけしさんの小説が好きな人
あらすじ:喫茶店で好みの女性と出会う主人公の物語
物語の主人公は、デザイン会社で働く水島悟。
彼は友人との待ち合わせまでの時間つぶしに入った「ピアノ」という喫茶店で、偶然出会ったみゆきという女性に一目惚れをしました。
これまでナンパなんてしたことがない悟でしたが、思い切って連絡先を交換しようとしたところ、
みゆきがそれを望んでおらず、毎週木曜日の夕方にピアノで待ち合わせをすることになります。
こうして二人のアナログな関係が始まったわけですが…。という物語が楽しめる小説です。
感想①:アナログの良さが思い出せる
あらすじで、みゆきは悟と連絡先を交換するのを望んでいなかったと紹介しましたが、
それは悟が嫌だったわけではなく、デジタルな関係を築きたくないと考えていたからでした。
彼女はアナログは関係を求めていたんですよね。
なぜなら、デジタルの「ある特徴」を嫌っていたからです。
たとえば、ファッション。
前はよくブランドの服やバッグなんかも見て回ったのですが、最近は違うブランドでもみんな同じ方向に向かっている気がしてしまって。これといって気に入る物がなくてあんまり行かなくなりました。
最近は個性的な物がだんだんなくなって、一つ流行ると同じような物が大量に出回るというのが風潮ですね。
みんなと同じ行動を取るのが、安心するみたいですね。古くていい物や使い込むと味が出る物は、少数の人にしか売れないから作らないんですよね。
つまり、みゆきは個性を埋没させるデジタルを嫌っていたのです。
そこで、彼女は悟との関係もアナログなものにしようとしました。
他のカップルと似たような、ありきたりな関係ではなく、自分らしい関係を築こうとしたのです。
伊坂幸太郎さんの小説『アイネクライネナハトムジーク』では、他の小説とは一味違う恋愛物語が楽しめましたが、

この小説では、アナログな恋愛物語を楽しむことができ、アナログの良さを思い出すことができました。
感想②:母親という存在の大きさがわかる
一方の悟も、みゆきとのアナログな関係を気に入っていました。
それは幼い頃の影響が大きかったのかもしれません。
悟の母は彼を育てるために、近所のスーパーで店員をしたり、小さな会社で働いたりと一日中働き詰めでした。
そこで、悟は母との限られた時間を大切にするようになります。
友だちと遊んでいる途中でも、母の帰宅時間にあわせて帰りました。
事前に帰る約束をしているわけでもない、まさにアナログな関係です。
しかし、そんな母も今では過度な労働と栄養不足の影響で、骨や内臓が悪くなり、病院で寝たきりの状態です。
もちろん、悟は親孝行したいと考えていましたが、お見舞いくらいしかできることがありませんでした。
そんなときに出会ったのがみゆきです。
彼女とのアナログな関係は、母への想いと重なります。そして、その想いが…。
東野圭吾さんの小説『祈りの幕が下りる時』では、母親という存在の大きさに衝撃を受ける物語が描かれていましたが、
この物語でも母親という存在の大きさがわかり、悟の深い愛情に涙しました。
感想③:ビートたけしさんらしい笑いが楽しめる
さて、この物語では、ビートたけしらしい笑いが随所に散りばめられています。
たとえば、悟とその親友である山下と高木の掛け合いは、下ネタや風俗ネタ、ハゲやズラいじりなど、ビートたけしさんのネタそのものです。
そのため、読んでいてクスッと笑えるんですよね。
とはいえ、ただ笑えるだけでなく、先ほど紹介したように泣ける要素もあります。
畠中恵さんの小説『ぬしさまへ』は、泣けて笑える短編が楽しめましたが、

この小説でも、泣いたり笑ったりできる物語が楽しめました。
まとめ
今回はビートたけしさんの小説『アナログ』のあらすじと感想を紹介してきました。
メールやLINE、SNSでつながるデジタルな関係がすべてではなく、アナログな関係も大切にしたくなる物語なので、気になって方は、ぜひ読んでみてください。
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