藤岡陽子『きのうのオレンジ』は目立たない優しさを貫く主人公と、その優しさを感じ取れる人たちの姿に感動する物語

おすすめ小説

人目につかないところでも、一貫した行動をとっていますか?

私は以前は人前でだけ褒められるような行動をとっていたことがありましたが、

藤岡陽子さんの小説『きのうのオレンジ』を読んで、些細な行動でも見ている人が必ずいることがわかりました。

それだけでなく、胃がんになった主人公がひたむきに生きようとする姿に感動する物語だったんですよね。

おすすめ度:5.0

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こんな人におすすめ

  • 若くして胃がんになった主人公の物語を読んでみたい人
  • あたたかな家族の姿に感動する物語が好きな人
  • 些細な行動も必ず見ている人がいるとわかる物語に興味がある人
  • 藤岡陽子さんの小説が好きな人
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あらすじ:若くして胃がんになった主人公の物語

物語の主人公は、33歳の笹本遼賀。

彼は、イタリアンレストラン「トラモント」の店長として忙しい毎日を過ごしていましたが、

半年前から胃の調子が悪く、ひと月ほど前からは薬を飲んでも胃の痛みが治らなくなりました。

そこで、同じ店で働くアルバイトの高那からの勧めもあって、病院で検査したところ、胃がんだと宣告されます。

彼はなぜ自分が胃がんになったのかと悩み苦しみましたが、15歳のときに弟の恭平と一緒に那岐山で遭難したときのことを思い出し…。

という物語が楽しめる小説です。

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感想①:毎日を丁寧に生きる主人公がかっこいい

あらすじで、遼賀は若くして胃がんになったと書きましたが、彼はこれまで誰が見ていなくても毎日を丁寧に生きていました。

彼が働いていた店は、365日24時間休みなく営業していました。

もちろん、店長である遼賀にも休日はありましたが、シフトが埋まらない時は休日出勤やサービス残業を当たり前のようにこなしてきました。

そんな中でも、彼はきれいに掃除をして、目隠し代わりに置いている観葉植物を健康に育て、アルバイトにも優しく接してきたんですよね。

高校生のときもそうです。勉強やスポーツができる目立つような生徒ではありませんでしたが、

先生の手伝いをしたり、困っている人がいれば手を差し伸べるなど、優しさあふれる行動を続けてきました。

瀧羽麻子さんの小説『女神のサラダ』では、農業を舞台に描かれる優しい人たちの姿に心温まる物語が楽しめましたが、

瀧羽麻子『女神のサラダ』は農業を舞台に描かれる人の優しさに心温まる物語
農業に興味はありますか? 私はエンジニアなので、新しい技術に興味があり、農業にはまったく関心がありませんでしたが、 瀧羽麻子さんの小説『女神のサラダ』を読んで、農業もやりがいのある仕事なんだと気づきました。 それだけでなく...

この小説では、心温かい主人公が病気と向き合っていく物語に心揺さぶられました。

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感想②:あたたかな家族の姿に感動する

先ほど書いたように、遼賀は丁寧に毎日を生きてきましたが、それでも胃がんになりました。

だからこそ、彼はなぜ自分が胃がんになったのか…と悩み苦しみましたが、そんな彼を取り巻く家族は優しさで溢れていました。

遼賀の弟である恭介は、遼賀が何気ない電話をかけただけで、「体が悪いのか?」と聞いてきました。

それほどまでに兄のことを考えていたわけですが、胃がんだと明かすと、教師の仕事を休んで岡山から東京に駆けつけます。

そして、15歳のときに雪山で遭難したときのことを話し、「自分は助けてもらうだけの存在だったけれど、お前は強いから大丈夫だよ」と励ますんですよね。

母もそうです。仕事と祖母の面倒で毎日を忙しく過ごしていましたが、胃がんだと知るとすぐに駆けつけました。

祖母もこれまで家を離れるくらいなら死んだほうがマシだと言っていたが、遼賀の話を聞くと、施設に入れてくれんかと言いました。

伊吹有喜さんの小説『雲を紡ぐ』では、女子高生の主人公が祖父の元に行ったことがきっかけとなって家族が再生していく物語が楽しめましたが、

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この小説では、複雑な事情を抱える家族が、家族になろうと決めて、優しさあふれる関係を築く姿が描かれていたので、心に沁みました。

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感想③:些細な行動も必ず見ている人がいる

さて、この小説では、「普段の何気ない行動も必ず見ている人がいる」をテーマに描かれているように思います。

遼賀が診察を受けた病院の看護師・矢田泉も遼賀のことをよく見ていました。

彼女は遼賀と高校のときの同級生でしたが、人前でなにかをすることはなかったけれど、人のいないところで活躍する彼の姿を眺めていました。

そして、密かに彼に恋心を抱いていたのです。

だからこそ、久しぶりに再会した彼に忙しい時間の合間を縫って会いに行くんですよね。

もちろん、遼賀の家族もそうです。遼賀が胃がんになったことで、これまで当たり前になっていた彼の優しさに改めて感謝しました。

石田衣良さんの小説『池袋ウエストゲートパーク』では、自分とよく似た境遇の少年を助けようと行動する主人公の優しさに感動しましたが、

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この小説では、目立たない優しさを貫く主人公と、その優しさを感じ取れる人たちの姿に感動しました。

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まとめ

今回は、藤岡陽子さんの小説『きのうのオレンジ』のあらすじと感想を紹介してきました。

目立たない優しさを貫く主人公と、その優しさを感じ取れる人たちの姿に感動する物語が楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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