町田その子『うつくしが丘の不幸の家』は幸せは自分で作り上げるものだとわかる物語

おすすめ小説

幸せは人に与えてもらうものだと思っていませんか?

私も昔はそう思っていましたが、

町田その子さんの小説『うつくしが丘の不幸の家』を読んで、幸せは自分で作り上げるものだと気づきました。

それだけでなく、幸せの形はひとつではないことがわかる物語だったんですよね。

おすすめ度:4.5

スポンサーリンク

こんな人におすすめ

  • ツライ境遇にいる主人公たちに心が痛む物語に興味がある人
  • 不幸になる原因は自分の外にあるわけではない理由を知りたい人
  • 幸せかどうかは自分で決めるものだとわかる物語を読んでみたい人
  • 町田その子さんの小説が好きな人
スポンサーリンク

あらすじ:夫の家族に振り回される主人公の物語

物語の主人公は、理美容室を2日後にオープンする予定の美保理。

彼女はこれでようやく幸せが手に入ると思っていましたが、夫の譲は店の準備を放り出して実家の理容室を手伝いに行きました。

そもそも、譲は理容学校を卒業してからの10年間、一人前になったら店を譲るという父の言葉を信じて安い給料でも働いてきたのに、父は突然、弟の衛に店を譲ると言い出します。

また、美保理も義理の両親から何度も嫁は美容師が良いと聞かされたので、それまで働いていたねじ工場を辞めて、美容師になりました。

それなのに、この仕打ちはなんだと憤慨した彼女は、庭に生えていた枇杷の木が縁起が悪いと言われたことを思い出し…。

という物語が楽しめる小説です。

スポンサーリンク

感想①:ツライ境遇にいる主人公たちに心が痛む

この小説では、あらすじで紹介した物語を含めて、5つの短編とエピローグが楽しめます。

あらすじで紹介した物語とエピローグを除いて簡単に紹介していくと、

  • 遅れて反抗期になった高校生の息子と、浮気をしている夫に悩まされる多賀子の物語
  • 男に騙された叶枝と、夫から子供と一緒に放り出された紫が高校時代の演劇部の先輩を頼って一年間だけ一緒に暮らす物語
  • 不妊治療がうまくいかず、自分のせいで妻の身体がボロボロになるのをこれ以上見ていられないと妻に離婚届を差し出したことを後悔する忠清の物語
  • 勤めていた居酒屋で出会った健斗と付き合うようになった真尋が、騙されていたことがわかっても彼と一緒に暮らす物語

どの物語も、うつくしが丘にある不幸の家と呼ばれる家で暮らす人たちの姿が描かれているんですよね。

今村夏子さんの小説『木になった亜沙』では、あることに執着した人たちが不幸の連鎖から抜け出せなくなる物語が描かれていましたが、

今村夏子『木になった亜沙』は不思議な物語なのに最後まで惹きつけられる小説
不思議な物語はお好きですか? 私はどちらかといえば、読書に意味を求めているせいか、テーマがハッキリしている物語が好きなのですが、 今村夏子さんの小説『木になった亜沙』は、不思議な物語なのに最後まで楽しめました。 それだけで...

この小説では、不幸の家で暮らす、ツライ境遇にいる人たちの物語が描かれていました。

スポンサーリンク

感想②:不幸になる原因は自分の外にあるわけではない

先ほども紹介したように、不幸の家で暮らす人たちは、逃げ出したくなるような悩みを抱えていました。

あらすじで紹介した物語では、義理の両親から嫁は美容師が良いと何度も聞かされたので、

美保理はそれまで働いていたねじ工場を辞めて、美容学校に入学しました。

おばさんと陰口を言われながら免許を取り、年下の先輩に偉そうに言われながら美容室で働いてきました。

そうまでして夫が店を継げるようにしてきたのに、義父から継ぐ予定だったお店は夫の弟に譲ると言い渡されます。

それでも、結婚式の費用も注ぎ込んで二日後にお店をオープンするところまで漕ぎ着けたのに、夫はその準備を放り出して実家の手伝いにいくと言い出しました。

だからこそ、買った家が不幸の家と呼ばれることを知った美保理は、枇杷の木が縁起が悪いと言われたことを思い出し、切ろうとしますが、

隣の家に住む老女から、枇杷が縁起が悪いと言われているのは、枇杷の効用を求めた病人たちが、種を植えてから成長するまでに亡くなったという些細な理由だと教えられるんですよね。

青山美智子さんの小説『猫のお告げは樹の下で』では、多くの悩みは少し視点を変えるだけで解決していくことがわかる物語が描かれていましたが、

青山美智子『猫のお告げは樹の下で』は多くの悩みは少し視点を変えるだけで解決していくことがわかる物語
悩みを抱えていませんか? 私はそれなりに悩みを抱えていますが、 青山美智子さんの小説『猫のお告げは樹の下で』を読んで、多くの悩みは少し視点を変えるだけで解決していくことがわかりました。 悩みが解決しないのは、強い思い込みに...

この小説では、不幸になる原因は家や枇杷の木といった自分の外にあるわけではないことがわかる物語が楽しめました。

スポンサーリンク

感想③:幸せかどうかは自分で決めるもの

さて、この小説では、「幸せかどうかは自分が決めるもの」をテーマに描かれているように思います。

あらすじで紹介した物語でも、美保理が「不幸の家と知ってて買ったの?」と言ってきたおばさんの話を隣の家に住む老女にしたところ、

その老女は、「あの人、舌の教育を受けていない方なのね」と言い、さらに、

「しあわせなんて人から貰ったり人から汚されたりするものじゃないわよ。自分で作り上げたものを壊すのも汚すのも、いつだって自分にしかできないの。他人に左右されて駄目にしちゃうなんて、もったいないわ」

と言うんですよね。

この言葉をきっかけに幸せは自分で作り上げるものだと気づいた美保理ですが、他の物語の主人公たちもある出来事をきっかけに気づきました。

遅れて反抗期になった高校生の息子と、浮気をしている夫に悩まされる多賀子も、

不妊治療がうまくいかず、自分のせいで妻の身体がボロボロになるのをこれ以上見ていられないと妻に離婚届を差し出したことを後悔する忠清も、

幸せとは決まったカタチがあるわけではなく、自分で決めるものだと気づきます。

山本文緒さんの小説『自転しながら公転する』では、幸せのカタチはひとつではないことがわかる物語が楽しめましたが、

山本文緒『自転しながら公転する』は幸せのカタチはひとつではないことがわかる物語
世間一般で言われている幸せを追い求めていませんか? 私は、自分にあった幸せを追い求めているつもりですが、 山本文緒さんの小説『自転しながら公転する』を読んで、改めて幸せのカタチはひとつではないことがわかりました。 恋愛と結...

この小説でも、幸せのカタチはひとつではなく、自分で作り上げるものだとわかる物語が楽しめました。

スポンサーリンク

まとめ

今回は、町田その子さんの小説『うつくしが丘の不幸の家』のあらすじと感想を紹介してきました。

幸せの形はひとつではなく、また自分で作りあげるものだとわかる物語が楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました