自分の限界を勝手に決めていませんか?
私は困難な状況に陥ると、よく頑張った…と勝手に限界を決めて諦めてしまいがちですが、
畠中恵さんの小説『しゃばけ』の主人公は違いました。
病弱なのに、殺人事件の犯人に立ち向かっていくんですよね。
そんな主人公の姿を見て、自分の限界を乗り越えたくなる物語です。
おすすめ度:
こんな人におすすめ
- 一味違う時代ミステリーに興味がある人
- 病弱な主人公が活躍する物語を読んでみたい人
- 魅力的な妖怪が登場する物語が好きな人
- 畠中恵さんの小説が好きな人
あらすじ:病弱な若だんなと妖怪たちの物語
物語の舞台は、江戸有数の薬種問屋・長崎屋。
そこのひとり息子で、若だんなと呼ばれる一太郎は、妖怪たちに守られて暮らしていました。
一太郎の側には、常に仁吉と佐吉という長崎屋の奉公人がいましたが、実は彼らは犬神、白沢と呼ばれるとても強い妖怪だったのです。
それだけでなく、鳴家と呼ばれる小鬼やお洒落な屏風のぞき、野寺坊、獺など個性豊かな妖怪が一緒に暮らしていたんですよね。
しかも、妖怪たちは病弱な一太郎を彼の両親と同じように徹底的に甘やかせていました。
特に仁吉と佐吉は、何よりも一太郎の身の安全を優先し、少し咳をしただけで、寝かしつけるほど大切に思っていたのです。
ところが、ある日。
一太郎は、親と妖怪たちに隠れて、一人で夜道を歩いていました。どうしても一人で行きたいところがあったからです。
しかし、その途中で人殺しに出会い、追いかけられるんですよね。
なんとか機転を利かせてその場を逃れた一太郎でしたが、これがキッカケで次々と難題に巻き込まれることになりました。
個性豊かな妖怪たちと共に、一太郎はこの難局をどう乗り越えるのか!?という物語が楽しめます。
次々と気になる謎が提示されるミステリー
先ほど紹介したように、一太郎は人殺しに追いかけられ、その後も彼の身の回りで不審な出来事が起こるようになりましたが、
彼は病弱なので部屋から一歩も出ることが出来ませんでした。
それでも、頭の切れる一太郎は、岡っ引きの清七親分の情報をもとに犯人捜しをはじめます。
すると、気になる謎が次々と浮かび上がってきました。
たとえば、
- なぜ犯人はささいなことで大工を殺したのか
- なぜ死体の首を落としたのか
- なぜ奪った大工道具をばらばらに売り払ったのか
- 死んで葬儀も済ませた大工に、なぜ薬を飲ませようとしたのか
- 一太郎が手持ちの薬をすべて渡しても、これじゃないと言ったのはなぜか
など、不可思議な謎が次々と提示されるんですよね。
この謎に病弱な一太郎が立ち向かうわけですが…。
一太郎の男らしさに感動する物語
そんな病弱な一太郎が大きな決断に迫られます。
病弱な身体にも関わらず命がけで犯人に立ち向かうのか、
それとも、岡っ引きや妖怪たちに任せて部屋の中でおとなしく過ごすのか決断に迫られたのです。
このとき一太郎は、親にも妖怪たちにも徹底的に甘やかされて育てられたのに、命がけで犯人に立ち向かうことに決めるんですよね。
そんな一太郎の決断に感動する物語ですが、なぜ彼がこの決断をしたかと言うと…。
この続きはぜひ実際に読んで、一太郎の男らしさを味わってみてください。
まとめ
今回は、病弱な一太郎と妖怪たちが織りなす畠中恵さんの小説『しゃばけ』を紹介してきました。
病弱なのに難題に立ち向かう若だんなの姿に感動し、自分も限界を乗り越えたくなる物語ですが、
それだけでなくミステリーとしても、魅力的な妖怪に惹きつけられる物語としても楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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